
維持費を抑えるためにやるべき戦略的特許放棄のススメ
巨大な特許ポートフォリオを持っていると、毎年維持するだけでも多くのコストがかかります。そのため不必要な特許は積極的に放棄(lapse)していくという戦略的な特許放棄を行っていく必要がありますが、企業間での取り組みは大きく異なります。世界的にも特許の維持コストが上がってきているので、今後はよりスマートな特許ポートフォリオマネージメントと戦略的特許の放棄のニーズが増えてくることでしょう。今回は自動車メーカーを例に彼らの維持費対策を見てみます。
巨大な特許ポートフォリオを持っていると、毎年維持するだけでも多くのコストがかかります。そのため不必要な特許は積極的に放棄(lapse)していくという戦略的な特許放棄を行っていく必要がありますが、企業間での取り組みは大きく異なります。世界的にも特許の維持コストが上がってきているので、今後はよりスマートな特許ポートフォリオマネージメントと戦略的特許の放棄のニーズが増えてくることでしょう。今回は自動車メーカーを例に彼らの維持費対策を見てみます。
2023年1月10日に発行されたAppleの特許の出願履歴から考察しました。OA対応が延長期間ぎりぎりの6ヶ月に差し掛かるときに行われていたものの、効果的なインタービューの活用により書面によるOA対応の前にすでに許可可能なクレームに関して合意ができていた案件でした。
2023年連結歳出法( the Consolidated Appropriations Act, 2023 )および2022年米国イノベーター解放法 (the Unleashing American Innovators Act of 2022)のおかげで、小規模・零細企業(Small and micro businesses)は特許料の引き下げを利用できるようになりました。これらの新法は最近バイデン大統領によって署名され、小企業割引を50%から60%に、零細企業割引を75%から80%に引き上げることによって、小規模・零細企業を支援することを目的としています。
米国特許商標庁(USPTO)は、2023年4月3日から、DOCX形式以外で出願されたすべての出願に追加料金を適用することを決定しました。USPTOは当初、追加料金の発効日を2023年1月1日と発表していましたが、実施予定日のわずか数日前に実施を3ヶ月間延期しています。延長されたものの、現在DOCXを使用していない実務家は、DOCX出願プロセスへの対応を進め実施日に備える必要があります。以下は、新しいDOCX出願要件に対応するための推奨ベストプラクティスです。
2022年11月15日に発行されたNintendoの特許の出願履歴から考察しました。序盤からインタビューを多様し、ほぼすべてのOA対応の前にインタビューを行っていました。さらにインタビュー中に2つの補正提案を審査官から提案された際は、追加で新規の独立クレームを書き、提案された補正を1つずつ別々のクレームで試す(詳細は最終拒絶以降の解説を見てください)という、いわゆるA/Bテストを行うなど、クリエイティブな面もありました。また、RCE後に許可可能なクレームが確定したあとは、特許性が認められた部分を拒絶された別の独立クレームに用いるなど、無駄のない合理的な手続きを行っています。
全体的に、丁寧によく考えられたOA対応ができていた案件だと思います。
米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、特許期間調整(patent term adjustment, PTA)に関する米国特許商標庁(PTO)の決定を支持し、出願人が許可通知後(notice of allowance)に補正書を提出し、補正書を取り下げるか提出を棄権すればより早く審査を完了できた場合、特許期間から日数を差し引くことが適切であると判断しました。
裁量棄却(discretionary denials)が稀になり、それに応じて審査を開始する(institution)割合が上昇したため、特許審判部(PTAB)は再び申立人有利になりつつあります。2022年度(2022年8月まで)のPTABのインスティチューション率は、2016年度以来最も高く、66%です。さらに最近のデータを見ると、2022年7月から現在までのPTABのインスティチューション決定率は、さらに高く73%となっています。
アメリカにおける良い明細書は適宜明細書内やクレームで使われる用語が明細書内で明確に定義されていることだという意見もありますが、他のものと同様に、過剰な記述は有害な結果を招くことがあります。今回のIPRはそのケースで、uniQure biopharmaは米国特許第 9,982,248 号(’ 248)に関する IPR2021-00926 (IPR) で、自ら定義した用語によって特許性が失われるという事態に陥りました。
2022年11月8日に発行されたCanonの特許の出願履歴から考察しました。今回は結果的にRCE2回することになってしまいましたが、その前まで見れば、比較的早い段階で許可可能クレームまでこぎつけていました。出願人も許可可能クレームを含むクレームを提示したのですが、AFCPにおける追加調査によって、許可可能クレームが覆り、そこから次々に新しい先行技術文献による拒絶に苦しむことになってしまいました。