著作権で守られた情報のクラウドバックアックは著作権侵害になるのか

Flava Works, Inc. v. Gunter d/b/a myVidster.com, et al., No. 17 C 1171, Slip Op. (N.D. Ill. Jan. 30, 2018) (Gettleman, J.).において、Gettleman判事は、被告(まとめてmyVidster.com)による申立人の特許権侵害主張を取り下げる12(b)(6) motionの一部を許可した。

この事件は、原告Flava Worksが著作権を有するアダルトエンターテイメントサイト、動画、その他の製品を、被告myVidster.comが提供する有料ウェブサイト内でコレクションできるようにしたことで、被告myVidster.comが原告Flava Worksが著作権を侵害しているという訴えを起こしました。

この事件で、裁判所は以下の事柄について判決を下しました。

原告は、正当な著作権侵害のクレームを持っている可能性があること。訴訟の前半で、裁判所は、侵害者は、ウェブサイトにビデオをアップロードしたmyVidster.comのユーザーであって、サイトを運営している被告myVidster.comではないとしました。しかし、アップロードされたビデオをクラウドでバックアップすることで、被告myVidster.comは、別の著作権を侵害しているビデオを作ることで、原告の著作権を侵害していると主張。もしそのクラウドバックアップが証明されれば、原告は、被告myVidster.comに対して有効な著作権侵害に対するクレームを持つことができると判決しました。

この裁判所は、以前著作権を侵害しているビデオへのブックマークでは寄与侵害(contributory infringement)にはならないとしましたが、すでにアップロードされた著作権を侵害しているビデオのダウンロードは、寄与侵害(contributory infringement)にあたる可能性があると示唆しました。

申立書では、被告myVidster.comが侵害行動から利益を上げたような記載はなかったので、被告myVidster.comに対する代位著作権侵害(vicarious copyright infringement)はない。

さらに、裁判所は、原告が実際の侵害行動を特定せず、代位責任(vicarious liability)には、その元となる侵害行為が必要なので、原告による誘因クレーム(inducement claims)を却下。

この著作権侵害事件を見ると、原告の著作権侵害の主張は全く不完全なものでした。被告myVidster.comの侵害行動を具体的に明らかにせず、さらに、被告myVidster.comがそのような違法行為から商業的な利益を上げているという情報や主張も全くなされていなかった。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:R David Donoghue. Holland & Knight LLP

Cloud Back Up of Copyrighted Material May be Infringing Act

 

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