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陪審員の評決指示に注意

特許訴訟で陪審員による特許侵害判定が行われる場合、陪審員の評決指示に注意が必要です。特に、カウンタークレームで特許無効を主張した場合、被告側は、陪審員への評決指示の内容を当事者間で調整する際に、陪審員への指示が侵害判断で終らず、非侵害と判断されても特許の有効性を判断するような評決指示を採用するよう主張することが大切です。 Flexuspine, Inc. v. Globus Med., Inc., Case Nos. 17-1188; -1189 (Fed. Cir., Jan. 19, 2018) (Prost, CJ).において、CAFCは、地裁による特許無効の判決拒否と特許無効のカウンタークレーム却下を支持しました。 経緯: Flexuspineは、Globusが自社の5つの特許を侵害しているとして、特許侵害訴訟を起こしました。この申し立てに対抗し、Globusは、Flexuspineの特許の無効を主張し、陪審員による判断を希望しました。その後、IPRや略式判決(Summary judgement)などの結果、2つの特許のみが公判で争われることになりました。 公判の最中、両当事者とも独自の陪審員の評決指示を裁判所に提案。原告Flexuspineの評決指示案には、もし侵害に対して否定的な答えが導き出された場合、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をさせない”stop instruction”が含まれていました。一方、被告Globusの評決指示案には、侵害に対して否定的な答えが導き出された場合でも、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をするよう明記されていました。 判事と当事者を交えたチャージカンファレンス(charge conference)の際に、地裁はFlexuspineのstop

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[化学・製薬限定]化学系クレームの自明性テストLead Compound Analysisとは?

2000年ごろから、CAFCは、化合物の特許性を判断するためにLead Compound Analysis(主要化合物分析)というテストを適用しています。Lead Compound Analysisは、以下2つの事柄を吟味し、対象の化学系クレームが自明であるかを判断するテストです。 当業者が更なる開発のために先行例化合物を主要成分として選ぶ動機はあるのか( whether a person of ordinary skill in the art would have had reason to select a prior art compound

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On sale barは幅広い契約に適用されるので注意

On Sale barとは、出願の1年前より以前に発明の販売 (発明が適用されたものの販売や販売のための申し出)があると、アメリカでは特許権が消滅してしまうという仕組みのことをいいます。(日本を含む多くの国では、1年の猶予期間はなく、販売と同時に権利が抹消します)。アメリカでは、2011年に制定されたAIAにより、それ以前のOn Sale barとAIA後のOn Sale barの違いが議論されたことがありましたが、以下の2つの判例を見ると、少なくとも非公開の販売に対しては、AIA以前も以後もルールは変わらないようです。 非公開の販売とは? 非公開の販売(private sale)とは、アメリカの特許法における特殊な点で、販売の内容が公知になっていないもの、または、販売自体が公知になっていないものを言います。そのような販売でも、On Sale barの対象になり、出願の1年前より以前に行われた非公開の販売(private sale)がある場合、アメリカでの特許の権利化はできなくなります。このようは販売は、公開されていないので、特許権者が自発的に情報を開示しない限り、特許庁における審査で考慮することは難しく、またそれは同時に、第三者がその特許を評価する際も、非公開の販売の事実がわからないので、正確な特許の有効性が判断できません。 判例1:Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc このケースは、新しく発明された製薬の販売契約に関するものです。ここでは、出願の1年以上前の特許権者と代理店の間の契約が問題になりました。この契約の存在は、株主に対するcorporate disclosuresで開示されていたものでしたが、契約の詳細は非公開でした。この契約は、実際にの販売は出願前にはなかったものの、法律的に拘束力のある販売の申し出(offer for

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特許訴訟で雇用契約の譲渡条文に頼るのは危険

特許権者にすべての発明者から発明の譲渡がされていないと、当事者適格(Standing)が認められません。当事者適格がないと、特許侵害訴訟を起こせない(起こしても、棄却されてしまう)ので、譲渡に関する書類は早い段階で発明者に署名してもらいましょう。また、発明者が譲渡を拒む場合、会社に全ての権利が移行せず、当事者適格(Standing)を満たさない場合があるので、注意が必要です。 Advanced Video Technologies LLC v. HTC Corp., et al., Case Nos. 16-2309; -2310; -2311 (Fed. Cir., Jan. 11, 2018) (Reyna J) (O’Malley, J, concurring)

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Patent Agentとのコミュニケーションは秘匿特権で守られるのか

アメリカで特許に携わる人は、大きく特許弁護士(Patent Attorney)とパテントエージェント(Patent Agent)に分かれます。Patent Agentは、特許庁による試験に合格した技術系のバックグラウンドを持つ人で、米国特許庁に対する様々な業務の代行ができます。具体的には、特許明細書の準備、権利化はもちろん、PTABによる権利化後の手続きも行えます。特許弁護士(Patent Attorney)は、Patent Agentの資格に加えて、アメリカで弁護士資格がある人のことを呼びます。 Patent Agentは、出願関係の仕事に大きく貢献していますが、Patent Agentとそのクライアントの間のコミュニケーションがUSPTOやアメリカの裁判所において、秘匿特権で守られるかという問題は長年、不透明なままでした。 しかし、近年、アメリカ特許庁とCAFCにおいて、Patent Agentのコミュニケーションに対する秘匿特権に関して進展がありました。それは、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションは、弁護士と同じように秘匿特権が適用できるというものでした。In re Queen’s University at Kingston。また、特許庁からは、AIA(米国特許法改正)における手続きに関する特権の範囲を明確にするルールが発表されました。また、特許庁の発表では、外国の実務家とアメリカの実務家同士、また、外国の実務家とクライアントの秘匿特権についても秘匿特権が適用できるとしました。 このような、アメリカ特許庁とCAFCによる発表はよいことですが、まだ保護の対象ではっきりしない点も多々あります。例えば、外国の提携事務所担当者と特許出願の準備と権利化に関係ないものへの保護が欠けています。また、特許庁やCAFCでの決定に影響されない州立裁判所では、保護されない可能性があります。このように、保護の対象でまだ明らかではない部分もあるので、Patent Agentとのコミュニケーションには注意が必要です。 例えば、特許庁は、外国実務家はアメリカ特許弁護士と同等の特権が与えられると示しましたが、連邦・州立裁判所では、外国実務家とのコミュニケーションに秘匿特権が適用されるかに対して何も言及していません。極端な例を上げると、PTABにおける手続きでは外国実務家とクライアントの間のコミュニケーションに秘匿特権が適用されますが、他の国や、連邦・州立裁判所では、同じコミュニケーションでも秘匿特権で保護されない可能性があります。 しかし、Patent Agentの秘匿特権で一番大きな問題は、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションの範囲を超えてしまった場合です。特許庁のルールでは、Patent Agentの秘匿特権は、Patent Agentとして許されている業務に関わる範囲(“reasonably necessary and

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デジタル時代の企業スパイとの戦い方

テクノロジーが進化し、より安価に便利なツールが増えることで、企業スパイとの戦い方も変化しつつあります。「企業スパイ」(corporate espionage)といっても様々な形があり一概には言えませんが、スパイは会社で長年かけて培った財産を横領し、悪用することを目的としているので、未然に情報の流出を防いだり、防げなくとも、速やかに情報の流出を確認できるようにすることが大切です。 スパイ行為には幅広いものが当てはまりますが、デジタル時代特有の以下の点については、特に注意が必要です: 従業員が家から働くようになった、または、外出が多くなった 従業員の残業が多くなった、オフィスまたはリモートからのコンピューターへのアクセスが顕著に増えた 従業員が顧客と会うが、会社に議事録を提出しないことが増えた 従業員が直接関わっていない案件について詳しく知っている 従業員が不満を言うようになったり、突然態度を変え始めた 書類やファイルがオフィースからなくなった 従業員が突然やめた  従業員が退職前の面接を拒否、または、退職後の進退について話すことを拒む 上に示した行動は、1つ1つを見るとそれほど大した問題には見えませんが、今後の企業スパイに関する調査の対象になるような行為である可能性もあります。 企業スパイによる被害を未然に防ぐために、いくつかの会社では、監視ソフトウェアに投資をし、一見なんでもないような行動も監視できるようにしています。監視ソフトウェアを使うことで、以下のようなことを検知、監視できます: 個人メール宛に送られるメール Dropboxや他のFTPへのファイルアップロード 会社ファイルのUSBメモリーや外付けハードディスクなどへのコピー 制限されている機密電子ファイルへの不正アクセス 不自然な電子データへのアクセス(顧客データへの過剰なアクセスや不必要なアクセス) もし退社した従業員の行動に疑問がある場合、その従業員が使っていたパソコンやその他電子機器は法廷で証拠となり得るよう、適切なプロセスを踏んで証拠を保全する必要があります。 特に、デジタル時代の今日、以下のような情報の保護は必須です。 顧客データ ビジネス・プロセス情報 知的財産 財務情報 入札、料金設定

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潜在する新規性の欠陥を証明するために外的証拠が使われる可能性がある

CAFCは、Monsanto Tech. LLC v. E.I. DuPont de Nemours & Co., Case No. 17-1032 (Fed. Cir., Jan. 5, 2018)において、PTABにおける新規性の欠陥と自明性による特許無効の判決を支持。この判例で特徴的な点(クレーム解釈、属と種、先行文献の発明者による宣言書)が3つあるので、1つずつ簡単に説明していきます。 クレーム解釈: 対象特許のクレームには、約3%かそれ以下(“about 3 percent or less” )という記載がありました。CAFCは、このクレーム制限がクレームの範囲を定義するのに役に立たないもの(the

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アメリカ商標の維持と更新

アメリカ商標登録は、適切な期間に維持、または、更新をしないと自動的に失効してしまいます。登録者は、少なくとも、アメリカの通商での登録商標の使用(または、許される非使用)に関する宣誓供述書と、その使用の証拠を登録されているカテゴリーごと少なくとも1つずつ提出する必要があります。提出する時期は、以下の通りです: 登録5年目から6年目の間 登録9年目から10年目の間 その後10年おき 登録者は、追加手数料を払うことで、上記の時期を過ぎでも6か月間の猶予期間(grace period)の間に関連書類や証拠を提出することができます。特例を除き、猶予期間後に商標の維持や更新はできないので、注意が必要です。 維持、または、更新に必要なステップは、登録者(またはそのライセンシー)の使用状況によって異なります。 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているいくつかのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因が説明できない場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因がある場合 以上の4つの状況を想定した必要書類等が元記事サイトに書かれているので参考にしてみてください。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Matthew D. Asbell . Ladas & Parry LLP https://ladas.com/education-center/maintenance-and-renewal-of-u-s-trademark-registrations/

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著作権で守られた情報のクラウドバックアックは著作権侵害になるのか

Flava Works, Inc. v. Gunter d/b/a myVidster.com, et al., No. 17 C 1171, Slip Op. (N.D. Ill. Jan. 30, 2018) (Gettleman, J.).において、Gettleman判事は、被告(まとめてmyVidster.com)による申立人の特許権侵害主張を取り下げる12(b)(6) motionの一部を許可した。 この事件は、原告Flava Worksが著作権を有するアダルトエンターテイメントサイト、動画、その他の製品を、被告myVidster.comが提供する有料ウェブサイト内でコレクションできるようにしたことで、被告myVidster.comが原告Flava

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陪審員の評決指示に注意

特許訴訟で陪審員による特許侵害判定が行われる場合、陪審員の評決指示に注意が必要です。特に、カウンタークレームで特許無効を主張した場合、被告側は、陪審員への評決指示の内容を当事者間で調整する際に、陪審員への指示が侵害判断で終らず、非侵害と判断されても特許の有効性を判断するような評決指示を採用するよう主張することが大切です。 Flexuspine, Inc. v. Globus Med., Inc., Case Nos. 17-1188; -1189 (Fed. Cir., Jan. 19, 2018) (Prost, CJ).において、CAFCは、地裁による特許無効の判決拒否と特許無効のカウンタークレーム却下を支持しました。 経緯: Flexuspineは、Globusが自社の5つの特許を侵害しているとして、特許侵害訴訟を起こしました。この申し立てに対抗し、Globusは、Flexuspineの特許の無効を主張し、陪審員による判断を希望しました。その後、IPRや略式判決(Summary judgement)などの結果、2つの特許のみが公判で争われることになりました。 公判の最中、両当事者とも独自の陪審員の評決指示を裁判所に提案。原告Flexuspineの評決指示案には、もし侵害に対して否定的な答えが導き出された場合、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をさせない”stop instruction”が含まれていました。一方、被告Globusの評決指示案には、侵害に対して否定的な答えが導き出された場合でも、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をするよう明記されていました。 判事と当事者を交えたチャージカンファレンス(charge conference)の際に、地裁はFlexuspineのstop

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[化学・製薬限定]化学系クレームの自明性テストLead Compound Analysisとは?

2000年ごろから、CAFCは、化合物の特許性を判断するためにLead Compound Analysis(主要化合物分析)というテストを適用しています。Lead Compound Analysisは、以下2つの事柄を吟味し、対象の化学系クレームが自明であるかを判断するテストです。 当業者が更なる開発のために先行例化合物を主要成分として選ぶ動機はあるのか( whether a person of ordinary skill in the art would have had reason to select a prior art compound

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On sale barは幅広い契約に適用されるので注意

On Sale barとは、出願の1年前より以前に発明の販売 (発明が適用されたものの販売や販売のための申し出)があると、アメリカでは特許権が消滅してしまうという仕組みのことをいいます。(日本を含む多くの国では、1年の猶予期間はなく、販売と同時に権利が抹消します)。アメリカでは、2011年に制定されたAIAにより、それ以前のOn Sale barとAIA後のOn Sale barの違いが議論されたことがありましたが、以下の2つの判例を見ると、少なくとも非公開の販売に対しては、AIA以前も以後もルールは変わらないようです。 非公開の販売とは? 非公開の販売(private sale)とは、アメリカの特許法における特殊な点で、販売の内容が公知になっていないもの、または、販売自体が公知になっていないものを言います。そのような販売でも、On Sale barの対象になり、出願の1年前より以前に行われた非公開の販売(private sale)がある場合、アメリカでの特許の権利化はできなくなります。このようは販売は、公開されていないので、特許権者が自発的に情報を開示しない限り、特許庁における審査で考慮することは難しく、またそれは同時に、第三者がその特許を評価する際も、非公開の販売の事実がわからないので、正確な特許の有効性が判断できません。 判例1:Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc このケースは、新しく発明された製薬の販売契約に関するものです。ここでは、出願の1年以上前の特許権者と代理店の間の契約が問題になりました。この契約の存在は、株主に対するcorporate disclosuresで開示されていたものでしたが、契約の詳細は非公開でした。この契約は、実際にの販売は出願前にはなかったものの、法律的に拘束力のある販売の申し出(offer for

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mistake

特許訴訟で雇用契約の譲渡条文に頼るのは危険

特許権者にすべての発明者から発明の譲渡がされていないと、当事者適格(Standing)が認められません。当事者適格がないと、特許侵害訴訟を起こせない(起こしても、棄却されてしまう)ので、譲渡に関する書類は早い段階で発明者に署名してもらいましょう。また、発明者が譲渡を拒む場合、会社に全ての権利が移行せず、当事者適格(Standing)を満たさない場合があるので、注意が必要です。 Advanced Video Technologies LLC v. HTC Corp., et al., Case Nos. 16-2309; -2310; -2311 (Fed. Cir., Jan. 11, 2018) (Reyna J) (O’Malley, J, concurring)

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Patent Agentとのコミュニケーションは秘匿特権で守られるのか

アメリカで特許に携わる人は、大きく特許弁護士(Patent Attorney)とパテントエージェント(Patent Agent)に分かれます。Patent Agentは、特許庁による試験に合格した技術系のバックグラウンドを持つ人で、米国特許庁に対する様々な業務の代行ができます。具体的には、特許明細書の準備、権利化はもちろん、PTABによる権利化後の手続きも行えます。特許弁護士(Patent Attorney)は、Patent Agentの資格に加えて、アメリカで弁護士資格がある人のことを呼びます。 Patent Agentは、出願関係の仕事に大きく貢献していますが、Patent Agentとそのクライアントの間のコミュニケーションがUSPTOやアメリカの裁判所において、秘匿特権で守られるかという問題は長年、不透明なままでした。 しかし、近年、アメリカ特許庁とCAFCにおいて、Patent Agentのコミュニケーションに対する秘匿特権に関して進展がありました。それは、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションは、弁護士と同じように秘匿特権が適用できるというものでした。In re Queen’s University at Kingston。また、特許庁からは、AIA(米国特許法改正)における手続きに関する特権の範囲を明確にするルールが発表されました。また、特許庁の発表では、外国の実務家とアメリカの実務家同士、また、外国の実務家とクライアントの秘匿特権についても秘匿特権が適用できるとしました。 このような、アメリカ特許庁とCAFCによる発表はよいことですが、まだ保護の対象ではっきりしない点も多々あります。例えば、外国の提携事務所担当者と特許出願の準備と権利化に関係ないものへの保護が欠けています。また、特許庁やCAFCでの決定に影響されない州立裁判所では、保護されない可能性があります。このように、保護の対象でまだ明らかではない部分もあるので、Patent Agentとのコミュニケーションには注意が必要です。 例えば、特許庁は、外国実務家はアメリカ特許弁護士と同等の特権が与えられると示しましたが、連邦・州立裁判所では、外国実務家とのコミュニケーションに秘匿特権が適用されるかに対して何も言及していません。極端な例を上げると、PTABにおける手続きでは外国実務家とクライアントの間のコミュニケーションに秘匿特権が適用されますが、他の国や、連邦・州立裁判所では、同じコミュニケーションでも秘匿特権で保護されない可能性があります。 しかし、Patent Agentの秘匿特権で一番大きな問題は、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションの範囲を超えてしまった場合です。特許庁のルールでは、Patent Agentの秘匿特権は、Patent Agentとして許されている業務に関わる範囲(“reasonably necessary and

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デジタル時代の企業スパイとの戦い方

テクノロジーが進化し、より安価に便利なツールが増えることで、企業スパイとの戦い方も変化しつつあります。「企業スパイ」(corporate espionage)といっても様々な形があり一概には言えませんが、スパイは会社で長年かけて培った財産を横領し、悪用することを目的としているので、未然に情報の流出を防いだり、防げなくとも、速やかに情報の流出を確認できるようにすることが大切です。 スパイ行為には幅広いものが当てはまりますが、デジタル時代特有の以下の点については、特に注意が必要です: 従業員が家から働くようになった、または、外出が多くなった 従業員の残業が多くなった、オフィスまたはリモートからのコンピューターへのアクセスが顕著に増えた 従業員が顧客と会うが、会社に議事録を提出しないことが増えた 従業員が直接関わっていない案件について詳しく知っている 従業員が不満を言うようになったり、突然態度を変え始めた 書類やファイルがオフィースからなくなった 従業員が突然やめた  従業員が退職前の面接を拒否、または、退職後の進退について話すことを拒む 上に示した行動は、1つ1つを見るとそれほど大した問題には見えませんが、今後の企業スパイに関する調査の対象になるような行為である可能性もあります。 企業スパイによる被害を未然に防ぐために、いくつかの会社では、監視ソフトウェアに投資をし、一見なんでもないような行動も監視できるようにしています。監視ソフトウェアを使うことで、以下のようなことを検知、監視できます: 個人メール宛に送られるメール Dropboxや他のFTPへのファイルアップロード 会社ファイルのUSBメモリーや外付けハードディスクなどへのコピー 制限されている機密電子ファイルへの不正アクセス 不自然な電子データへのアクセス(顧客データへの過剰なアクセスや不必要なアクセス) もし退社した従業員の行動に疑問がある場合、その従業員が使っていたパソコンやその他電子機器は法廷で証拠となり得るよう、適切なプロセスを踏んで証拠を保全する必要があります。 特に、デジタル時代の今日、以下のような情報の保護は必須です。 顧客データ ビジネス・プロセス情報 知的財産 財務情報 入札、料金設定

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潜在する新規性の欠陥を証明するために外的証拠が使われる可能性がある

CAFCは、Monsanto Tech. LLC v. E.I. DuPont de Nemours & Co., Case No. 17-1032 (Fed. Cir., Jan. 5, 2018)において、PTABにおける新規性の欠陥と自明性による特許無効の判決を支持。この判例で特徴的な点(クレーム解釈、属と種、先行文献の発明者による宣言書)が3つあるので、1つずつ簡単に説明していきます。 クレーム解釈: 対象特許のクレームには、約3%かそれ以下(“about 3 percent or less” )という記載がありました。CAFCは、このクレーム制限がクレームの範囲を定義するのに役に立たないもの(the

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アメリカ商標の維持と更新

アメリカ商標登録は、適切な期間に維持、または、更新をしないと自動的に失効してしまいます。登録者は、少なくとも、アメリカの通商での登録商標の使用(または、許される非使用)に関する宣誓供述書と、その使用の証拠を登録されているカテゴリーごと少なくとも1つずつ提出する必要があります。提出する時期は、以下の通りです: 登録5年目から6年目の間 登録9年目から10年目の間 その後10年おき 登録者は、追加手数料を払うことで、上記の時期を過ぎでも6か月間の猶予期間(grace period)の間に関連書類や証拠を提出することができます。特例を除き、猶予期間後に商標の維持や更新はできないので、注意が必要です。 維持、または、更新に必要なステップは、登録者(またはそのライセンシー)の使用状況によって異なります。 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているいくつかのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因が説明できない場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因がある場合 以上の4つの状況を想定した必要書類等が元記事サイトに書かれているので参考にしてみてください。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Matthew D. Asbell . Ladas & Parry LLP https://ladas.com/education-center/maintenance-and-renewal-of-u-s-trademark-registrations/

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著作権で守られた情報のクラウドバックアックは著作権侵害になるのか

Flava Works, Inc. v. Gunter d/b/a myVidster.com, et al., No. 17 C 1171, Slip Op. (N.D. Ill. Jan. 30, 2018) (Gettleman, J.).において、Gettleman判事は、被告(まとめてmyVidster.com)による申立人の特許権侵害主張を取り下げる12(b)(6) motionの一部を許可した。 この事件は、原告Flava Worksが著作権を有するアダルトエンターテイメントサイト、動画、その他の製品を、被告myVidster.comが提供する有料ウェブサイト内でコレクションできるようにしたことで、被告myVidster.comが原告Flava

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陪審員の評決指示に注意

特許訴訟で陪審員による特許侵害判定が行われる場合、陪審員の評決指示に注意が必要です。特に、カウンタークレームで特許無効を主張した場合、被告側は、陪審員への評決指示の内容を当事者間で調整する際に、陪審員への指示が侵害判断で終らず、非侵害と判断されても特許の有効性を判断するような評決指示を採用するよう主張することが大切です。 Flexuspine, Inc. v. Globus Med., Inc., Case Nos. 17-1188; -1189 (Fed. Cir., Jan. 19, 2018) (Prost, CJ).において、CAFCは、地裁による特許無効の判決拒否と特許無効のカウンタークレーム却下を支持しました。 経緯: Flexuspineは、Globusが自社の5つの特許を侵害しているとして、特許侵害訴訟を起こしました。この申し立てに対抗し、Globusは、Flexuspineの特許の無効を主張し、陪審員による判断を希望しました。その後、IPRや略式判決(Summary judgement)などの結果、2つの特許のみが公判で争われることになりました。 公判の最中、両当事者とも独自の陪審員の評決指示を裁判所に提案。原告Flexuspineの評決指示案には、もし侵害に対して否定的な答えが導き出された場合、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をさせない”stop instruction”が含まれていました。一方、被告Globusの評決指示案には、侵害に対して否定的な答えが導き出された場合でも、陪審員に特許の無効についての判断や賠償金の判断をするよう明記されていました。 判事と当事者を交えたチャージカンファレンス(charge conference)の際に、地裁はFlexuspineのstop

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[化学・製薬限定]化学系クレームの自明性テストLead Compound Analysisとは?

2000年ごろから、CAFCは、化合物の特許性を判断するためにLead Compound Analysis(主要化合物分析)というテストを適用しています。Lead Compound Analysisは、以下2つの事柄を吟味し、対象の化学系クレームが自明であるかを判断するテストです。 当業者が更なる開発のために先行例化合物を主要成分として選ぶ動機はあるのか( whether a person of ordinary skill in the art would have had reason to select a prior art compound

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On sale barは幅広い契約に適用されるので注意

On Sale barとは、出願の1年前より以前に発明の販売 (発明が適用されたものの販売や販売のための申し出)があると、アメリカでは特許権が消滅してしまうという仕組みのことをいいます。(日本を含む多くの国では、1年の猶予期間はなく、販売と同時に権利が抹消します)。アメリカでは、2011年に制定されたAIAにより、それ以前のOn Sale barとAIA後のOn Sale barの違いが議論されたことがありましたが、以下の2つの判例を見ると、少なくとも非公開の販売に対しては、AIA以前も以後もルールは変わらないようです。 非公開の販売とは? 非公開の販売(private sale)とは、アメリカの特許法における特殊な点で、販売の内容が公知になっていないもの、または、販売自体が公知になっていないものを言います。そのような販売でも、On Sale barの対象になり、出願の1年前より以前に行われた非公開の販売(private sale)がある場合、アメリカでの特許の権利化はできなくなります。このようは販売は、公開されていないので、特許権者が自発的に情報を開示しない限り、特許庁における審査で考慮することは難しく、またそれは同時に、第三者がその特許を評価する際も、非公開の販売の事実がわからないので、正確な特許の有効性が判断できません。 判例1:Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc このケースは、新しく発明された製薬の販売契約に関するものです。ここでは、出願の1年以上前の特許権者と代理店の間の契約が問題になりました。この契約の存在は、株主に対するcorporate disclosuresで開示されていたものでしたが、契約の詳細は非公開でした。この契約は、実際にの販売は出願前にはなかったものの、法律的に拘束力のある販売の申し出(offer for

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特許訴訟で雇用契約の譲渡条文に頼るのは危険

特許権者にすべての発明者から発明の譲渡がされていないと、当事者適格(Standing)が認められません。当事者適格がないと、特許侵害訴訟を起こせない(起こしても、棄却されてしまう)ので、譲渡に関する書類は早い段階で発明者に署名してもらいましょう。また、発明者が譲渡を拒む場合、会社に全ての権利が移行せず、当事者適格(Standing)を満たさない場合があるので、注意が必要です。 Advanced Video Technologies LLC v. HTC Corp., et al., Case Nos. 16-2309; -2310; -2311 (Fed. Cir., Jan. 11, 2018) (Reyna J) (O’Malley, J, concurring)

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Patent Agentとのコミュニケーションは秘匿特権で守られるのか

アメリカで特許に携わる人は、大きく特許弁護士(Patent Attorney)とパテントエージェント(Patent Agent)に分かれます。Patent Agentは、特許庁による試験に合格した技術系のバックグラウンドを持つ人で、米国特許庁に対する様々な業務の代行ができます。具体的には、特許明細書の準備、権利化はもちろん、PTABによる権利化後の手続きも行えます。特許弁護士(Patent Attorney)は、Patent Agentの資格に加えて、アメリカで弁護士資格がある人のことを呼びます。 Patent Agentは、出願関係の仕事に大きく貢献していますが、Patent Agentとそのクライアントの間のコミュニケーションがUSPTOやアメリカの裁判所において、秘匿特権で守られるかという問題は長年、不透明なままでした。 しかし、近年、アメリカ特許庁とCAFCにおいて、Patent Agentのコミュニケーションに対する秘匿特権に関して進展がありました。それは、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションは、弁護士と同じように秘匿特権が適用できるというものでした。In re Queen’s University at Kingston。また、特許庁からは、AIA(米国特許法改正)における手続きに関する特権の範囲を明確にするルールが発表されました。また、特許庁の発表では、外国の実務家とアメリカの実務家同士、また、外国の実務家とクライアントの秘匿特権についても秘匿特権が適用できるとしました。 このような、アメリカ特許庁とCAFCによる発表はよいことですが、まだ保護の対象ではっきりしない点も多々あります。例えば、外国の提携事務所担当者と特許出願の準備と権利化に関係ないものへの保護が欠けています。また、特許庁やCAFCでの決定に影響されない州立裁判所では、保護されない可能性があります。このように、保護の対象でまだ明らかではない部分もあるので、Patent Agentとのコミュニケーションには注意が必要です。 例えば、特許庁は、外国実務家はアメリカ特許弁護士と同等の特権が与えられると示しましたが、連邦・州立裁判所では、外国実務家とのコミュニケーションに秘匿特権が適用されるかに対して何も言及していません。極端な例を上げると、PTABにおける手続きでは外国実務家とクライアントの間のコミュニケーションに秘匿特権が適用されますが、他の国や、連邦・州立裁判所では、同じコミュニケーションでも秘匿特権で保護されない可能性があります。 しかし、Patent Agentの秘匿特権で一番大きな問題は、特許庁から許可されている範囲の業務に関するコミュニケーションの範囲を超えてしまった場合です。特許庁のルールでは、Patent Agentの秘匿特権は、Patent Agentとして許されている業務に関わる範囲(“reasonably necessary and

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デジタル時代の企業スパイとの戦い方

テクノロジーが進化し、より安価に便利なツールが増えることで、企業スパイとの戦い方も変化しつつあります。「企業スパイ」(corporate espionage)といっても様々な形があり一概には言えませんが、スパイは会社で長年かけて培った財産を横領し、悪用することを目的としているので、未然に情報の流出を防いだり、防げなくとも、速やかに情報の流出を確認できるようにすることが大切です。 スパイ行為には幅広いものが当てはまりますが、デジタル時代特有の以下の点については、特に注意が必要です: 従業員が家から働くようになった、または、外出が多くなった 従業員の残業が多くなった、オフィスまたはリモートからのコンピューターへのアクセスが顕著に増えた 従業員が顧客と会うが、会社に議事録を提出しないことが増えた 従業員が直接関わっていない案件について詳しく知っている 従業員が不満を言うようになったり、突然態度を変え始めた 書類やファイルがオフィースからなくなった 従業員が突然やめた  従業員が退職前の面接を拒否、または、退職後の進退について話すことを拒む 上に示した行動は、1つ1つを見るとそれほど大した問題には見えませんが、今後の企業スパイに関する調査の対象になるような行為である可能性もあります。 企業スパイによる被害を未然に防ぐために、いくつかの会社では、監視ソフトウェアに投資をし、一見なんでもないような行動も監視できるようにしています。監視ソフトウェアを使うことで、以下のようなことを検知、監視できます: 個人メール宛に送られるメール Dropboxや他のFTPへのファイルアップロード 会社ファイルのUSBメモリーや外付けハードディスクなどへのコピー 制限されている機密電子ファイルへの不正アクセス 不自然な電子データへのアクセス(顧客データへの過剰なアクセスや不必要なアクセス) もし退社した従業員の行動に疑問がある場合、その従業員が使っていたパソコンやその他電子機器は法廷で証拠となり得るよう、適切なプロセスを踏んで証拠を保全する必要があります。 特に、デジタル時代の今日、以下のような情報の保護は必須です。 顧客データ ビジネス・プロセス情報 知的財産 財務情報 入札、料金設定

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潜在する新規性の欠陥を証明するために外的証拠が使われる可能性がある

CAFCは、Monsanto Tech. LLC v. E.I. DuPont de Nemours & Co., Case No. 17-1032 (Fed. Cir., Jan. 5, 2018)において、PTABにおける新規性の欠陥と自明性による特許無効の判決を支持。この判例で特徴的な点(クレーム解釈、属と種、先行文献の発明者による宣言書)が3つあるので、1つずつ簡単に説明していきます。 クレーム解釈: 対象特許のクレームには、約3%かそれ以下(“about 3 percent or less” )という記載がありました。CAFCは、このクレーム制限がクレームの範囲を定義するのに役に立たないもの(the

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アメリカ商標の維持と更新

アメリカ商標登録は、適切な期間に維持、または、更新をしないと自動的に失効してしまいます。登録者は、少なくとも、アメリカの通商での登録商標の使用(または、許される非使用)に関する宣誓供述書と、その使用の証拠を登録されているカテゴリーごと少なくとも1つずつ提出する必要があります。提出する時期は、以下の通りです: 登録5年目から6年目の間 登録9年目から10年目の間 その後10年おき 登録者は、追加手数料を払うことで、上記の時期を過ぎでも6か月間の猶予期間(grace period)の間に関連書類や証拠を提出することができます。特例を除き、猶予期間後に商標の維持や更新はできないので、注意が必要です。 維持、または、更新に必要なステップは、登録者(またはそのライセンシー)の使用状況によって異なります。 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているいくつかのカテゴリーにおいて使用している場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因が説明できない場合 登録商標を登録しているすべてのカテゴリーにおいて使用していない、または、使用をやめ、また、登録商標の使用を妨げる具体的な要因がある場合 以上の4つの状況を想定した必要書類等が元記事サイトに書かれているので参考にしてみてください。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Matthew D. Asbell . Ladas & Parry LLP https://ladas.com/education-center/maintenance-and-renewal-of-u-s-trademark-registrations/

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著作権で守られた情報のクラウドバックアックは著作権侵害になるのか

Flava Works, Inc. v. Gunter d/b/a myVidster.com, et al., No. 17 C 1171, Slip Op. (N.D. Ill. Jan. 30, 2018) (Gettleman, J.).において、Gettleman判事は、被告(まとめてmyVidster.com)による申立人の特許権侵害主張を取り下げる12(b)(6) motionの一部を許可した。 この事件は、原告Flava Worksが著作権を有するアダルトエンターテイメントサイト、動画、その他の製品を、被告myVidster.comが提供する有料ウェブサイト内でコレクションできるようにしたことで、被告myVidster.comが原告Flava

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