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RPXがプライベート・エクイティ・ファンドに$555millionで買収される

このニュースレターでの何回か記事を取り上げてきたRPXがシリコンバレーのプライベート・エクイティ・ファンドHGGCに買収されました。RPX Corporationのサービスには、特許リスク管理ソリューション、防衛的買収の引受の申出、引受買収(シンジケーション)、特許情報戦略(インテリジェンス)、アドバイザリー・サービスなどがあります。RPXのような組織の目的は、NPE(パテント・トロールとも呼ばれる)組織から、顧客が訴えられるリスクを軽減することです。   HGGCは多くのテクノロジー企業があるPalo Altoをベースに活動しているプライベート・エクイティ・ファンドで、ウェブサイトによると$4.3 billionもの資本コミットメントを行っているとのことでした。HGGCは多くのテクノロジービジネスのポートフォリオを持っていますが、特許系の会社を買収するのははじめてです。   2017年に株式を非公開にするように動いた元CEOが取締会に反対されてから、身売りをするのでは?というニュースが流れていました。しかし、アメリカにおける特許訴訟数の減少やNPEによる脅しが減少していく中、RPXの存在価値や長期的な事業の安定性に疑問視する専門家も何人かいました。大口顧客だったMicrosfotが契約を更新しなかったことを受け、今後も他の大企業がRPXを離れていくことが予想されます。   HGGCのコメントを見ると、RPXのコアビジネスをサポートして事業を成長させていくようです。$555millionという数字は、RPXの投資者から見ると低い金額ですが、すべて現金で行われるので、今後の見通しが立てづらい特許市場での投資の回収という面ではまずまずではないかと思います。特許市場は日々変わり予想が立てづらい市場なので、今後どのようにHGGCとRPXが事業を行っていくか注目です。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Richard Lloyd. IAM http://www.iam-media.com/blog/detail.aspx?g=9bfb96b1-7b68-4183-a672-0295ca35f179

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特許庁におけるデザイン特許の訴訟統計(2018年4月16日まで)

統計データによると、IPRもPRGも共に、2016年に急上昇しピークを迎え、それから2016年以前よりも増えたものの、数が減少しています。   調査開始確立   特許庁によるデザイン特許の調査開始確率(institution rate)は41%です。通常の特許を含めた手続き全体で見ると、調査開始確率は68%なので、デザイン特許になると調査が開始されないことの方が多いようです。   デザイン特許の審査が申し込まれる技術分野を見ると、靴などのfootwearが最多で15件、続いて家庭用品で11件でした。   元記事には、各種グラフやチャートが記載されているので、参考にしてみてください。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Mark W. Rygiel and Patrick T. Murray. Sterne Kessler Goldstein & Fox

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ITC337条調査のルールが改定

2018年4月26日に、USITC (the US International Trade Commission)が 337条調査のルールを改定しました。この改定はFederal Register noticeで公布(近日中)された後、30日後に有効になります。おさらいになりますが、337条調査において、ITCには不正行為によってアメリカに輸入されたものを調査します。 この調査の主な対象は特許侵害ですが、企業機密の横領や、商標、著作権、mask worksや他の知財の侵害や不正行為も含みます。   今回の改正の注目する点は4つあります。   100日間手続きの追加:この手続きにより、administrative law judge (“ALJ”) が比較的簡単に解決できる問題に対し調査開始から100日以内に結論が出せるようになります。この手続きにおいて、早期公判(expedited hearings)が行え、対象の問題以外のディスカバリーを一時中断することができます。 調査の複数手続き:調査が開始される前、または調査が始まってから30日以内であれば、当事者の申し立てにより調査を複数の手続きに分けることができるようになります 召喚令状への抗議:召喚令状(subpoena)が送られた関係者が、10日以内(または、ALJが定めた日にち以内に)その召喚令状に対する抗議ができるようになりました。 電子化:ITC調査に関わる書類の提出や送付が電子的にできるようになりました。   このようなルール改正で、ITCはさらなる337条調査の合理化を図っていきます。特に試験的に導入されていた100日間手続きが正式にルール化されたことにより、無駄な手続きを排除して、比較的簡単に解決できる問題に対して100日以内に判決が下ります。100日手続きは、特定の問題に対する公判(evidentiary

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2018年ITC調査は最高を更新か?

2018年前期にITCに対して39件もの新しい337条調査の申し立てが行われました。この数字が続けば今年のITCは337条調査で非常に忙しくなり、このペースが少しでも上がれば2016年に記録した79件という数字を超える見込みです。   元記事には、年ごとのITC337条調査の動向がわかるチャートが見れますので参考にしてみてください。   また、2018年FYは、新規の調査数に加え、現在進行中の調査の数も顕著に増加しています。現在進行中の調査数は年々一定を保っていましたが、2018年前期の時点で95件もの進行中の調査があります。このような状況になった背景には、新規の調査申し立ての増加もありますが、ITC内のコミッショナーとALJの人数がITCの歴史的に見ても少ない状況にあることが原因だと思われます。ITCでは、Commissioner KearnsとALJ Cheneyが新たに加わったので、この継続中の調査の数は近い将来減少することが予測されています。   このようにITC調査が人気を集めている背景には、通常の地裁における特許侵害訴訟にはない特有の有利点、特に、IPR手続きによって止まらないことと差し止め救済に挙げられると思います。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Vishal V. Khatri. Jones Day http://jonesdayitcblog.com/2018-pace/#page=1

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和解にもかかわらずPTABが最終判決を棄却することを拒否する

最終判決(final written decision)後に、IPRの和解を行なった場合、PTABはその最終判決を棄却することを拒否する場合があるので注意が必要です。 Dish Network LLC v. TQ Beta, LLCにおいて、PTABはCAFCへの上訴が予定されていたIPR手続きの最終判決に関して、当事者間で和解が行われたにもかかわらず、最終判決を棄却することを拒否しました。PTABは、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するものだが、特許が無効と判断された後に最終判決を放棄することは公民の利益(public interest)に反するものだとしました。 背景: PTABでは、3つのクレームに対して特許権者に不利な最終判決を発行。特許権者は、その判決を不服に感じ、CAFCへの上訴手続きを行なっていました。しかし、その上訴に関する決定を受け取る前に、当事者が和解。その後、特許権者は裁判所に上訴を取り下げ、PTABに案件の差し戻しを要望。PTABに差し戻し、最終判決を棄却してもらうことが狙いでした。裁判所は取り下げには応じましたが、棄却については判断しかねていました。 特許権者は、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するもので、最終判決の後、最終判決の棄却が行われない場合、CAFCへ上訴手続きを行っている間に和解するメリットがないと主張。しかし、PTABはその主張に反論し、議会は、IPR手続きに関し、2つの政策目的、1)和解の推奨と2)特許性がないと判断されたクレームの無効化、を設けたことを指摘。今回のケースにおいて、現時点で最終判決を棄却することは、2番目の特許性がないと判断されたクレームの無効化という目的に反するため、公民の利益(public interest)を考慮した結果、PTABが最終判決を棄却することを拒否することは適切であるという判断を下しました。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Dion M. Bregman and Bradford A. Cangro. Morgan Lewis

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ITC調査におけるGeneral Exclusion Ordersについて知っておきたいこと

ITCによる337条調査は、ITCによる特許侵害等の調査で、特許侵害が確定すれば侵害品をアメリカに輸入できなくなります。このITCによる337条調査(ここでは、簡単にITC調査とする)は、「モノ」に対する手続き(in rem proceedings)であり、通常の訴訟で必要とされる侵害品製造の疑いがあるメーカーやその製品を輸入する業者に対する対人管轄権(Personal jurisdiction)は必要ではありません。つまり、場合によっては、ITCはITC調査で訴えられていないメーカーや輸入業者の品物に対しても輸入を規制できる権限を持っています。 limited exclusion order (LEO) とgeneral exclusion order (GEO) 337条調査で特許侵害が分かると、ITCはlimited exclusion order (LEO) かgeneral exclusion order (GEO)を発行できます。 まずLEOですが、この命令がITC調査ではもっとも一般的で、 U.S. Customs and Border

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優先権主張は慎重に

Droplets, Inc. v. E*TRADE Bank, No. 16-2504 (Fed. Cir. Apr. 19, 2018)において、優先権主張の際にミスがあったため、特許権者であるDropletsは有効出願日を早い時期に遡ることができず、結局自社のPCT出願によってクレームが無効化されてしまいました。 背景: この優先権の問題を理解するには、関係する特許ファミリーの関係を理解する必要があります。詳細は元記事の図を見てもらうのが一番わかりやすいですが、PCT出願から3つの特許がアメリカで成立しましたが、その内1つは、PCT出願の仮出願に優先権を主張しており( ’745 patent)、2つ目の’838 patentは、 ’745 patentと仮出願に優先権を主張、最後の’115 patentは’838 patent と 仮出願に優先権を主張して、参照による引用(incorporation by reference)で’838

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IPRは違憲ではないと米国最高裁が判断

4月24日、米国最高裁は、このOpen Legal Communityでもウェビナーを行なったOil States Energy Services v. Greene’s Energy Groupに対して判決を下しました。7対2で、米国最高裁はIPR(当事者間レビュー)は違憲ではない(not unconstitutional)と判断しました。 この案件では、そもそもIPRの合憲性(constitutionality)、つまりIPRという仕組みがアメリカの憲法の規定にかなっているか問題になっていて、IPRが違憲だと判断されれば、特許庁で行っている無効審判制度であるIPRが大きく変更する恐れがありました。http://openlegalcommunity.com/oil_states_ipr_constitutionality しかし、24日、最高裁は、IPRは問題視されていたアメリカ憲法第三条 (Article III)にも憲法修正第七条 (the Seventh Amendment)の陪審員による裁判という点でも、憲法に違反していなかったと結論づけました。 判決文で、Thomas判事は、IPRという仕組みは”Public rights”(公民としての権利)の考え方に当てはまるとして、公民としての権利であるがゆえ、議会はアメリカ憲法第三条の元に置かれている司法裁判所以外でも、裁判を下せるようにすることができるとしました。さらにそのような考え方の元、IPR手続きが導入されたAIAにおいて、議会がALJ(Administrative Law Judges)によって、特許性の判決を行うIPRを導入したことは、憲法上、何も問題がないとしました。 特許は法律によってのみ与えられた権利なので、行政による審議の必要条件を満たす必要があるとしました。PTABによるIPR手続きは、まさに議会がAIAで行政による特許の再審議を行う場として作り出したものなので、特許がIPR手続きによってPTABで再審議されることは、合憲とされました。 上記のように、アメリカ憲法第三条 (Article

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アメリカにとって台湾の重要性が増している

アメリカにとって、貿易額がTop10にランクインした台湾は重要な国(地域)の1つになってきています。経済的な重要性に伴い台湾における特許等の知財保護の重要性も高まってきています。 知財保護という観点で気をつけたいのが、台湾がWIPOメンバーでないということです。しかし、台湾はアメリカやヨーロッパの国々を含む数多くの国と知財にかかわる契約を交わしています。台湾はEPCやPCTの加盟国ではないですが、EPCやPCT出願の優先権を主張して台湾に出願することが可能です。台湾はPCT加盟国ではないので、30ヶ月後のnational phase entryはできません。その代わりに、台湾におけるnational applicationは最も早い出願日から12ヶ月以内に行う必要があります。台湾特許出願は中国語以外の言語でもできますが、中国語による翻訳の提出が決められた時期までに必要です。対応言語は、Arabic, English, French, German, Japanese, Korean, Portuguese, Russian and Spanishとのことです。 台湾には3種類の特許:Invention, Utility Model, そして Designがあります。Invention特許は、一般的な「特許」とほぼ同等で、20年の期間有効です。一部のバイオ系の発明(animals, plants, and essential biological processes for

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RPXがプライベート・エクイティ・ファンドに$555millionで買収される

このニュースレターでの何回か記事を取り上げてきたRPXがシリコンバレーのプライベート・エクイティ・ファンドHGGCに買収されました。RPX Corporationのサービスには、特許リスク管理ソリューション、防衛的買収の引受の申出、引受買収(シンジケーション)、特許情報戦略(インテリジェンス)、アドバイザリー・サービスなどがあります。RPXのような組織の目的は、NPE(パテント・トロールとも呼ばれる)組織から、顧客が訴えられるリスクを軽減することです。   HGGCは多くのテクノロジー企業があるPalo Altoをベースに活動しているプライベート・エクイティ・ファンドで、ウェブサイトによると$4.3 billionもの資本コミットメントを行っているとのことでした。HGGCは多くのテクノロジービジネスのポートフォリオを持っていますが、特許系の会社を買収するのははじめてです。   2017年に株式を非公開にするように動いた元CEOが取締会に反対されてから、身売りをするのでは?というニュースが流れていました。しかし、アメリカにおける特許訴訟数の減少やNPEによる脅しが減少していく中、RPXの存在価値や長期的な事業の安定性に疑問視する専門家も何人かいました。大口顧客だったMicrosfotが契約を更新しなかったことを受け、今後も他の大企業がRPXを離れていくことが予想されます。   HGGCのコメントを見ると、RPXのコアビジネスをサポートして事業を成長させていくようです。$555millionという数字は、RPXの投資者から見ると低い金額ですが、すべて現金で行われるので、今後の見通しが立てづらい特許市場での投資の回収という面ではまずまずではないかと思います。特許市場は日々変わり予想が立てづらい市場なので、今後どのようにHGGCとRPXが事業を行っていくか注目です。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Richard Lloyd. IAM http://www.iam-media.com/blog/detail.aspx?g=9bfb96b1-7b68-4183-a672-0295ca35f179

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特許庁におけるデザイン特許の訴訟統計(2018年4月16日まで)

統計データによると、IPRもPRGも共に、2016年に急上昇しピークを迎え、それから2016年以前よりも増えたものの、数が減少しています。   調査開始確立   特許庁によるデザイン特許の調査開始確率(institution rate)は41%です。通常の特許を含めた手続き全体で見ると、調査開始確率は68%なので、デザイン特許になると調査が開始されないことの方が多いようです。   デザイン特許の審査が申し込まれる技術分野を見ると、靴などのfootwearが最多で15件、続いて家庭用品で11件でした。   元記事には、各種グラフやチャートが記載されているので、参考にしてみてください。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Mark W. Rygiel and Patrick T. Murray. Sterne Kessler Goldstein & Fox

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ITC337条調査のルールが改定

2018年4月26日に、USITC (the US International Trade Commission)が 337条調査のルールを改定しました。この改定はFederal Register noticeで公布(近日中)された後、30日後に有効になります。おさらいになりますが、337条調査において、ITCには不正行為によってアメリカに輸入されたものを調査します。 この調査の主な対象は特許侵害ですが、企業機密の横領や、商標、著作権、mask worksや他の知財の侵害や不正行為も含みます。   今回の改正の注目する点は4つあります。   100日間手続きの追加:この手続きにより、administrative law judge (“ALJ”) が比較的簡単に解決できる問題に対し調査開始から100日以内に結論が出せるようになります。この手続きにおいて、早期公判(expedited hearings)が行え、対象の問題以外のディスカバリーを一時中断することができます。 調査の複数手続き:調査が開始される前、または調査が始まってから30日以内であれば、当事者の申し立てにより調査を複数の手続きに分けることができるようになります 召喚令状への抗議:召喚令状(subpoena)が送られた関係者が、10日以内(または、ALJが定めた日にち以内に)その召喚令状に対する抗議ができるようになりました。 電子化:ITC調査に関わる書類の提出や送付が電子的にできるようになりました。   このようなルール改正で、ITCはさらなる337条調査の合理化を図っていきます。特に試験的に導入されていた100日間手続きが正式にルール化されたことにより、無駄な手続きを排除して、比較的簡単に解決できる問題に対して100日以内に判決が下ります。100日手続きは、特定の問題に対する公判(evidentiary

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2018年ITC調査は最高を更新か?

2018年前期にITCに対して39件もの新しい337条調査の申し立てが行われました。この数字が続けば今年のITCは337条調査で非常に忙しくなり、このペースが少しでも上がれば2016年に記録した79件という数字を超える見込みです。   元記事には、年ごとのITC337条調査の動向がわかるチャートが見れますので参考にしてみてください。   また、2018年FYは、新規の調査数に加え、現在進行中の調査の数も顕著に増加しています。現在進行中の調査数は年々一定を保っていましたが、2018年前期の時点で95件もの進行中の調査があります。このような状況になった背景には、新規の調査申し立ての増加もありますが、ITC内のコミッショナーとALJの人数がITCの歴史的に見ても少ない状況にあることが原因だと思われます。ITCでは、Commissioner KearnsとALJ Cheneyが新たに加わったので、この継続中の調査の数は近い将来減少することが予測されています。   このようにITC調査が人気を集めている背景には、通常の地裁における特許侵害訴訟にはない特有の有利点、特に、IPR手続きによって止まらないことと差し止め救済に挙げられると思います。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Vishal V. Khatri. Jones Day http://jonesdayitcblog.com/2018-pace/#page=1

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和解にもかかわらずPTABが最終判決を棄却することを拒否する

最終判決(final written decision)後に、IPRの和解を行なった場合、PTABはその最終判決を棄却することを拒否する場合があるので注意が必要です。 Dish Network LLC v. TQ Beta, LLCにおいて、PTABはCAFCへの上訴が予定されていたIPR手続きの最終判決に関して、当事者間で和解が行われたにもかかわらず、最終判決を棄却することを拒否しました。PTABは、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するものだが、特許が無効と判断された後に最終判決を放棄することは公民の利益(public interest)に反するものだとしました。 背景: PTABでは、3つのクレームに対して特許権者に不利な最終判決を発行。特許権者は、その判決を不服に感じ、CAFCへの上訴手続きを行なっていました。しかし、その上訴に関する決定を受け取る前に、当事者が和解。その後、特許権者は裁判所に上訴を取り下げ、PTABに案件の差し戻しを要望。PTABに差し戻し、最終判決を棄却してもらうことが狙いでした。裁判所は取り下げには応じましたが、棄却については判断しかねていました。 特許権者は、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するもので、最終判決の後、最終判決の棄却が行われない場合、CAFCへ上訴手続きを行っている間に和解するメリットがないと主張。しかし、PTABはその主張に反論し、議会は、IPR手続きに関し、2つの政策目的、1)和解の推奨と2)特許性がないと判断されたクレームの無効化、を設けたことを指摘。今回のケースにおいて、現時点で最終判決を棄却することは、2番目の特許性がないと判断されたクレームの無効化という目的に反するため、公民の利益(public interest)を考慮した結果、PTABが最終判決を棄却することを拒否することは適切であるという判断を下しました。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Dion M. Bregman and Bradford A. Cangro. Morgan Lewis

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ITC調査におけるGeneral Exclusion Ordersについて知っておきたいこと

ITCによる337条調査は、ITCによる特許侵害等の調査で、特許侵害が確定すれば侵害品をアメリカに輸入できなくなります。このITCによる337条調査(ここでは、簡単にITC調査とする)は、「モノ」に対する手続き(in rem proceedings)であり、通常の訴訟で必要とされる侵害品製造の疑いがあるメーカーやその製品を輸入する業者に対する対人管轄権(Personal jurisdiction)は必要ではありません。つまり、場合によっては、ITCはITC調査で訴えられていないメーカーや輸入業者の品物に対しても輸入を規制できる権限を持っています。 limited exclusion order (LEO) とgeneral exclusion order (GEO) 337条調査で特許侵害が分かると、ITCはlimited exclusion order (LEO) かgeneral exclusion order (GEO)を発行できます。 まずLEOですが、この命令がITC調査ではもっとも一般的で、 U.S. Customs and Border

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優先権主張は慎重に

Droplets, Inc. v. E*TRADE Bank, No. 16-2504 (Fed. Cir. Apr. 19, 2018)において、優先権主張の際にミスがあったため、特許権者であるDropletsは有効出願日を早い時期に遡ることができず、結局自社のPCT出願によってクレームが無効化されてしまいました。 背景: この優先権の問題を理解するには、関係する特許ファミリーの関係を理解する必要があります。詳細は元記事の図を見てもらうのが一番わかりやすいですが、PCT出願から3つの特許がアメリカで成立しましたが、その内1つは、PCT出願の仮出願に優先権を主張しており( ’745 patent)、2つ目の’838 patentは、 ’745 patentと仮出願に優先権を主張、最後の’115 patentは’838 patent と 仮出願に優先権を主張して、参照による引用(incorporation by reference)で’838

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IPRは違憲ではないと米国最高裁が判断

4月24日、米国最高裁は、このOpen Legal Communityでもウェビナーを行なったOil States Energy Services v. Greene’s Energy Groupに対して判決を下しました。7対2で、米国最高裁はIPR(当事者間レビュー)は違憲ではない(not unconstitutional)と判断しました。 この案件では、そもそもIPRの合憲性(constitutionality)、つまりIPRという仕組みがアメリカの憲法の規定にかなっているか問題になっていて、IPRが違憲だと判断されれば、特許庁で行っている無効審判制度であるIPRが大きく変更する恐れがありました。http://openlegalcommunity.com/oil_states_ipr_constitutionality しかし、24日、最高裁は、IPRは問題視されていたアメリカ憲法第三条 (Article III)にも憲法修正第七条 (the Seventh Amendment)の陪審員による裁判という点でも、憲法に違反していなかったと結論づけました。 判決文で、Thomas判事は、IPRという仕組みは”Public rights”(公民としての権利)の考え方に当てはまるとして、公民としての権利であるがゆえ、議会はアメリカ憲法第三条の元に置かれている司法裁判所以外でも、裁判を下せるようにすることができるとしました。さらにそのような考え方の元、IPR手続きが導入されたAIAにおいて、議会がALJ(Administrative Law Judges)によって、特許性の判決を行うIPRを導入したことは、憲法上、何も問題がないとしました。 特許は法律によってのみ与えられた権利なので、行政による審議の必要条件を満たす必要があるとしました。PTABによるIPR手続きは、まさに議会がAIAで行政による特許の再審議を行う場として作り出したものなので、特許がIPR手続きによってPTABで再審議されることは、合憲とされました。 上記のように、アメリカ憲法第三条 (Article

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アメリカにとって台湾の重要性が増している

アメリカにとって、貿易額がTop10にランクインした台湾は重要な国(地域)の1つになってきています。経済的な重要性に伴い台湾における特許等の知財保護の重要性も高まってきています。 知財保護という観点で気をつけたいのが、台湾がWIPOメンバーでないということです。しかし、台湾はアメリカやヨーロッパの国々を含む数多くの国と知財にかかわる契約を交わしています。台湾はEPCやPCTの加盟国ではないですが、EPCやPCT出願の優先権を主張して台湾に出願することが可能です。台湾はPCT加盟国ではないので、30ヶ月後のnational phase entryはできません。その代わりに、台湾におけるnational applicationは最も早い出願日から12ヶ月以内に行う必要があります。台湾特許出願は中国語以外の言語でもできますが、中国語による翻訳の提出が決められた時期までに必要です。対応言語は、Arabic, English, French, German, Japanese, Korean, Portuguese, Russian and Spanishとのことです。 台湾には3種類の特許:Invention, Utility Model, そして Designがあります。Invention特許は、一般的な「特許」とほぼ同等で、20年の期間有効です。一部のバイオ系の発明(animals, plants, and essential biological processes for

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RPXがプライベート・エクイティ・ファンドに$555millionで買収される

このニュースレターでの何回か記事を取り上げてきたRPXがシリコンバレーのプライベート・エクイティ・ファンドHGGCに買収されました。RPX Corporationのサービスには、特許リスク管理ソリューション、防衛的買収の引受の申出、引受買収(シンジケーション)、特許情報戦略(インテリジェンス)、アドバイザリー・サービスなどがあります。RPXのような組織の目的は、NPE(パテント・トロールとも呼ばれる)組織から、顧客が訴えられるリスクを軽減することです。   HGGCは多くのテクノロジー企業があるPalo Altoをベースに活動しているプライベート・エクイティ・ファンドで、ウェブサイトによると$4.3 billionもの資本コミットメントを行っているとのことでした。HGGCは多くのテクノロジービジネスのポートフォリオを持っていますが、特許系の会社を買収するのははじめてです。   2017年に株式を非公開にするように動いた元CEOが取締会に反対されてから、身売りをするのでは?というニュースが流れていました。しかし、アメリカにおける特許訴訟数の減少やNPEによる脅しが減少していく中、RPXの存在価値や長期的な事業の安定性に疑問視する専門家も何人かいました。大口顧客だったMicrosfotが契約を更新しなかったことを受け、今後も他の大企業がRPXを離れていくことが予想されます。   HGGCのコメントを見ると、RPXのコアビジネスをサポートして事業を成長させていくようです。$555millionという数字は、RPXの投資者から見ると低い金額ですが、すべて現金で行われるので、今後の見通しが立てづらい特許市場での投資の回収という面ではまずまずではないかと思います。特許市場は日々変わり予想が立てづらい市場なので、今後どのようにHGGCとRPXが事業を行っていくか注目です。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Richard Lloyd. IAM http://www.iam-media.com/blog/detail.aspx?g=9bfb96b1-7b68-4183-a672-0295ca35f179

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特許庁におけるデザイン特許の訴訟統計(2018年4月16日まで)

統計データによると、IPRもPRGも共に、2016年に急上昇しピークを迎え、それから2016年以前よりも増えたものの、数が減少しています。   調査開始確立   特許庁によるデザイン特許の調査開始確率(institution rate)は41%です。通常の特許を含めた手続き全体で見ると、調査開始確率は68%なので、デザイン特許になると調査が開始されないことの方が多いようです。   デザイン特許の審査が申し込まれる技術分野を見ると、靴などのfootwearが最多で15件、続いて家庭用品で11件でした。   元記事には、各種グラフやチャートが記載されているので、参考にしてみてください。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Mark W. Rygiel and Patrick T. Murray. Sterne Kessler Goldstein & Fox

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ITC337条調査のルールが改定

2018年4月26日に、USITC (the US International Trade Commission)が 337条調査のルールを改定しました。この改定はFederal Register noticeで公布(近日中)された後、30日後に有効になります。おさらいになりますが、337条調査において、ITCには不正行為によってアメリカに輸入されたものを調査します。 この調査の主な対象は特許侵害ですが、企業機密の横領や、商標、著作権、mask worksや他の知財の侵害や不正行為も含みます。   今回の改正の注目する点は4つあります。   100日間手続きの追加:この手続きにより、administrative law judge (“ALJ”) が比較的簡単に解決できる問題に対し調査開始から100日以内に結論が出せるようになります。この手続きにおいて、早期公判(expedited hearings)が行え、対象の問題以外のディスカバリーを一時中断することができます。 調査の複数手続き:調査が開始される前、または調査が始まってから30日以内であれば、当事者の申し立てにより調査を複数の手続きに分けることができるようになります 召喚令状への抗議:召喚令状(subpoena)が送られた関係者が、10日以内(または、ALJが定めた日にち以内に)その召喚令状に対する抗議ができるようになりました。 電子化:ITC調査に関わる書類の提出や送付が電子的にできるようになりました。   このようなルール改正で、ITCはさらなる337条調査の合理化を図っていきます。特に試験的に導入されていた100日間手続きが正式にルール化されたことにより、無駄な手続きを排除して、比較的簡単に解決できる問題に対して100日以内に判決が下ります。100日手続きは、特定の問題に対する公判(evidentiary

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2018年ITC調査は最高を更新か?

2018年前期にITCに対して39件もの新しい337条調査の申し立てが行われました。この数字が続けば今年のITCは337条調査で非常に忙しくなり、このペースが少しでも上がれば2016年に記録した79件という数字を超える見込みです。   元記事には、年ごとのITC337条調査の動向がわかるチャートが見れますので参考にしてみてください。   また、2018年FYは、新規の調査数に加え、現在進行中の調査の数も顕著に増加しています。現在進行中の調査数は年々一定を保っていましたが、2018年前期の時点で95件もの進行中の調査があります。このような状況になった背景には、新規の調査申し立ての増加もありますが、ITC内のコミッショナーとALJの人数がITCの歴史的に見ても少ない状況にあることが原因だと思われます。ITCでは、Commissioner KearnsとALJ Cheneyが新たに加わったので、この継続中の調査の数は近い将来減少することが予測されています。   このようにITC調査が人気を集めている背景には、通常の地裁における特許侵害訴訟にはない特有の有利点、特に、IPR手続きによって止まらないことと差し止め救済に挙げられると思います。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Vishal V. Khatri. Jones Day http://jonesdayitcblog.com/2018-pace/#page=1

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和解にもかかわらずPTABが最終判決を棄却することを拒否する

最終判決(final written decision)後に、IPRの和解を行なった場合、PTABはその最終判決を棄却することを拒否する場合があるので注意が必要です。 Dish Network LLC v. TQ Beta, LLCにおいて、PTABはCAFCへの上訴が予定されていたIPR手続きの最終判決に関して、当事者間で和解が行われたにもかかわらず、最終判決を棄却することを拒否しました。PTABは、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するものだが、特許が無効と判断された後に最終判決を放棄することは公民の利益(public interest)に反するものだとしました。 背景: PTABでは、3つのクレームに対して特許権者に不利な最終判決を発行。特許権者は、その判決を不服に感じ、CAFCへの上訴手続きを行なっていました。しかし、その上訴に関する決定を受け取る前に、当事者が和解。その後、特許権者は裁判所に上訴を取り下げ、PTABに案件の差し戻しを要望。PTABに差し戻し、最終判決を棄却してもらうことが狙いでした。裁判所は取り下げには応じましたが、棄却については判断しかねていました。 特許権者は、IPRに関する法律やルールは和解を推奨するもので、最終判決の後、最終判決の棄却が行われない場合、CAFCへ上訴手続きを行っている間に和解するメリットがないと主張。しかし、PTABはその主張に反論し、議会は、IPR手続きに関し、2つの政策目的、1)和解の推奨と2)特許性がないと判断されたクレームの無効化、を設けたことを指摘。今回のケースにおいて、現時点で最終判決を棄却することは、2番目の特許性がないと判断されたクレームの無効化という目的に反するため、公民の利益(public interest)を考慮した結果、PTABが最終判決を棄却することを拒否することは適切であるという判断を下しました。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Dion M. Bregman and Bradford A. Cangro. Morgan Lewis

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ITC調査におけるGeneral Exclusion Ordersについて知っておきたいこと

ITCによる337条調査は、ITCによる特許侵害等の調査で、特許侵害が確定すれば侵害品をアメリカに輸入できなくなります。このITCによる337条調査(ここでは、簡単にITC調査とする)は、「モノ」に対する手続き(in rem proceedings)であり、通常の訴訟で必要とされる侵害品製造の疑いがあるメーカーやその製品を輸入する業者に対する対人管轄権(Personal jurisdiction)は必要ではありません。つまり、場合によっては、ITCはITC調査で訴えられていないメーカーや輸入業者の品物に対しても輸入を規制できる権限を持っています。 limited exclusion order (LEO) とgeneral exclusion order (GEO) 337条調査で特許侵害が分かると、ITCはlimited exclusion order (LEO) かgeneral exclusion order (GEO)を発行できます。 まずLEOですが、この命令がITC調査ではもっとも一般的で、 U.S. Customs and Border

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優先権主張は慎重に

Droplets, Inc. v. E*TRADE Bank, No. 16-2504 (Fed. Cir. Apr. 19, 2018)において、優先権主張の際にミスがあったため、特許権者であるDropletsは有効出願日を早い時期に遡ることができず、結局自社のPCT出願によってクレームが無効化されてしまいました。 背景: この優先権の問題を理解するには、関係する特許ファミリーの関係を理解する必要があります。詳細は元記事の図を見てもらうのが一番わかりやすいですが、PCT出願から3つの特許がアメリカで成立しましたが、その内1つは、PCT出願の仮出願に優先権を主張しており( ’745 patent)、2つ目の’838 patentは、 ’745 patentと仮出願に優先権を主張、最後の’115 patentは’838 patent と 仮出願に優先権を主張して、参照による引用(incorporation by reference)で’838

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IPRは違憲ではないと米国最高裁が判断

4月24日、米国最高裁は、このOpen Legal Communityでもウェビナーを行なったOil States Energy Services v. Greene’s Energy Groupに対して判決を下しました。7対2で、米国最高裁はIPR(当事者間レビュー)は違憲ではない(not unconstitutional)と判断しました。 この案件では、そもそもIPRの合憲性(constitutionality)、つまりIPRという仕組みがアメリカの憲法の規定にかなっているか問題になっていて、IPRが違憲だと判断されれば、特許庁で行っている無効審判制度であるIPRが大きく変更する恐れがありました。http://openlegalcommunity.com/oil_states_ipr_constitutionality しかし、24日、最高裁は、IPRは問題視されていたアメリカ憲法第三条 (Article III)にも憲法修正第七条 (the Seventh Amendment)の陪審員による裁判という点でも、憲法に違反していなかったと結論づけました。 判決文で、Thomas判事は、IPRという仕組みは”Public rights”(公民としての権利)の考え方に当てはまるとして、公民としての権利であるがゆえ、議会はアメリカ憲法第三条の元に置かれている司法裁判所以外でも、裁判を下せるようにすることができるとしました。さらにそのような考え方の元、IPR手続きが導入されたAIAにおいて、議会がALJ(Administrative Law Judges)によって、特許性の判決を行うIPRを導入したことは、憲法上、何も問題がないとしました。 特許は法律によってのみ与えられた権利なので、行政による審議の必要条件を満たす必要があるとしました。PTABによるIPR手続きは、まさに議会がAIAで行政による特許の再審議を行う場として作り出したものなので、特許がIPR手続きによってPTABで再審議されることは、合憲とされました。 上記のように、アメリカ憲法第三条 (Article

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アメリカにとって台湾の重要性が増している

アメリカにとって、貿易額がTop10にランクインした台湾は重要な国(地域)の1つになってきています。経済的な重要性に伴い台湾における特許等の知財保護の重要性も高まってきています。 知財保護という観点で気をつけたいのが、台湾がWIPOメンバーでないということです。しかし、台湾はアメリカやヨーロッパの国々を含む数多くの国と知財にかかわる契約を交わしています。台湾はEPCやPCTの加盟国ではないですが、EPCやPCT出願の優先権を主張して台湾に出願することが可能です。台湾はPCT加盟国ではないので、30ヶ月後のnational phase entryはできません。その代わりに、台湾におけるnational applicationは最も早い出願日から12ヶ月以内に行う必要があります。台湾特許出願は中国語以外の言語でもできますが、中国語による翻訳の提出が決められた時期までに必要です。対応言語は、Arabic, English, French, German, Japanese, Korean, Portuguese, Russian and Spanishとのことです。 台湾には3種類の特許:Invention, Utility Model, そして Designがあります。Invention特許は、一般的な「特許」とほぼ同等で、20年の期間有効です。一部のバイオ系の発明(animals, plants, and essential biological processes for

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