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アメリカ知財とAI知財に関する記事

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人工知能(AI)は、21世紀において最も変革的なテクノロジーのひとつとなりました。AIは、知的財産(IP)の創造と保護の方法に革命をもたらし、知的財産の専門家やコンテンツ制作者に課題(challenges)と機会(opportunities)の両方をもたらしています。AIが生成した創作物やAIが支援する発明がますます普及するにつれて、すべての利害関係者が知的財産権の保護、執行、収益化への影響を理解し、それに応じて適応することが極めて重要です。
原則、すでに公開された発明は特許にできませんが、アメリカには開示に関して1年間の猶予期間があります。そのため、もし仮に発明者が著者である刊行物が出願前に公開されたとしても、その文献を先行技術文献として取り扱わないようにすることができます。今回はその102条(b)(1)(A)における例外と、使われる宣誓書、そして、そこに書くべき内容を、よくある共同著者が発明者であるケースを用いて考えていきます。
小規模の著作権紛争の解決オプションとして著作権請求委員会(CCB)ができて1年経ちました。申し立てのほとんどが審理に至らないケースだったため、CCBの貢献度や成果を総合的に評価するのは現時点では難しいですが、会社や組織の規模に限らず、少額の著作権問題の効果的な解決方法として今後もCCBが活用されていくことが期待されています。
2023年6月29日、米国連邦最高裁判所は、Abitron Austria GmbH v. Hetronic International, Inc.事件において全会一致の判決を下し、商標権侵害を禁止するランハム法の規定の域外適用範囲(extraterritorial reach)を国内使用に限定しました。判決に至るにあたり、裁判所は2段階の分析を適用。第一に、商標権侵害を禁止するランハム法の規定である米国法典第 15 編第 1114 条(1)(a)及び第 1125 条(a)(1)が域外適用されるか否かを検討し、域外適用されないと結論付けました。第二に、裁判所は、これらの規定の焦点は、商標侵害の疑いによる影響(消費者混同の可能性の創出)ではなく、侵害行為そのもの(商業におけるマークの使用)であると判断しました。従って、本判決は、今後の重要な問題は、消費者の混同がどこで生じたかではなく、侵害行為がどこで行われたかであることを示唆しています。
法律業界でもChatGPTを始めとしたAIツールの活用は始まっていますが、使用する際の弁護士と依頼人間の特権への潜在的なリスクが現在注目されています。具体的には、生成AIを使用しても弁護士と依頼人の間の機密性が担保されるのか?が問題になっています。ChatGPTは個人情報に単独でアクセスしたり保持することはできませんが、OpenAIのプライバシーポリシーに従ってユーザーとのやり取りを訓練データとして使えるよう記録しています。そのため、弁護士や依頼人は、法律の文脈でAIを使用する際には特に注意を払うように助言されており、特権を危険にさらす可能性のある機密情報や敏感な情報をプロンプトとして利用することは避けるべきです。
ChatGPTを始めとする生成AIがどんどん普及していますが、その反動というか、当然の流れとして、普及度に比例しAI関連の訴訟も増えてきています。特に著作権侵害やそれに関連する訴訟は多く、今回もOpenAIを相手に、直接および間接的な著作権侵害、著作権管理情報の削除、不公正な競争、過失、不当利得を理由にした訴訟が米国地方裁判所でおこりました。この訴訟も含め現在進行中の著作権関連のAI訴訟における判決は、AI開発と著作権法に大きな影響を及ぼす可能性があります。
最近スローガンなどで用いられる用語に対して商標として機能しないことを理由に商標登録を拒絶するケースが増えてきています。しかし、今回の商標審判委員会(TTAB)におけるケースを見てみると、審査官による証拠はありふれたメッセージを表現するためにそのスローガンが第三者によって広く使用されていることを証明するには不十分である可能性があり、その問題を指摘することで、拒絶を解消できる可能性が十分あることがわかります。
AIはまさに時代を大きく変える可能性を秘めています。今まさにAI時代を担う企業が多くの取り組みを行い、それに伴い大量のAI関連特許が出願されています。しかし、それらの特許は本当に価値のあるものなのでしょうか?特許とテクノロジー企業の勝ち負けには強い相関関係があるとされています。そうであれば、AI時代に勝ち組になるために、企業はAI発明においてどのような取り組みの元、特許を取得すればいいのでしょうか?今回は戦略面における3つのポイントを紹介します。
去年に続き、「2023年特許適格性回復法」と呼ばれる法案が提出され、アメリカにおけるソフトウェアや生物科学系の特許の権利化で大きな問題になっている101条における特許適格性の抜本的な改正が期待されています。この法案が可決され法律になると、今までの関連する最高裁判決を覆すことになり、全く異なるフレームワークでの特許適格性の判断が行われることになります。しかし、可決の可能性以前に議会で審議されるかも現在では不透明なので、法改正への道のりは不透明と言わざるをえません。
アメリカのアマゾンでモノを売る場合、商標を取り、ブランド・レジストリに登録することは今では当たり前のようになっています。しかし、このように制度が普及すると、それを悪用する業者も出てくるのが常です。今回はそのような悪徳業者をアマゾンが地裁で訴えたという珍しいことがありましたが、その効果は限定的で、ブランド自身が自分たちの知財に対して真剣に取り組み、権利化から権利行使まで、より戦略的で緻密な取り組みが求められることが浮き彫りになりました。
架空の存在しない判例をChatGPTが作り出し、事実確認が取れないまま裁判所に提出した弁護士たちの事件は、法曹界に大きな衝撃を与えました。今回その事件に関する審問と制裁判決があったので、その詳細を解説します。この問題は表面的にはAIツールの誤操作・過信のように見えますが、審問と判決内容を見るとそうではなく、ミスを指摘されたときに隠蔽しようとウソをついたことが本質的な問題です。そのウソがウソを呼び、取り返しのつかないところまで膨れ上がったという、弁護士として(そして人間として)のミスをしたときの対応に問題があり、そこが制裁でも重視されていたことがわかります。
ChatGPTの開発元であるOpenAIが最近発表した論文を読むと、ChatGPTのような生成AIを使うことで起こりうる問題がわかってきます。無意味または偽のコンテンツを生成する「幻覚」を含む生成AI特有の問題の技術的な対策は難しく、使うユーザー側の判断にも大きな影響を与えるリスクもあります。そのため、今後、「正しく」AIツールを使うには、ツールの発展と共に、ユーザーのAIリテラシーの向上が求められ、それは差し迫った問題として捉えるべきです。