
新しいルールでIPRが特許権者有利にシフトか?
今年1月8日からIPRにおける新ルールが追加されました。IPRとPRGのinstitutionに関するもので、今まで申立人に有利だったルールが変更され、専門家の証言がより「平等」に取り扱われることになります。この変更により専門家の証言を見合わせていた特許権者も、新しいルールにおいて専門家の証言を提出するかどうかを再検討する必要があります。
今年1月8日からIPRにおける新ルールが追加されました。IPRとPRGのinstitutionに関するもので、今まで申立人に有利だったルールが変更され、専門家の証言がより「平等」に取り扱われることになります。この変更により専門家の証言を見合わせていた特許権者も、新しいルールにおいて専門家の証言を提出するかどうかを再検討する必要があります。
今回指摘された構造的なバイアスがPTAB内にあるとしたら、多様されているIPRの信頼性にも問題を提示する深刻な問題です。しかし、今回の記事やRPXのレポートを見る限り、バイアス疑惑には異議を唱えざるおえないです。今回は疑惑の真相を追求し、客観的なデータから示される顕著な一貫性について話していきます。
IPRをする上で問題になってくるのが申立書の文字制限です。その問題を回避するために、並行して複数の申立書(parallel petitions)を提出することもありますが、その行為の一部が問題視されています。今回は、この問題に関する現状を深堀りし、解決策として提案されている方法について解説していきます。
PTABの統計データはアメリカ特許の状況を理解する上でとても重要な情報です。2020年度の総数には特に変動はありませんでしたが、Insititution率の低下が今後IPRにどのような影響を与えるかが注目です。アメリカの特許訴訟においてIPRは重要なツールの1つで、このInstitution率の変化は、IPRの申し立て数を左右する大きな要因の1つです。
今回の特許防衛団体であるPPXと加入企業であるSalesforceの関係は、単なる団体と加盟企業という枠を超えていたので、Salesforceが実質的利害関係者と認められ、315 条(b)によりIPRが開始されるべきではないという判決が下りました。しかし、この判例は通常の特許防衛団体とその加盟企業すべてに適用されるということではないので、個別の事実背景に基づいた判断が必要になってきます。
今回、最高裁で審議されることが決まったArthrex事件ですが、影響を受けた100件ほどのIPR以外は特に直接影響があるとは考えられていません。最高裁でどのような判断がされるかはわかりませんが、特に現在係争中(または係争を予定している)PTABの手続きに影響を与える可能性は低いと思われます。
明細書内の背景の説明などで出願人が特定の事柄を先行技術として認めることがあります。今回のガイドラインでそれ自体はIPRにおける特許のチャレンジのベースにはならないことは明確になったのですが、自明性の主張の際に、出願人が認めた先行技術が特許権者に不利な形で活用される場合があるので、出願時に先行技術についての説明は必要最低限にとどめるべきでしょう。
Means-Plus-FunctionクレームをIPRで無効化しようとする場合、注意が必要です。対応する構造が明細書内で示されていない場合、その欠陥を理由に、IPRではMeans-Plus-Functionクレームの再審査ができない可能性があります。
2019年10月1日~2020年6月30日のポストグラントチャレンジのInstitution率は、前年度の63%に対し、56%となっています(Institutionされたもの478件、却下されたもの376件)。特許庁は10月から年度が始まり、今年度の統計データは第三期まで出ていますが、今後Institution率がどう変わっていくかは注視していきたいポイントです。