アメリカにとって台湾の重要性が増している

アメリカにとって、貿易額がTop10にランクインした台湾は重要な国(地域)の1つになってきています。経済的な重要性に伴い台湾における特許等の知財保護の重要性も高まってきています。 知財保護という観点で気をつけたいのが、台湾がWIPOメンバーでないということです。しかし、台湾はアメリカやヨーロッパの国々を含む数多くの国と知財にかかわる契約を交わしています。台湾はEPCやPCTの加盟国ではないですが、EPCやPCT出願の優先権を主張して台湾に出願することが可能です。台湾はPCT加盟国ではないので、30ヶ月後のnational phase entryはできません。その代わりに、台湾におけるnational applicationは最も早い出願日から12ヶ月以内に行う必要があります。台湾特許出願は中国語以外の言語でもできますが、中国語による翻訳の提出が決められた時期までに必要です。対応言語は、Arabic, English, French, German, Japanese, Korean, Portuguese, Russian and Spanishとのことです。 台湾には3種類の特許:Invention, Utility Model, そして Designがあります。Invention特許は、一般的な「特許」とほぼ同等で、20年の期間有効です。一部のバイオ系の発明(animals, plants, and essential biological processes for the production of animals or plants, except for processes for producing microorganisms、Diagnostic, therapeutic and surgical methods for the treatment of humans or animals )は、特許の対象外です。審査期間の平均は24から36ヶ月。 Utility Model 特許は、形や構造に関するもので、Invention 特許よりも発明の難易度はある程度低いとのことです。Invention 特許と異なり、有効期間は10年。Utility Model […]

エキスパートが侵害分析を怠り、侵害レポートが除外される

Karl Storz Endoscopy America, Inc. v. Stryker Corp., Case No. 14-cv-00876-RS (JSC) (N.D. Cal. March 30, 2018)において、特許権者が雇った侵害のエキスパートが侵害レポートにおいて肝心の侵害分析を全く行なっていなかったとして、裁判所は提出された侵害レポートを除外しました。 そもそも、提出された侵害レポートは以下のような6つの章でなりたっていました。(1) introduction, (2) summary of conclusions, (3) background and qualifications, (4) materials reviewed, (5) legal principals and methods, and (6) conclusion。章のタイトルから分かる通り、肝心の侵害分析の章がありません。 侵害レポートにはどのように侵害が避難されている製品がクレームに書かれている制限を全て含むのかが説明されていませんでした。また、裁判所は、エキスパートの方法説明自体が証拠不十分な推論にすぎないと強く批判。   コメント: 侵害に関するエキスパートのレポートは訴訟において大切な部分になります。特許訴訟の場合、原告も被告も両方エキスパートを雇い侵害・非侵害のレポートを提出するのが一般的で、争点はエキスパートの信頼性や分析の信用度、信頼度などになってきます。しかし、この案件はそれ以前の問題で、エキスパートが肝心の侵害分析を怠っていたとみなされてしまったので、特許権者のKarl Storzにかなり不利な状況になってしまいました。適切なエキスパートを選定し、裁判所の信頼を勝ち得るレポートを作成してもらうことは難しいですが、少なくとも提出される侵害レポートが侵害の分析を十分にしていることを確認する必要はあると思います。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Stanley M. Gibson. Jeffer Mangels Butler & Mitchell LLP Karl Storz […]

CBM Estoppelの適用条件

Solutran, Inc. v. U.S. Bancorp & Elavon, Inc., No. 13:cv-02637, 2018 WL 1276999 (D. Minn. Mar. 12, 2018)において、裁判所はCMB estoppelは親出願がCMBで先行文献として用いられていても、親出願からは主張できない新しい開示や特徴がある関連出願には適用されないとしました。 経緯: 特許庁のthe Patent Trial and Appeal Board (PTAB)で行われたCovered Business Method (CBM)手続きが終了後、地裁で行われていた特許訴訟が再開しました。 CBM手続きの際に、Randle ‘283 という先行文献が注目されましたが、PTABは最終的にこのRandle ‘283 という先行文献はクレームを自明にするものではないとし、クレームはCBMで無効にされませんでした。 その後、再開された地裁で、原告はCMB手続きの際に用いられたRandle ‘283 のCIP出願である Randle ‘717という先行文献にはCMB estoppelが適用されるとして、Randle ‘717に関わる全ての証言、証拠、主張を訴訟から除外するよう申し立てました。 CBM estoppelとは、PTABによるCBM手続きの際に主張したどのような無効理由(“on any ground”) の主張であっても再度、地裁等の場で、主張されることを防ぐルールです。 原告は理由(”ground”)の意味は広く、どのような自明性に関わる無効理由にも当てはまり、PTABではすでに自明性に関する最終判断が出されているので、被告は地裁において自明性に対する主張は全くできないと主張しました。 しかし、裁判所はCBM estoppelで使われている「理由」(”ground”)という言葉は、先行文献を元にした個別の無効理由を意味しているとしました。また、この案件の問題を解決するにあたり、裁判所は、まず問題になっているRandle ‘717という先行文献が、CBMで使用されたRandle ‘283という先行文献と同等のものなのかを決める必要があるとしました。つまり、Randle ‘717がCBMですでに使用されたRandle ‘283には開示されていない新しい開示や特徴を示しているのであれば、CBM estoppelは適用されないとしました。 […]

幅が重複している先行文献だけでは患者治療の方法クレームを無効にできない

製薬関連の特許には、多くの場合治療方法がクレームされていて、有効成分や添加剤の量や濃度がある一定の幅で限定されていることがあります。このようなクレームの形は多くの特許で使われていますが、先行文献において重複する幅で開示がある場合、どのような文献だったら新規性や自明性の有無を問えるのかが明確ではありませんでした。しかし、PTABによる最近の判例Koios Pharmaceuticals LLC v. Medac Gesellschaft Für Klinische Spezialpräparate, Case IPR2016-01370 (Paper 54, February 7, 2018)は、このように幅が重複している先行文献を審査する方法の一例を示しています。 PTABにおける分析: 問題の特許は、以下の方法をクレームしていました。 a method for treating inflammatory autoimmune diseases comprising subcutaneously administering methotrexate at a concentration of more than 30 mg/ml. 先行文献のGrint patentは同じ病気を治療するもので, methotrexateが “from about 0.1 to about 40 mg/ml of carrier”であるべきで、subcutaneous injectionをするのが好ましいと開示していました。エキスパートもsubcutaneous administration(皮下投与)という部分とmethotrexateの濃度に関してクレームの幅と重複していると説明。 しかし、PTABは、先行文献のGrint patentはクレームされた発明を無効にするには不十分だとしました。 幅が重複しているのになぜでしょうか? PTABは、その理由として、申立人は重複するmethotrexateの濃度が皮下投与で適用可能だと当業者が理解することを示さなければいけないが、そのことを申立人は怠ったとしました。申立人のエキスパートは重複するmethotrexateの濃度が皮下投与で適用可能だと当業者が理解すると主張しましたが、PTABは、特許権者のエキスパートのGrint […]

Federal Circuit PTAB Appeal統計(2018年3月15日現在)

2018年3月15日現在、CAFCはPTABによるIPRやCBM手続きの上訴329件を扱ってきました。CAFCがPTABの判決を支持した案件は248件で全体の75.38%にあたります。棄却、無効になった案件は36件で全体の10.94%。 その間の結果(つまり少なくとも1つの問題に対してはPTABの判決を支持したが、すくなくとも1つの問題に対して棄却・無効になった)は、33件で全体の10.03%でした。 CAFCは約12件(3.65%) の上訴を棄却。これは、CAFCが管轄を持っていないと判断した件や、和解などが原因で棄却になったものが多いとのことです。 このように大量の上訴をこなすのに、CAFCはPTABからの上訴に対してRule 36 affirmanceを多様しているとのことです。このRule 36 affirmanceは、詳しい判決文を書かずにPTABの判決を支持するもので、154件 (46.81%) に適用されました。 IPRからの上訴に対して、CAFCがPTABの判決すべてを支持した案件は、225件 (75.25%)に登り、すべての判決を棄却、無効にした案件は34 件(11.37%)  、その間の結果が31件 (10.37%)で、上訴の破棄が9件 (3.01%) でした。 CBMからの上訴に対して、CAFCがPTABの判決すべてを支持した案件は、23件(76.67%) に登り、すべての判決を棄却、無効にした案件は2 件(6.67%)   、その間の結果が2 件(6.67%)で、上訴の破棄が3 件(10%) でした。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:David C. Seastrunk, Daniel F. Klodowski, Elliot C. Cook and Jason E. Stach. Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner LLP https://www.finnegan.com/en/insights/blogs/america-invents-act/federal-circuit-ptab-appeal-statistics-march-15-2018.html

PTABへの差し戻しは特許権者に有利?

Patent Trial & Appeal Board (PTAB) からCAFCに上訴された場合、PTABにおける判決の無効(vacatur)とPTABへの差し戻し(remand)という結果になる場合があります。このように差し戻しされた場合、PTABはただ単にCAFCの判決に沿って手続きを改めるだけにとどまらず、最終的には上訴した側に有利は判決が下ることが多いです。 このような傾向はCAFCでPTABの判決が棄却(reversal)されなくても、差し戻しで最終的に勝てる確立が上がることを意味します。IPRで特許クレームが無効になる確立の高い特許権者にとって、判決の無効(vacatur)とPTABへの差し戻し(remand)は訴訟は長引きますが、最終的にクレームが生き残る(または復活)する可能性が高くなると言っていいでしょう。 このよう差し戻しに対するPTABの傾向は、最近の判例Dell Inc. v. Acceleron, LLCで顕著にあらわれています。 経緯: PTABにおいてIPR手続きで、DellはAcceleronの特許の無効性を主張。口頭弁論の際にDellはそれまでには開示していない新たな主張でクレームの無効性を主張し、PTABはクレームを無効にしたが、Acceleronがそのよう主張は適切ではないと反論。後にCAFCに上訴。再審議の後、CAFCは口頭弁論の際に全く新しい主張を行うことは不適切だとして、PTABにおける判決を無効にし、PTABへ差し戻しました。 差し戻しにおいて、Dellは新たな主張が受け入れられ、上訴される前と同じように、クレームが無効になることを見込んでいました。しかし、PTABはDellの新しい主張は受け入れず、当事者のどちらからも情報を要求しないまま、前回の判決を覆しました。 Dellは差し戻しで新たな主張が受け入れられなかったことを不服に思い、CAFCに上訴。 しかし、CAFCは、Dellの主張を受け入れず、差し戻しでDellの新しい主張を受け入れる必要はないとしました。CAFCは、判例を見てもPTABは差し戻しの際に新しい証拠を考慮する必要はなく、PTABはすでにある証拠から(CAFCの判決の元)判決を下せるとしました。 このようなCAFCによる判決により、差し戻しの際にPTABは当事者からの新たな主張を求めず、上訴前の判決を覆すことが多くなることが予測されます。 コメント: PTABでクレームが無効になり、CAFCに上訴したとします。そして今回の判例のように、差し戻しでPTABは一切の新しい証拠や主張を考慮しないとすると、差し戻しになった場合、上訴以前の判決を覆すという結果は論理的です。差し戻しにおいて、証拠や主張が上訴以前のものと何も変わらず、唯一変わったのがCAFCによるPATBの間違えの指摘であれば、PTABが前回の判決を覆す判断を行うことは最も論理的な結論だと思います。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Scott A. McKeown. Ropes & Gray LLP PTAB Remands Looking More Like Eventual Wins for Patentees

第1四半期の訴訟統計データ

地裁訴訟: 前年比較で訴訟数はほぼ同等でした。931の被告人に対して、去年は928の被告人。その内、NPEsは394の被告人を訴え(全体の42%)、事業会社は537の被告人を訴え(全体の58%)ました。前年と比較するとNPEによる訴訟は縮小し、事業会社によるものが拡大しました。事業会社による特許訴訟に注目すると、バイオテックや製薬業界での訴訟が目立ち、82の被告人が130の訴訟で訴えられていて、前年に比べ(57の被告人が97の訴訟で訴えられた)大きく飛躍しています。 裁判地の傾向: TC Heartlandによる大きな変更の後、落ち着きをみせ、裁判地の分布は安定してきました。Q1 2018では the District of DelawareがNPEの訴訟ではトップ、その後にthe Eastern District of Texasが着けています。この2つの裁判地で全体の50%を占めます。残りのトップ5は、The Northern District of California, the Northern District of Illinois, the Central District of Californiaとなっています。また、Delaware と the Central District of California は、事業会社による特許訴訟において人気のある裁判地トップ2です。 PTABへの申し立て: The Patent Trial and Appeal Board (PTAB) は411件のAIA review手続きに関わる申し立てを受け取りました。内訳としては、376件のIPRに対する申し立て、12件のCBMに対する申し立て、23件のpost-grant reviewに対する申し立てです。この数字は2017年のQ3 (392) と Q4 (373) と近く、PTABへの申し立て数が安定してきたことを示します。 その他: ソフトウェア特許に関わるAliceの影響、PTABにおけるクレーム補正、部族への譲渡とIPR回避の問題、NPEの市場状況、トランプ政権下における特許政策などが語られています。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:RPX […]

IPRによる訴訟中断を阻止する方法

2018年4月5日、Rovi Guides, Inc. v. Comcast Corp., No. 16-cv-9278 (JPO) (S.D.N.Y. Apr. 5, 2018)において、IPR手続きにより中断していた訴訟が、IPR手続きが進行中のなか一部再開しました。通常、IPRにより訴訟が中断する場合、裁判所における全ての手付づきが止まるのですが、なぜ今回はIPR手続きの完了を待たずに一部再開したのでしょうか? 経緯: RoviがComcastを相手に5つの特許の権利行使をします。その中の2つの特許 (‘696特許と’034特許)は関連性が高いものでした。PTABは訴訟で対象になった5つの特許の内、4つに対してIPR手続きを開始。IPR手続きを受け、Comcastは訴訟の中断を申し立て、裁判所はIPRの結果が出るまで一切の手続きを停止しました。これに対して、特許権者であるRoviは訴訟中断を阻止しようと、IPRにかかっている‘696特許を訴訟から取り下げ、唯一IPR手続きの対象になっていない’034特許における訴訟を継続し、残りの特許については後で審議を行うbifurcationという形を裁判所に提案。 裁判所はRoviの主張を認め、’034特許における訴訟を継続することを決定。この決定に伴い、判事は‘696特許の取り下げが訴訟中断の判断に大きな状況を変えたとしました。裁判所は、’034特許はIPR手続きに含まれていないので、’034特許に関する訴訟の一時停止は訴訟を簡略化するものではないとしました。また、 IPRの対象になっていない’034特許の審議を遅らせることはRoviにとって不当な損害(undue prejudice)をもたらすとしました。 最後に、裁判所は訴訟を分割するbifurcationというやり方を採用することにより重複する事柄を再度議論するリスクとコストの問題を考慮。しかし判事は、’034特許が他の特許とは異なる技術に関するもので、異なる発明者によるものであることから、重複のリスクやコストよりも遅延によるRoviにとっての不当な損害の方が大きいとしました。 この結果、裁判所は‘696特許を訴訟から取り下げすることを許し、’034特許の審議をスタートし、bifurcationする形で訴訟が一部再開されました。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Lewis V. Popovski and Hui Li. Patterson Belknap Webb & Tyler LLP https://www.pbwt.com/ny-patent-decisions-blog/judge-oetken-lifts-stay-on-1-of-5-ipred-patents/#page=1

Mark Zuckerbergの議会証言の直前にFacebookが企業機密訴訟を和解

BladeRoom Group Ltdが自社の企業機密を盗まれたとしてFacebookとEmerson Electric Coを訴えていましたが、その公判の最中、突然、FacebookはBladeRoom Group Ltd.と和解し、$365 millionにも及ぶデータセンターに関わる企業機密訴訟から抜けました。しかし、共同被告人のEmerson Electric Co.はその和解に含まれておらず、訴訟はFacebook抜きで継続。 共同被告人のEmersonはFacebookのCambridge Analytica によるスキャンダルを懸念。Facebookが訴訟から抜けてもFacebookの存在が影響し、公判では陪審員の偏見を買うと主張し、無効審理(mistrial)を申し出ましたが、裁判所はその申し出を却下。その結果、訴訟は継続することになりました。 訴訟の概要: 裁判所に提出された書類によると、BladeRoomは $365 millionの損害賠償を求めています。その内訳は、 $18.4 million for allegedly lost profits on the building contract、$88.4 million for future profits BladeRoom said it couldn’t generate as a result of the trade secret theft、 $188.4 million in unjust enrichment that BladeRoom said Emerson received from […]