上記「特権の乱用を抑制:先住民への特許譲渡でIPRを回避することはできない」で取り上げたSaint Regis Mohawk Tribeですが、その先住民部族が、PTABにおける先住民の免責特権に対する判決に反発、CAFCに上訴しました。
PTABにおける判決は先週の金曜日に行われたので、それから数日も経たずの上訴です。この判決において、PTABは、先住民の免責特権がIPRを回避するために使われることを強く非難しました。
PTABの判例は、先住民の免責特権の広範囲に及ぶものなので、法曹界では批判も上がっています。例えば、Stanford Universityに所属し、federal Indian lawの専門家であるGreg Ablavsk教授は、Written Description blogの記事において、PTABによる関連判例の適用方法を見て、「まったく説得力がない」とコメントしました。
また、New York UniversityのJacob Sherkow助教授は、ツイートで、Allergan と部族の契約に関する狭い判例を作るべきだったのに、PTABは今回の判例を先住民の免責特権の広範囲に及ぶものにしてしまったと非難。
しかし、反対にPTABの判例を歓迎する意見もあり、例えば、Ropes & Gray法律事務所の Scott McKeown氏は、PTABはこの判決が上訴されることがわかっていたので、この案件特有の狭い問題ではなく、より幅の広い重要な問題定義をしたかったのだろうとコメント。
この事件の最終判決には、契約でAllerganからSaint Regis Mohawk Tribeに支払われた数千万ドルがかかっています。このような高額のリスクを抱えているので、部族のCAFCへの上訴も納得いきます。また、もし部族がCAFCで満足のいく判決が得られなかった場合、この案件は最高裁にまで行く可能性があります。
今後も、このような先住民の免責特権に関する案件に注目していく必要があります。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Richard Lloyd. IAM
http://www.iam-media.com/Blog/Detail.aspx?g=6678d330-8e64-4f0e-ac75-665b875c4649