
結論ありきの専門家の宣言に証拠としての価値はなし
米国特許商標庁(USPTO)のKathi Vidal長官は、特許審判委員会(PTAB)が、結論ありきの専門家証人宣誓にのみ基づいて申立人の特許無効申し立てを却下した決定を先例(precedential)として指定しました。これによりIPRなどのPTABにおける手続きにおいて、先行技術文献では明確に開示されていないクレーム要素を示す時に専門家の宣言を用いる場合、その宣言の内容を慎重に吟味する必要があります。
米国特許商標庁(USPTO)のKathi Vidal長官は、特許審判委員会(PTAB)が、結論ありきの専門家証人宣誓にのみ基づいて申立人の特許無効申し立てを却下した決定を先例(precedential)として指定しました。これによりIPRなどのPTABにおける手続きにおいて、先行技術文献では明確に開示されていないクレーム要素を示す時に専門家の宣言を用いる場合、その宣言の内容を慎重に吟味する必要があります。
意匠特許の自明性の基準を扱った米国連邦巡回控訴裁判所(以下、「CAFC」という)は、今回のケースに限った意見として、異議を申し立てられた意匠特許はKSR以前の意匠特許の自明 性テストや予見されるものを超えており、自明ではないという特許審判部の認定を支持しました。
特許審判部(PTAB)は、過去4年間、最終書面決定(final written decision)で扱ったクレームの70%以上を特許不可としてきています。この割合は、特許権者にとって安心できるものではなく、もし手続きが始まったのであれば、最終書面決定を回避するための代替的な解決策を検討すべきです。過去の傾向および手続き開始率の上昇を含むPTABの現在の状況を考慮すると、最終書面決定における特許無効の割合は2023年も高い水準で継続すると予想されます。
103条における自明の拒絶では、先行技術文献の組み合わせが必要であり、その組み合わせには動機(motivation to combine)が必要です。しかし、文献を組み合わせてクレームを自明とする解釈をする場合、1つの文献で示された「利点」が必然的に損なわれる場合、組み合わせの動機は失われるものなのでしょうか?この問題に対して、CAFCが判決を下したケースがあったので、紹介していきたいと思います。
CareDx, Inc. v. Natera, Inc, において、連邦巡回控訴裁(CAFC)は、連邦地裁の判決を支持し、CareDxの臓器移植拒絶反応の検出方法に関する特許クレームは、 35 U.S.C. § 101に基づき特許不適格として無効であるとしました。CAFCは、特許クレームは「自然法則とその法則の発現を検出または定量化する従来の手 法に関する」特許であり、「従来の」技術のみを記載しているという特許自身の「自明」に基づいていると判断しました。
2022年12月8日、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、過去の当事者間審査(IPR)手続において、特許審判部(PTAB)が特定の特許クレームを特許不実施(unpatentable)と認定したことにより、別のIPR手続きにおいて、関連特許の類似クレームが担保禁反言(collateral estoppel)に基づき特許不実施となると判断しました。
特許権者は、IPR手続き中にクレーム範囲を否認(disclaim)することによってクレームを狭めようとすることはできません。そのため、IPRにおいてクレームを修正する場合、専用の特別なプロセスに沿う必要があります。
特許訴訟の際にIPRを用いてPTABで特許を無効にしようとすることがありますが、訴訟から1年以内にIPRの手続きを行わないと35 U.S.C. § 315(b)により時効となります。今回は訴訟になっている特許のIPRがNPR対策組織であるUnifiedから行われましたが、権利行使された当事者であるAppleやSamsungもUnifiedの会員だったため、PRIにAppleやSamsungも含まれるかが問題になりました。
米国連邦巡回控訴裁判所は、957の塩のクラスを開示する先行技術は、当業者がクラス内の全ての塩を「一度に想定」することはできないため、クラス内の塩に対するクレームを本質的に予見することはできないとした特許審判部(PTAB)の決定を支持しました。内在性による新規性否定(Inherent Anticipation)に関しては明確な基準は示されていませんが、開示内容が広範囲に及ぶような場合、内在性による新規性否定を示すには発明内容に関する具体的な教えが開示されている必要があると考えることができるでしょう。