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新規性vs自明性:1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の対処

1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している時、その先行文献を新規性(Anticipation)に対して用いるのか、それとも、自明性(Obviousness)に対して用いるのかで明暗が分かれたケースがあります。 Microsoft Corp. v. Biscotti, Inc., 878 F.3d 1052 (Fed. Cir. 2017)において、CAFCは、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合、その先行例は対象クレームの新規性判断に使えるのかという問題を審議した結果、そのような文献は、新規性の判断には使えないと判決しました。今回は、この判例から、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の低季節な対処方法を考えていきたいと思います。 新規性に関する問題: まず最初に、CAFCは、複数の異なる教えが1つの先行文献で開示されていた場合、当業者(person skilled in the art)がその異なる教えを合わせることを促すような開示や教えがない限り、たとえクレームされている全ての項目に対しての開示が先行文献の複数の異なる教えに含まれていたとしても、新規性の判断には使えないとしました。(anticipation cannot be proven merely by multiple, distinct

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範囲制限のあるクレーム補正の注意点

特許で、温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームした場合の補正は、先行例を回避すると同時に、限定された範囲が明細書でサポートされている必要があります。判例によると、明細書のサポートは、範囲に関する開示はもちろん、特定の例を起点にした範囲でも満たされるので、明細書を書く場合、1)特定の範囲を広い範囲から狭めてより好ましい範囲を限定していくことと、2)範囲内の特定の数字における実施例を加えることは大切です。 審査期間中のクレーム補正: 特許案件を出願するとほとんどの場合、先行例が見つかり、拒絶通知が送られてくるので、最初に出願したクレームで権利化できることはめったにありません。特に、特許案件で温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームし、その範囲に関連する先行例が見つかってしまった場合(このような先行例には2種類あります。詳しくは元記事の第一段落とMPEP § 2144.05 (I)を参照)、クレームしている範囲を狭めなければいけません。 クレーム補正でのゴールは、言うまでもなく、最小の補正で、先行例を回避し、権利化できる範囲を最大化することですが、補正は同時に、明細書でサポートされている必要があります。補正が明細書で開示・サポートされていない場合、New matterとして扱われて、補正が認められない可能性があります。 元記事での例を挙げると、温度の範囲500℃から800℃がクレームされていて、明細書に「温度の範囲500℃から800℃、好ましくは、600℃から700℃。」という開示があったとします。 この発明に対して、審査官が温度520℃における事例を開示している文献を見つけたとします。この場合、先行事例を回避する範囲で、更に、明細書でサポートされている範囲を考えた場合、「600℃から700℃」と補正するかもしれません。しかし、そのような補正をしてしまうと、必要以上にクレームの範囲を限定してしまう可能性があります。 このような問題を回避するために、元記事の調査は、クレーム範囲内の定の数字における実施例を加えることを進めています。 例えば、今回の例で取り上げた明細書に、550℃における実施例が開示されているとします。 In re Wertheimという判例では、クレームに書かれている範囲制限の一端を特定の実施例にし、もう一端を開示している範囲の一端にしても、明細書でサポートされているという判決があります。この判例を適用すると、上記の例では、「550℃から800℃」の範囲でクレーム補正ができることになります。550℃は実施例の温度、800℃は開示されている範囲で一番高い値になります。このように特定の実施例を明細書に事前に含めておくことで、先行事例である520℃を回避し、なおかつ、800℃までという広い範囲におけるクレーム補正ができます。 このように、範囲制限のあるクレームがある明細書には、複数の範囲を開示し、なおかつ、範囲内の特定の条件下における実施例を複数開示しておくことをおすすめします。 ここでの考察は、新規性(anticipation)に限るもので、対象技術、先行例、クレーム範囲等によっては、先行例による自明性(obviousness)を考えないといけません。しかし、明細書内で複数の範囲を開示し、特定の条件下における実施例を複数開示しておくと、補正の際のオプションが増えることは間違えありません。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Logan Christenson. Workman Nydegger Making Amendments to

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社内弁護士に対する雇用制限契約は有効か?

雇用主は、自社の企業機密や機密情報を守るため、そのような情報にアクセスできる従業員との間で雇用制限契約を行っている場合がある。社内弁護士がよりビジネスに関する問題に取り組み、ビジネスマンとして関わることも多々ある中、社内弁護士が企業機密や機密情報に触れる機会も多くなってきた。そのような情報が他社に渡ってしまうと競合他社が有利になったり、自社の事業にダメージを与えかねないので、社内弁護士に対しても雇用制限契約を行っている企業が幾つかある。しかし、そのような契約は有効なのだろうか? 雇用制限契約 − 対応する州法にもよるが、雇用契約において、企業機密などの知識を理由に、一定期間、競合企業等で働くことを禁止する雇用制限条項が含まれている場合がある。 アメリカ弁護士会の弁護士としての行為に関するモデルルール(ABA Model Rule of Professional Conduct)5.6 に、退職後、弁護士が法律を取り扱っていくことに関する制限について書かれている。そこには、弁護士は、退社後(パートナーシップなどの場合は、その関係の解消後)、弁護士としての役割を制限する契約を結ぶべきではないと書かれている。このモデルルールは、50州中49州で採用(または、多少の変更を加えて採用)されている。また、判例においても、法律事務所が弁護士と雇用制限契約を結んだ場合、そのような雇用制限は行使できないという、モデルルールに沿った解釈がなされている。 しかし、企業で働く社内弁護士に対する雇用制限契約の効果という点については、判例があまりない。複数の州では、社内弁護士に対する雇用制限契約は無効と判断された。その中でもニュージャージー州の判例は、細かく分析されていて、引用される機会が多い。その判決の中で、Rule 5.6は社内弁護士にも適用され、退職後の社内弁護士の雇用を制限するような条文は有効ではないと判断された。 しかし、公開されてはいないが、コロラド州の地裁(Dish Network Corp. v. Shebar)において、社内弁護士が退職し、競合他社に移ることを借り差し止めする命令が下った。これは、以前のトレンドとは真逆で、注目すべきケースだ。この事件で、地裁は、Rule 5.6は今回の事実には当てはまらないと判断。Rule 5.6は弁護士同士の契約であり、今回の事件では、契約は、弁護士と弁護士ではない雇用主との間に行われたので、Rule 5.6の適用範囲外だと判断。地裁は、このRule 5.6の目的は、(弁護士同士の雇用制限契約を無効にすることによって)非倫理的な弁護士から国民を守ることであって、弁護士を弁護士ではないクライアントから守るためのものではないとした。また、Rule 5.6が適用されるとしたら、社内弁護士の倫理違反しか証明しないとした。 このような状況の中、社内弁護士に雇用制限契約が適用されるか否かは定かではなく、裁判所の判例や州の議会からのガイダンスが必要だ。また、今回のコロラド州の事件での判決も非公開で、コロラド州最高裁の判例を基準にしたものではない。このような状況で、社内弁護士の立場は難しくなった。もし雇用主から雇用制限が含まれている契約を提示された場合、1)契約を結び倫理違反のリスクを負うのか、2)契約を拒み、雇用主との関係を悪化させるのか、どちらを選んでもよくない状態になっている。 このような状況での対策方法としては、まず倫理問題を雇用主に提示することをおすすめする。その上で、雇用主が契約を催促する場合、契約するか否かは弁護士次第となる。もし契約を結んだ弁護士が競合他社へ移った場合、弁護士は契約に書かれていることに従う方がいいでしょう。もし契約書に従うことができない場合、訴訟のリスクを抱えることになる。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Kevin

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ソフトウェア特許のドラフトポイント:先行例の問題と解決方法を明記する

アメリカではAlice事件の後(Post Alice)、ソフトウェア関連の特許適格性(Patent Eligibility)が問題になっています。最高裁がAlice事件で特許適格性情報について言及したものの、その最高裁の方針を具体的に特許庁で審査したり、また、地裁やCAFCで審議するにあたっては、まだ混乱があり、ソフトウェア関連特許の特許適格性は例え権利化できたとしても不明確です。 ここでは、最近CAFCで有効と判断されたU.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020からソフトウェア特許の特許適格性についてのヒントを得たいと思います。U.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020は、Core Wireless Licensing S.A.R.L. v. LG Electronics, Inc.において権利行使された特許です。この判例で、対象特許のクレームはgraphical user interfaces (GUI)の改良について書かれていて、インデックスに関わる抽象概念ではないとCAFCは判断しました。この結論の理由として、CAFCは、1)電子機器における情報のまとめと表示に関わる特定の方法をクレームしていること(the claims

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先住民がPTABの判決を上訴、CAFCで先住民の免責特権が争われることに

上記「特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない」で取り上げたSaint Regis Mohawk Tribeですが、その先住民部族が、PTABにおける先住民の免責特権に対する判決に反発、CAFCに上訴しました。 PTABにおける判決は先週の金曜日に行われたので、それから数日も経たずの上訴です。この判決において、PTABは、先住民の免責特権がIPRを回避するために使われることを強く非難しました。 PTABの判例は、先住民の免責特権の広範囲に及ぶものなので、法曹界では批判も上がっています。例えば、Stanford Universityに所属し、federal Indian lawの専門家であるGreg Ablavsk教授は、Written Description blogの記事において、PTABによる関連判例の適用方法を見て、「まったく説得力がない」とコメントしました。 また、New York UniversityのJacob Sherkow助教授は、ツイートで、Allergan と部族の契約に関する狭い判例を作るべきだったのに、PTABは今回の判例を先住民の免責特権の広範囲に及ぶものにしてしまったと非難。 しかし、反対にPTABの判例を歓迎する意見もあり、例えば、Ropes & Gray法律事務所の Scott McKeown氏は、PTABはこの判決が上訴されることがわかっていたので、この案件特有の狭い問題ではなく、より幅の広い重要な問題定義をしたかったのだろうとコメント。 この事件の最終判決には、契約でAllerganからSaint Regis Mohawk

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特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない

アメリカの先住民に対する特別な配慮を応用して自社特許がIPRにかけられることを回避しようとした製薬会社Allerganでしたが、IPRを取り扱う特許庁下のPatent Trial and Appeal Board (PTAB)は、Allerganの先住民との契約上の問題点をいくつも指摘し、先住民に対する免責特権を認めませんでした。 先住民に対する特権: アメリカ先住民の部族は、連邦法において独立国家としてのステータス(sovereign status)を与えられているので、部族の同意がない限りアメリカ先住民の部族が法廷に引きずり出されることはありません。このような免責特権は、アメリカ連邦政府とアメリカ先住民の部族の間の歴史的な背景から生まれました。アメリカ先住民の部族は連邦政府への税金も免除されているので、部族の土地と認められている場所をカジノの経営者に貸したり、部族が自ら賭博などのエンターテインメント施設を経営している場合もあります。 経緯: このような先住民に対する特権を利用しようと考えたのが、Allerganです。Allerganは、PTABにおけるIPR手続きを回避するため、Saint Regis Mohawk Tribeに複数の特許を譲渡。数百万ドルに及ぶ頭金と年間のロイアルティ支払いを条件に、譲渡した特許のライセンスを受け、譲渡された特許に対するIPR手続きに対して部族が免責特権を主張するという契約が結ばれました。 今回、Mylan PharmaceuticalsによるAllerganの特許に対するIPR手続きにおいて、上記のようなスキームによる免責特権が認められるのか否かが焦点になりました。 今回問題になったAllerganとSaint Regis Mohawk Tribeの間の契約は、Allerganに圧倒的に有利な内容になっていました。 例えば、契約内で、Allerganの特許に対する独占権(Exclusive license)は解約不可能で、特許の満了、または、無効になるまで継続し、(関連製品の販売や最低売上条件などの)商業的な制約もなく、Allerganのみが特許侵害に対して権利行使をできる権限を持っていました。 また、部族はAllerganの特許をサブライセンスする権利に対する制限はできず、特許の所有権を単独で第三者に譲渡できず、訴訟やAllerganのライセンスによる収入に対しても金銭的な恩恵は受けれなくなっていて、IPRの際の必要当事者ではないという、特許権者である部族に多くの制限がかけられていた。 このようなAllerganに一方的に有利な契約内容だが、その中でもPTABは、Allerganの単独特許権利行使に関する項目に注目しました。 その結果、PTABは、Allerganが実質的な特許権者であると宣言し、先住民に対する免責特権を認めないで、IPRの手続きを進める判断をしました。

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2017年米国特許訴訟ランキング。製薬会社がターゲットに。

製薬会社であるTeva社が去年最も特許訴訟の被告人になった会社。去年はより多くの製薬会社が特許訴訟のターゲットになったので、2年前にトップだったSamsungを追い抜き、Teva社がナンバーワンに。 数字はLexis Nexis社の子会社であるLex Machina社の年間特許訴訟レビュー・レポートを使用。特許訴訟で訴えられる数が多い企業は、Apple, LG, Amazon, ZTE, Microsoft や Huaweiなどテクノロジー系の大企業が多いが、今年は製薬会社が訴えられることが多く、9社がランクインした(前回は4社のみ)。 Teva社の他、製薬会社では、Mylan, Sandoz, Apotex, Amneal や Lupinなどがランクイン。Lex Machina社の情報によると、Abbreviated New Drug Application (ANDA) Litigation(ANDA訴訟)が増加。2016年は、318件だったが、2017年は469件に増加。 Abbreviated New Drug

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Global 100 Innovatorsの品格

2018年2月の初め、 Clarivate Analytics 社による2017年Global 100 Innovatorsの発表があった。Clarivate Analytics 社のマーケティング担当者Bob Stembridge氏がどのようにGlobal 100 Innovatorsが選ばれたのか、どのような弁護士事務所を使っているのかなどを説明した。 量より質: トップ100社の出願数は過去5年と比較して2.4%の微増。同じ期間に出願数全体では、11.6%(トップ100社を除く)の増加。 しかし、トップ100社の特許成立案件を見ると、過去5年と比較して5.7%増加し、全体の特許成立案件の3.4%増を大きく超える数字をトップ100社は出している。 また、トップ100社は、発明に関する特許権をより広い範囲で得ている。それは、質の高い明細書を作成したり、出願前の十分な調査や、審査期間中に発明の価値をより明確に示すなどの努力がこのような数字に反映されているのかも知れない。 特許として権利化される率が高ければ、より質の高い発明がその会社でなされていると考えられるので、権利化率はGlobal 100 Innovatorsとして選ばれるための1つの重要な指標。 国際的であること: トップ100社は質にこだわるだけでなく、国際的な発明の商業化を狙っている。特に世界的に重要な発明に関する出願は、多くの国で行われることが多い。 特に、グローバルマーケットで重要な地域(アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国)での出願は、その会社における発明の価値と重要性を示している。 2017年トップ100社の国際指標は、去年に比べ、3.7%増。この数字は、国際平均の5.3 倍という驚異的な数字だ。 被引用数: より引用されている特許や文献がより影響のある重要な技術・発明だとすると、引用された数を見ることも重要になってくる。被引用数(引用された回数)を調べることによって、その被引用文献の重要性がわかる。この点においてもトップ100社は群を抜いている。

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これだけは知っておきたい判例集

主に2017年にあった重要な判例と今後注目すべき案件の紹介。   PTABのInstitution判断に対する上訴 CAFC大法廷において、35 U.S.C. § 315(b)におけるIPR提出期限(侵害に対するクレームがあってから1年間)が問題になったWi-Fi One LLC v. Broadcom Corp.。この事件で、CAFCは、§ 315(b)における上訴は可能と判断。今後、§ 315(b)のような、問題特許の実態的な部分に関連しないInstitution判断に対する上訴が増えると思われる。   クレームの補正 CAFCは、Aqua Prods., Inc. v. Matalにおいて、PTABによるpost-grant手続きでは、特許権者に代替クレームの特許性に関する説得義務(the burden of persuasion)を負わせないという判決を下した。これに対応して、PTABでは、クレーム補正の申し立てのガイドラインを作成し、PTABが代替クレームが35 U.S.C.

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新規性vs自明性:1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の対処

1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している時、その先行文献を新規性(Anticipation)に対して用いるのか、それとも、自明性(Obviousness)に対して用いるのかで明暗が分かれたケースがあります。 Microsoft Corp. v. Biscotti, Inc., 878 F.3d 1052 (Fed. Cir. 2017)において、CAFCは、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合、その先行例は対象クレームの新規性判断に使えるのかという問題を審議した結果、そのような文献は、新規性の判断には使えないと判決しました。今回は、この判例から、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の低季節な対処方法を考えていきたいと思います。 新規性に関する問題: まず最初に、CAFCは、複数の異なる教えが1つの先行文献で開示されていた場合、当業者(person skilled in the art)がその異なる教えを合わせることを促すような開示や教えがない限り、たとえクレームされている全ての項目に対しての開示が先行文献の複数の異なる教えに含まれていたとしても、新規性の判断には使えないとしました。(anticipation cannot be proven merely by multiple, distinct

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範囲制限のあるクレーム補正の注意点

特許で、温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームした場合の補正は、先行例を回避すると同時に、限定された範囲が明細書でサポートされている必要があります。判例によると、明細書のサポートは、範囲に関する開示はもちろん、特定の例を起点にした範囲でも満たされるので、明細書を書く場合、1)特定の範囲を広い範囲から狭めてより好ましい範囲を限定していくことと、2)範囲内の特定の数字における実施例を加えることは大切です。 審査期間中のクレーム補正: 特許案件を出願するとほとんどの場合、先行例が見つかり、拒絶通知が送られてくるので、最初に出願したクレームで権利化できることはめったにありません。特に、特許案件で温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームし、その範囲に関連する先行例が見つかってしまった場合(このような先行例には2種類あります。詳しくは元記事の第一段落とMPEP § 2144.05 (I)を参照)、クレームしている範囲を狭めなければいけません。 クレーム補正でのゴールは、言うまでもなく、最小の補正で、先行例を回避し、権利化できる範囲を最大化することですが、補正は同時に、明細書でサポートされている必要があります。補正が明細書で開示・サポートされていない場合、New matterとして扱われて、補正が認められない可能性があります。 元記事での例を挙げると、温度の範囲500℃から800℃がクレームされていて、明細書に「温度の範囲500℃から800℃、好ましくは、600℃から700℃。」という開示があったとします。 この発明に対して、審査官が温度520℃における事例を開示している文献を見つけたとします。この場合、先行事例を回避する範囲で、更に、明細書でサポートされている範囲を考えた場合、「600℃から700℃」と補正するかもしれません。しかし、そのような補正をしてしまうと、必要以上にクレームの範囲を限定してしまう可能性があります。 このような問題を回避するために、元記事の調査は、クレーム範囲内の定の数字における実施例を加えることを進めています。 例えば、今回の例で取り上げた明細書に、550℃における実施例が開示されているとします。 In re Wertheimという判例では、クレームに書かれている範囲制限の一端を特定の実施例にし、もう一端を開示している範囲の一端にしても、明細書でサポートされているという判決があります。この判例を適用すると、上記の例では、「550℃から800℃」の範囲でクレーム補正ができることになります。550℃は実施例の温度、800℃は開示されている範囲で一番高い値になります。このように特定の実施例を明細書に事前に含めておくことで、先行事例である520℃を回避し、なおかつ、800℃までという広い範囲におけるクレーム補正ができます。 このように、範囲制限のあるクレームがある明細書には、複数の範囲を開示し、なおかつ、範囲内の特定の条件下における実施例を複数開示しておくことをおすすめします。 ここでの考察は、新規性(anticipation)に限るもので、対象技術、先行例、クレーム範囲等によっては、先行例による自明性(obviousness)を考えないといけません。しかし、明細書内で複数の範囲を開示し、特定の条件下における実施例を複数開示しておくと、補正の際のオプションが増えることは間違えありません。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Logan Christenson. Workman Nydegger Making Amendments to

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社内弁護士に対する雇用制限契約は有効か?

雇用主は、自社の企業機密や機密情報を守るため、そのような情報にアクセスできる従業員との間で雇用制限契約を行っている場合がある。社内弁護士がよりビジネスに関する問題に取り組み、ビジネスマンとして関わることも多々ある中、社内弁護士が企業機密や機密情報に触れる機会も多くなってきた。そのような情報が他社に渡ってしまうと競合他社が有利になったり、自社の事業にダメージを与えかねないので、社内弁護士に対しても雇用制限契約を行っている企業が幾つかある。しかし、そのような契約は有効なのだろうか? 雇用制限契約 − 対応する州法にもよるが、雇用契約において、企業機密などの知識を理由に、一定期間、競合企業等で働くことを禁止する雇用制限条項が含まれている場合がある。 アメリカ弁護士会の弁護士としての行為に関するモデルルール(ABA Model Rule of Professional Conduct)5.6 に、退職後、弁護士が法律を取り扱っていくことに関する制限について書かれている。そこには、弁護士は、退社後(パートナーシップなどの場合は、その関係の解消後)、弁護士としての役割を制限する契約を結ぶべきではないと書かれている。このモデルルールは、50州中49州で採用(または、多少の変更を加えて採用)されている。また、判例においても、法律事務所が弁護士と雇用制限契約を結んだ場合、そのような雇用制限は行使できないという、モデルルールに沿った解釈がなされている。 しかし、企業で働く社内弁護士に対する雇用制限契約の効果という点については、判例があまりない。複数の州では、社内弁護士に対する雇用制限契約は無効と判断された。その中でもニュージャージー州の判例は、細かく分析されていて、引用される機会が多い。その判決の中で、Rule 5.6は社内弁護士にも適用され、退職後の社内弁護士の雇用を制限するような条文は有効ではないと判断された。 しかし、公開されてはいないが、コロラド州の地裁(Dish Network Corp. v. Shebar)において、社内弁護士が退職し、競合他社に移ることを借り差し止めする命令が下った。これは、以前のトレンドとは真逆で、注目すべきケースだ。この事件で、地裁は、Rule 5.6は今回の事実には当てはまらないと判断。Rule 5.6は弁護士同士の契約であり、今回の事件では、契約は、弁護士と弁護士ではない雇用主との間に行われたので、Rule 5.6の適用範囲外だと判断。地裁は、このRule 5.6の目的は、(弁護士同士の雇用制限契約を無効にすることによって)非倫理的な弁護士から国民を守ることであって、弁護士を弁護士ではないクライアントから守るためのものではないとした。また、Rule 5.6が適用されるとしたら、社内弁護士の倫理違反しか証明しないとした。 このような状況の中、社内弁護士に雇用制限契約が適用されるか否かは定かではなく、裁判所の判例や州の議会からのガイダンスが必要だ。また、今回のコロラド州の事件での判決も非公開で、コロラド州最高裁の判例を基準にしたものではない。このような状況で、社内弁護士の立場は難しくなった。もし雇用主から雇用制限が含まれている契約を提示された場合、1)契約を結び倫理違反のリスクを負うのか、2)契約を拒み、雇用主との関係を悪化させるのか、どちらを選んでもよくない状態になっている。 このような状況での対策方法としては、まず倫理問題を雇用主に提示することをおすすめする。その上で、雇用主が契約を催促する場合、契約するか否かは弁護士次第となる。もし契約を結んだ弁護士が競合他社へ移った場合、弁護士は契約に書かれていることに従う方がいいでしょう。もし契約書に従うことができない場合、訴訟のリスクを抱えることになる。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Kevin

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ソフトウェア特許のドラフトポイント:先行例の問題と解決方法を明記する

アメリカではAlice事件の後(Post Alice)、ソフトウェア関連の特許適格性(Patent Eligibility)が問題になっています。最高裁がAlice事件で特許適格性情報について言及したものの、その最高裁の方針を具体的に特許庁で審査したり、また、地裁やCAFCで審議するにあたっては、まだ混乱があり、ソフトウェア関連特許の特許適格性は例え権利化できたとしても不明確です。 ここでは、最近CAFCで有効と判断されたU.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020からソフトウェア特許の特許適格性についてのヒントを得たいと思います。U.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020は、Core Wireless Licensing S.A.R.L. v. LG Electronics, Inc.において権利行使された特許です。この判例で、対象特許のクレームはgraphical user interfaces (GUI)の改良について書かれていて、インデックスに関わる抽象概念ではないとCAFCは判断しました。この結論の理由として、CAFCは、1)電子機器における情報のまとめと表示に関わる特定の方法をクレームしていること(the claims

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先住民がPTABの判決を上訴、CAFCで先住民の免責特権が争われることに

上記「特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない」で取り上げたSaint Regis Mohawk Tribeですが、その先住民部族が、PTABにおける先住民の免責特権に対する判決に反発、CAFCに上訴しました。 PTABにおける判決は先週の金曜日に行われたので、それから数日も経たずの上訴です。この判決において、PTABは、先住民の免責特権がIPRを回避するために使われることを強く非難しました。 PTABの判例は、先住民の免責特権の広範囲に及ぶものなので、法曹界では批判も上がっています。例えば、Stanford Universityに所属し、federal Indian lawの専門家であるGreg Ablavsk教授は、Written Description blogの記事において、PTABによる関連判例の適用方法を見て、「まったく説得力がない」とコメントしました。 また、New York UniversityのJacob Sherkow助教授は、ツイートで、Allergan と部族の契約に関する狭い判例を作るべきだったのに、PTABは今回の判例を先住民の免責特権の広範囲に及ぶものにしてしまったと非難。 しかし、反対にPTABの判例を歓迎する意見もあり、例えば、Ropes & Gray法律事務所の Scott McKeown氏は、PTABはこの判決が上訴されることがわかっていたので、この案件特有の狭い問題ではなく、より幅の広い重要な問題定義をしたかったのだろうとコメント。 この事件の最終判決には、契約でAllerganからSaint Regis Mohawk

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特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない

アメリカの先住民に対する特別な配慮を応用して自社特許がIPRにかけられることを回避しようとした製薬会社Allerganでしたが、IPRを取り扱う特許庁下のPatent Trial and Appeal Board (PTAB)は、Allerganの先住民との契約上の問題点をいくつも指摘し、先住民に対する免責特権を認めませんでした。 先住民に対する特権: アメリカ先住民の部族は、連邦法において独立国家としてのステータス(sovereign status)を与えられているので、部族の同意がない限りアメリカ先住民の部族が法廷に引きずり出されることはありません。このような免責特権は、アメリカ連邦政府とアメリカ先住民の部族の間の歴史的な背景から生まれました。アメリカ先住民の部族は連邦政府への税金も免除されているので、部族の土地と認められている場所をカジノの経営者に貸したり、部族が自ら賭博などのエンターテインメント施設を経営している場合もあります。 経緯: このような先住民に対する特権を利用しようと考えたのが、Allerganです。Allerganは、PTABにおけるIPR手続きを回避するため、Saint Regis Mohawk Tribeに複数の特許を譲渡。数百万ドルに及ぶ頭金と年間のロイアルティ支払いを条件に、譲渡した特許のライセンスを受け、譲渡された特許に対するIPR手続きに対して部族が免責特権を主張するという契約が結ばれました。 今回、Mylan PharmaceuticalsによるAllerganの特許に対するIPR手続きにおいて、上記のようなスキームによる免責特権が認められるのか否かが焦点になりました。 今回問題になったAllerganとSaint Regis Mohawk Tribeの間の契約は、Allerganに圧倒的に有利な内容になっていました。 例えば、契約内で、Allerganの特許に対する独占権(Exclusive license)は解約不可能で、特許の満了、または、無効になるまで継続し、(関連製品の販売や最低売上条件などの)商業的な制約もなく、Allerganのみが特許侵害に対して権利行使をできる権限を持っていました。 また、部族はAllerganの特許をサブライセンスする権利に対する制限はできず、特許の所有権を単独で第三者に譲渡できず、訴訟やAllerganのライセンスによる収入に対しても金銭的な恩恵は受けれなくなっていて、IPRの際の必要当事者ではないという、特許権者である部族に多くの制限がかけられていた。 このようなAllerganに一方的に有利な契約内容だが、その中でもPTABは、Allerganの単独特許権利行使に関する項目に注目しました。 その結果、PTABは、Allerganが実質的な特許権者であると宣言し、先住民に対する免責特権を認めないで、IPRの手続きを進める判断をしました。

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2017年米国特許訴訟ランキング。製薬会社がターゲットに。

製薬会社であるTeva社が去年最も特許訴訟の被告人になった会社。去年はより多くの製薬会社が特許訴訟のターゲットになったので、2年前にトップだったSamsungを追い抜き、Teva社がナンバーワンに。 数字はLexis Nexis社の子会社であるLex Machina社の年間特許訴訟レビュー・レポートを使用。特許訴訟で訴えられる数が多い企業は、Apple, LG, Amazon, ZTE, Microsoft や Huaweiなどテクノロジー系の大企業が多いが、今年は製薬会社が訴えられることが多く、9社がランクインした(前回は4社のみ)。 Teva社の他、製薬会社では、Mylan, Sandoz, Apotex, Amneal や Lupinなどがランクイン。Lex Machina社の情報によると、Abbreviated New Drug Application (ANDA) Litigation(ANDA訴訟)が増加。2016年は、318件だったが、2017年は469件に増加。 Abbreviated New Drug

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Global 100 Innovatorsの品格

2018年2月の初め、 Clarivate Analytics 社による2017年Global 100 Innovatorsの発表があった。Clarivate Analytics 社のマーケティング担当者Bob Stembridge氏がどのようにGlobal 100 Innovatorsが選ばれたのか、どのような弁護士事務所を使っているのかなどを説明した。 量より質: トップ100社の出願数は過去5年と比較して2.4%の微増。同じ期間に出願数全体では、11.6%(トップ100社を除く)の増加。 しかし、トップ100社の特許成立案件を見ると、過去5年と比較して5.7%増加し、全体の特許成立案件の3.4%増を大きく超える数字をトップ100社は出している。 また、トップ100社は、発明に関する特許権をより広い範囲で得ている。それは、質の高い明細書を作成したり、出願前の十分な調査や、審査期間中に発明の価値をより明確に示すなどの努力がこのような数字に反映されているのかも知れない。 特許として権利化される率が高ければ、より質の高い発明がその会社でなされていると考えられるので、権利化率はGlobal 100 Innovatorsとして選ばれるための1つの重要な指標。 国際的であること: トップ100社は質にこだわるだけでなく、国際的な発明の商業化を狙っている。特に世界的に重要な発明に関する出願は、多くの国で行われることが多い。 特に、グローバルマーケットで重要な地域(アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国)での出願は、その会社における発明の価値と重要性を示している。 2017年トップ100社の国際指標は、去年に比べ、3.7%増。この数字は、国際平均の5.3 倍という驚異的な数字だ。 被引用数: より引用されている特許や文献がより影響のある重要な技術・発明だとすると、引用された数を見ることも重要になってくる。被引用数(引用された回数)を調べることによって、その被引用文献の重要性がわかる。この点においてもトップ100社は群を抜いている。

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これだけは知っておきたい判例集

主に2017年にあった重要な判例と今後注目すべき案件の紹介。   PTABのInstitution判断に対する上訴 CAFC大法廷において、35 U.S.C. § 315(b)におけるIPR提出期限(侵害に対するクレームがあってから1年間)が問題になったWi-Fi One LLC v. Broadcom Corp.。この事件で、CAFCは、§ 315(b)における上訴は可能と判断。今後、§ 315(b)のような、問題特許の実態的な部分に関連しないInstitution判断に対する上訴が増えると思われる。   クレームの補正 CAFCは、Aqua Prods., Inc. v. Matalにおいて、PTABによるpost-grant手続きでは、特許権者に代替クレームの特許性に関する説得義務(the burden of persuasion)を負わせないという判決を下した。これに対応して、PTABでは、クレーム補正の申し立てのガイドラインを作成し、PTABが代替クレームが35 U.S.C.

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新規性vs自明性:1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の対処

1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している時、その先行文献を新規性(Anticipation)に対して用いるのか、それとも、自明性(Obviousness)に対して用いるのかで明暗が分かれたケースがあります。 Microsoft Corp. v. Biscotti, Inc., 878 F.3d 1052 (Fed. Cir. 2017)において、CAFCは、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合、その先行例は対象クレームの新規性判断に使えるのかという問題を審議した結果、そのような文献は、新規性の判断には使えないと判決しました。今回は、この判例から、1つの先行例文献が複数の異なる技術内容を開示している場合の低季節な対処方法を考えていきたいと思います。 新規性に関する問題: まず最初に、CAFCは、複数の異なる教えが1つの先行文献で開示されていた場合、当業者(person skilled in the art)がその異なる教えを合わせることを促すような開示や教えがない限り、たとえクレームされている全ての項目に対しての開示が先行文献の複数の異なる教えに含まれていたとしても、新規性の判断には使えないとしました。(anticipation cannot be proven merely by multiple, distinct

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範囲制限のあるクレーム補正の注意点

特許で、温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームした場合の補正は、先行例を回避すると同時に、限定された範囲が明細書でサポートされている必要があります。判例によると、明細書のサポートは、範囲に関する開示はもちろん、特定の例を起点にした範囲でも満たされるので、明細書を書く場合、1)特定の範囲を広い範囲から狭めてより好ましい範囲を限定していくことと、2)範囲内の特定の数字における実施例を加えることは大切です。 審査期間中のクレーム補正: 特許案件を出願するとほとんどの場合、先行例が見つかり、拒絶通知が送られてくるので、最初に出願したクレームで権利化できることはめったにありません。特に、特許案件で温度、圧力、粘度などある程度幅のある範囲をクレームし、その範囲に関連する先行例が見つかってしまった場合(このような先行例には2種類あります。詳しくは元記事の第一段落とMPEP § 2144.05 (I)を参照)、クレームしている範囲を狭めなければいけません。 クレーム補正でのゴールは、言うまでもなく、最小の補正で、先行例を回避し、権利化できる範囲を最大化することですが、補正は同時に、明細書でサポートされている必要があります。補正が明細書で開示・サポートされていない場合、New matterとして扱われて、補正が認められない可能性があります。 元記事での例を挙げると、温度の範囲500℃から800℃がクレームされていて、明細書に「温度の範囲500℃から800℃、好ましくは、600℃から700℃。」という開示があったとします。 この発明に対して、審査官が温度520℃における事例を開示している文献を見つけたとします。この場合、先行事例を回避する範囲で、更に、明細書でサポートされている範囲を考えた場合、「600℃から700℃」と補正するかもしれません。しかし、そのような補正をしてしまうと、必要以上にクレームの範囲を限定してしまう可能性があります。 このような問題を回避するために、元記事の調査は、クレーム範囲内の定の数字における実施例を加えることを進めています。 例えば、今回の例で取り上げた明細書に、550℃における実施例が開示されているとします。 In re Wertheimという判例では、クレームに書かれている範囲制限の一端を特定の実施例にし、もう一端を開示している範囲の一端にしても、明細書でサポートされているという判決があります。この判例を適用すると、上記の例では、「550℃から800℃」の範囲でクレーム補正ができることになります。550℃は実施例の温度、800℃は開示されている範囲で一番高い値になります。このように特定の実施例を明細書に事前に含めておくことで、先行事例である520℃を回避し、なおかつ、800℃までという広い範囲におけるクレーム補正ができます。 このように、範囲制限のあるクレームがある明細書には、複数の範囲を開示し、なおかつ、範囲内の特定の条件下における実施例を複数開示しておくことをおすすめします。 ここでの考察は、新規性(anticipation)に限るもので、対象技術、先行例、クレーム範囲等によっては、先行例による自明性(obviousness)を考えないといけません。しかし、明細書内で複数の範囲を開示し、特定の条件下における実施例を複数開示しておくと、補正の際のオプションが増えることは間違えありません。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Logan Christenson. Workman Nydegger Making Amendments to

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社内弁護士に対する雇用制限契約は有効か?

雇用主は、自社の企業機密や機密情報を守るため、そのような情報にアクセスできる従業員との間で雇用制限契約を行っている場合がある。社内弁護士がよりビジネスに関する問題に取り組み、ビジネスマンとして関わることも多々ある中、社内弁護士が企業機密や機密情報に触れる機会も多くなってきた。そのような情報が他社に渡ってしまうと競合他社が有利になったり、自社の事業にダメージを与えかねないので、社内弁護士に対しても雇用制限契約を行っている企業が幾つかある。しかし、そのような契約は有効なのだろうか? 雇用制限契約 − 対応する州法にもよるが、雇用契約において、企業機密などの知識を理由に、一定期間、競合企業等で働くことを禁止する雇用制限条項が含まれている場合がある。 アメリカ弁護士会の弁護士としての行為に関するモデルルール(ABA Model Rule of Professional Conduct)5.6 に、退職後、弁護士が法律を取り扱っていくことに関する制限について書かれている。そこには、弁護士は、退社後(パートナーシップなどの場合は、その関係の解消後)、弁護士としての役割を制限する契約を結ぶべきではないと書かれている。このモデルルールは、50州中49州で採用(または、多少の変更を加えて採用)されている。また、判例においても、法律事務所が弁護士と雇用制限契約を結んだ場合、そのような雇用制限は行使できないという、モデルルールに沿った解釈がなされている。 しかし、企業で働く社内弁護士に対する雇用制限契約の効果という点については、判例があまりない。複数の州では、社内弁護士に対する雇用制限契約は無効と判断された。その中でもニュージャージー州の判例は、細かく分析されていて、引用される機会が多い。その判決の中で、Rule 5.6は社内弁護士にも適用され、退職後の社内弁護士の雇用を制限するような条文は有効ではないと判断された。 しかし、公開されてはいないが、コロラド州の地裁(Dish Network Corp. v. Shebar)において、社内弁護士が退職し、競合他社に移ることを借り差し止めする命令が下った。これは、以前のトレンドとは真逆で、注目すべきケースだ。この事件で、地裁は、Rule 5.6は今回の事実には当てはまらないと判断。Rule 5.6は弁護士同士の契約であり、今回の事件では、契約は、弁護士と弁護士ではない雇用主との間に行われたので、Rule 5.6の適用範囲外だと判断。地裁は、このRule 5.6の目的は、(弁護士同士の雇用制限契約を無効にすることによって)非倫理的な弁護士から国民を守ることであって、弁護士を弁護士ではないクライアントから守るためのものではないとした。また、Rule 5.6が適用されるとしたら、社内弁護士の倫理違反しか証明しないとした。 このような状況の中、社内弁護士に雇用制限契約が適用されるか否かは定かではなく、裁判所の判例や州の議会からのガイダンスが必要だ。また、今回のコロラド州の事件での判決も非公開で、コロラド州最高裁の判例を基準にしたものではない。このような状況で、社内弁護士の立場は難しくなった。もし雇用主から雇用制限が含まれている契約を提示された場合、1)契約を結び倫理違反のリスクを負うのか、2)契約を拒み、雇用主との関係を悪化させるのか、どちらを選んでもよくない状態になっている。 このような状況での対策方法としては、まず倫理問題を雇用主に提示することをおすすめする。その上で、雇用主が契約を催促する場合、契約するか否かは弁護士次第となる。もし契約を結んだ弁護士が競合他社へ移った場合、弁護士は契約に書かれていることに従う方がいいでしょう。もし契約書に従うことができない場合、訴訟のリスクを抱えることになる。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Kevin

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ソフトウェア特許のドラフトポイント:先行例の問題と解決方法を明記する

アメリカではAlice事件の後(Post Alice)、ソフトウェア関連の特許適格性(Patent Eligibility)が問題になっています。最高裁がAlice事件で特許適格性情報について言及したものの、その最高裁の方針を具体的に特許庁で審査したり、また、地裁やCAFCで審議するにあたっては、まだ混乱があり、ソフトウェア関連特許の特許適格性は例え権利化できたとしても不明確です。 ここでは、最近CAFCで有効と判断されたU.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020からソフトウェア特許の特許適格性についてのヒントを得たいと思います。U.S. Patent Nos. 8,713,476 と 8,434,020は、Core Wireless Licensing S.A.R.L. v. LG Electronics, Inc.において権利行使された特許です。この判例で、対象特許のクレームはgraphical user interfaces (GUI)の改良について書かれていて、インデックスに関わる抽象概念ではないとCAFCは判断しました。この結論の理由として、CAFCは、1)電子機器における情報のまとめと表示に関わる特定の方法をクレームしていること(the claims

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先住民がPTABの判決を上訴、CAFCで先住民の免責特権が争われることに

上記「特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない」で取り上げたSaint Regis Mohawk Tribeですが、その先住民部族が、PTABにおける先住民の免責特権に対する判決に反発、CAFCに上訴しました。 PTABにおける判決は先週の金曜日に行われたので、それから数日も経たずの上訴です。この判決において、PTABは、先住民の免責特権がIPRを回避するために使われることを強く非難しました。 PTABの判例は、先住民の免責特権の広範囲に及ぶものなので、法曹界では批判も上がっています。例えば、Stanford Universityに所属し、federal Indian lawの専門家であるGreg Ablavsk教授は、Written Description blogの記事において、PTABによる関連判例の適用方法を見て、「まったく説得力がない」とコメントしました。 また、New York UniversityのJacob Sherkow助教授は、ツイートで、Allergan と部族の契約に関する狭い判例を作るべきだったのに、PTABは今回の判例を先住民の免責特権の広範囲に及ぶものにしてしまったと非難。 しかし、反対にPTABの判例を歓迎する意見もあり、例えば、Ropes & Gray法律事務所の Scott McKeown氏は、PTABはこの判決が上訴されることがわかっていたので、この案件特有の狭い問題ではなく、より幅の広い重要な問題定義をしたかったのだろうとコメント。 この事件の最終判決には、契約でAllerganからSaint Regis Mohawk

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特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない

アメリカの先住民に対する特別な配慮を応用して自社特許がIPRにかけられることを回避しようとした製薬会社Allerganでしたが、IPRを取り扱う特許庁下のPatent Trial and Appeal Board (PTAB)は、Allerganの先住民との契約上の問題点をいくつも指摘し、先住民に対する免責特権を認めませんでした。 先住民に対する特権: アメリカ先住民の部族は、連邦法において独立国家としてのステータス(sovereign status)を与えられているので、部族の同意がない限りアメリカ先住民の部族が法廷に引きずり出されることはありません。このような免責特権は、アメリカ連邦政府とアメリカ先住民の部族の間の歴史的な背景から生まれました。アメリカ先住民の部族は連邦政府への税金も免除されているので、部族の土地と認められている場所をカジノの経営者に貸したり、部族が自ら賭博などのエンターテインメント施設を経営している場合もあります。 経緯: このような先住民に対する特権を利用しようと考えたのが、Allerganです。Allerganは、PTABにおけるIPR手続きを回避するため、Saint Regis Mohawk Tribeに複数の特許を譲渡。数百万ドルに及ぶ頭金と年間のロイアルティ支払いを条件に、譲渡した特許のライセンスを受け、譲渡された特許に対するIPR手続きに対して部族が免責特権を主張するという契約が結ばれました。 今回、Mylan PharmaceuticalsによるAllerganの特許に対するIPR手続きにおいて、上記のようなスキームによる免責特権が認められるのか否かが焦点になりました。 今回問題になったAllerganとSaint Regis Mohawk Tribeの間の契約は、Allerganに圧倒的に有利な内容になっていました。 例えば、契約内で、Allerganの特許に対する独占権(Exclusive license)は解約不可能で、特許の満了、または、無効になるまで継続し、(関連製品の販売や最低売上条件などの)商業的な制約もなく、Allerganのみが特許侵害に対して権利行使をできる権限を持っていました。 また、部族はAllerganの特許をサブライセンスする権利に対する制限はできず、特許の所有権を単独で第三者に譲渡できず、訴訟やAllerganのライセンスによる収入に対しても金銭的な恩恵は受けれなくなっていて、IPRの際の必要当事者ではないという、特許権者である部族に多くの制限がかけられていた。 このようなAllerganに一方的に有利な契約内容だが、その中でもPTABは、Allerganの単独特許権利行使に関する項目に注目しました。 その結果、PTABは、Allerganが実質的な特許権者であると宣言し、先住民に対する免責特権を認めないで、IPRの手続きを進める判断をしました。

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2017年米国特許訴訟ランキング。製薬会社がターゲットに。

製薬会社であるTeva社が去年最も特許訴訟の被告人になった会社。去年はより多くの製薬会社が特許訴訟のターゲットになったので、2年前にトップだったSamsungを追い抜き、Teva社がナンバーワンに。 数字はLexis Nexis社の子会社であるLex Machina社の年間特許訴訟レビュー・レポートを使用。特許訴訟で訴えられる数が多い企業は、Apple, LG, Amazon, ZTE, Microsoft や Huaweiなどテクノロジー系の大企業が多いが、今年は製薬会社が訴えられることが多く、9社がランクインした(前回は4社のみ)。 Teva社の他、製薬会社では、Mylan, Sandoz, Apotex, Amneal や Lupinなどがランクイン。Lex Machina社の情報によると、Abbreviated New Drug Application (ANDA) Litigation(ANDA訴訟)が増加。2016年は、318件だったが、2017年は469件に増加。 Abbreviated New Drug

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Global 100 Innovatorsの品格

2018年2月の初め、 Clarivate Analytics 社による2017年Global 100 Innovatorsの発表があった。Clarivate Analytics 社のマーケティング担当者Bob Stembridge氏がどのようにGlobal 100 Innovatorsが選ばれたのか、どのような弁護士事務所を使っているのかなどを説明した。 量より質: トップ100社の出願数は過去5年と比較して2.4%の微増。同じ期間に出願数全体では、11.6%(トップ100社を除く)の増加。 しかし、トップ100社の特許成立案件を見ると、過去5年と比較して5.7%増加し、全体の特許成立案件の3.4%増を大きく超える数字をトップ100社は出している。 また、トップ100社は、発明に関する特許権をより広い範囲で得ている。それは、質の高い明細書を作成したり、出願前の十分な調査や、審査期間中に発明の価値をより明確に示すなどの努力がこのような数字に反映されているのかも知れない。 特許として権利化される率が高ければ、より質の高い発明がその会社でなされていると考えられるので、権利化率はGlobal 100 Innovatorsとして選ばれるための1つの重要な指標。 国際的であること: トップ100社は質にこだわるだけでなく、国際的な発明の商業化を狙っている。特に世界的に重要な発明に関する出願は、多くの国で行われることが多い。 特に、グローバルマーケットで重要な地域(アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国)での出願は、その会社における発明の価値と重要性を示している。 2017年トップ100社の国際指標は、去年に比べ、3.7%増。この数字は、国際平均の5.3 倍という驚異的な数字だ。 被引用数: より引用されている特許や文献がより影響のある重要な技術・発明だとすると、引用された数を見ることも重要になってくる。被引用数(引用された回数)を調べることによって、その被引用文献の重要性がわかる。この点においてもトップ100社は群を抜いている。

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これだけは知っておきたい判例集

主に2017年にあった重要な判例と今後注目すべき案件の紹介。   PTABのInstitution判断に対する上訴 CAFC大法廷において、35 U.S.C. § 315(b)におけるIPR提出期限(侵害に対するクレームがあってから1年間)が問題になったWi-Fi One LLC v. Broadcom Corp.。この事件で、CAFCは、§ 315(b)における上訴は可能と判断。今後、§ 315(b)のような、問題特許の実態的な部分に関連しないInstitution判断に対する上訴が増えると思われる。   クレームの補正 CAFCは、Aqua Prods., Inc. v. Matalにおいて、PTABによるpost-grant手続きでは、特許権者に代替クレームの特許性に関する説得義務(the burden of persuasion)を負わせないという判決を下した。これに対応して、PTABでは、クレーム補正の申し立てのガイドラインを作成し、PTABが代替クレームが35 U.S.C.

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