
注目されていた In Re Aqua Products 事件は実務に影響なし?!
In Re Aqua Products 事件は、Court of Appeals for the Federal Circuit (略して CAFC、連邦巡 回区控訴裁判所)が大法廷(en banc) 審理するということで注目を集めていたが、2017 年に出た判決は、実務に影響するレベルではなかった。
In Re Aqua Products 事件は、Court of Appeals for the Federal Circuit (略して CAFC、連邦巡 回区控訴裁判所)が大法廷(en banc) 審理するということで注目を集めていたが、2017 年に出た判決は、実務に影響するレベルではなかった。
通常、分割出願をした場合、35 U.S. Code § 121 により、親出願や限定要求で派生する 関連出願と分割出願の間に自明性二重特許(obviousness-type double patenting)などの 問題は起こらない。しかし、過去10年間、この「安全地帯」に例外が多く発生している。
米国最高裁は、2017 年、Impression Products, Inc. v. Lexmark International, Inc.,において、特許権者が特許製品を販売した場合、特許消尽は回避できないと した。また、判例では不透明だった契約制限や海外の販売先であっても、消尽の効果は変わらないとした。
人的管轄を理由に裁判地を決めることができなくなったので、特許権者が選べる裁判所は大きく制限された。今後は、人的管轄を理由に多くの特許訴訟が起こされている Eastern District of Texas に おける特許訴訟数が減少することと、逆に、多くの会社が設立されている Delaware 州 や California 州での特許訴訟数が増加することが予想される。
特許事務所 Fenwick & West LLP では、post-Alice(Alice 事件後)の特許適格性に関する判 例をまとめていて、キーワードや年代別に検索・分析できるオンライン無料ツールを公開している。
統計データを調べると、Octane 事件以前の 2011 年では 86 件の弁護士費用賠償の申し 立てがあり、成功率は 23%ほどだった。特に、Octane 事件の前 12 ヶ月間における成功 率は 13%と落ち込んでいた。しかし、Octane 事件後およそ2年間で 206 件の弁護士費用賠償の申し立てがあり、成功率は33%と急上昇した。
特許訴訟が悪用された場合、弁護士費用の賠償が認められやすく、また、控訴されても棄却される可能性が低くなったので、今後のパテント・トロールの動向に大きな影響を与えることが予測される。