2017年米国特許訴訟ランキング。製薬会社がターゲットに。
製薬会社であるTeva社が去年最も特許訴訟の被告人になった会社。去年はより多くの製薬会社が特許訴訟のターゲットになったので、2年前にトップだったSamsungを追い抜き、Teva社がナンバーワンに。 数字はLexis Nexis社の子会社であるLex Machina社の年間特許訴訟レビュー・レポートを使用。特許訴訟で訴えられる数が多い企業は、Apple, LG, Amazon, ZTE, Microsoft や Huaweiなどテクノロジー系の大企業が多いが、今年は製薬会社が訴えられることが多く、9社がランクインした(前回は4社のみ)。 Teva社の他、製薬会社では、Mylan, Sandoz, Apotex, Amneal や Lupinなどがランクイン。Lex Machina社の情報によると、Abbreviated New Drug Application (ANDA) Litigation(ANDA訴訟)が増加。2016年は、318件だったが、2017年は469件に増加。 Abbreviated New Drug Application (ANDA) Litigation ― 日本語では、ANDA訴訟と言う。簡略化製造承認申請をする後発医薬品メーカーに対して先発医薬品メーカーやNPEが提訴する特許侵害訴訟のこと。 トップ3 Teva 49 cases Apple 42 cases Samsung Electronics America 37 cases 情報源: Lex Machina まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Richard Lloyd. IAM http://www.iam-media.com/Blog/Detail.aspx?g=50de4177-1d91-466a-b70c-ea4b45139d40
Global 100 Innovatorsの品格
2018年2月の初め、 Clarivate Analytics 社による2017年Global 100 Innovatorsの発表があった。Clarivate Analytics 社のマーケティング担当者Bob Stembridge氏がどのようにGlobal 100 Innovatorsが選ばれたのか、どのような弁護士事務所を使っているのかなどを説明した。 量より質: トップ100社の出願数は過去5年と比較して2.4%の微増。同じ期間に出願数全体では、11.6%(トップ100社を除く)の増加。 しかし、トップ100社の特許成立案件を見ると、過去5年と比較して5.7%増加し、全体の特許成立案件の3.4%増を大きく超える数字をトップ100社は出している。 また、トップ100社は、発明に関する特許権をより広い範囲で得ている。それは、質の高い明細書を作成したり、出願前の十分な調査や、審査期間中に発明の価値をより明確に示すなどの努力がこのような数字に反映されているのかも知れない。 特許として権利化される率が高ければ、より質の高い発明がその会社でなされていると考えられるので、権利化率はGlobal 100 Innovatorsとして選ばれるための1つの重要な指標。 国際的であること: トップ100社は質にこだわるだけでなく、国際的な発明の商業化を狙っている。特に世界的に重要な発明に関する出願は、多くの国で行われることが多い。 特に、グローバルマーケットで重要な地域(アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国)での出願は、その会社における発明の価値と重要性を示している。 2017年トップ100社の国際指標は、去年に比べ、3.7%増。この数字は、国際平均の5.3 倍という驚異的な数字だ。 被引用数: より引用されている特許や文献がより影響のある重要な技術・発明だとすると、引用された数を見ることも重要になってくる。被引用数(引用された回数)を調べることによって、その被引用文献の重要性がわかる。この点においてもトップ100社は群を抜いている。 トップ100社は、この被引用数を前年と比較すると2.8%増(自社の引用を除く)。この数字から、トップ100社は、業界全体に大きな影響を与えていることがわかる。 発明の拠点はアジアへ: 2017年トップ100社の主な発明拠点は日本とアメリカで、トップ100社の75%を占めている。85%の 2017年トップ100社は2016年トップ100社であり、2017年はじめてトップ100入りした会社は6社である。 トップ100社の内45社がアジア系で、前年比15%増。会社例:Honda, Komatsu, Samsung, Toyotaは常連。 Fuji Electric, Hon Haiや Nichiaなどが初。北アメリカが2番めで、36社。会社例:Apple, Abbott Laboratories, Boeing, Microsoftは常連。 Facebook, Molex や Western Digitalは初。 一貫性: 2017年トップ100社の内、38社はこのランキングが始まった7年前からトップ100にランクインしている。このような会社は、一貫してすばらしい成績を収めている。会社の例: 3M, Boeing, DuPont, Hitachi, Panasonic, Sony, […]
バーチャル特許番号表記の基本

特許番号表示(Patent marking)は大切で、表示を怠ると特許訴訟の際の損害賠償が減ってしまう可能性がある。AIAまでは物理的な特許番号表示しかできなかったが、特許法の改正で、バーチャル特許番号を表示できるようになった。今回はその基本を説明する。
これだけは知っておきたい判例集
主に2017年にあった重要な判例と今後注目すべき案件の紹介。 PTABのInstitution判断に対する上訴 CAFC大法廷において、35 U.S.C. § 315(b)におけるIPR提出期限(侵害に対するクレームがあってから1年間)が問題になったWi-Fi One LLC v. Broadcom Corp.。この事件で、CAFCは、§ 315(b)における上訴は可能と判断。今後、§ 315(b)のような、問題特許の実態的な部分に関連しないInstitution判断に対する上訴が増えると思われる。 クレームの補正 CAFCは、Aqua Prods., Inc. v. Matalにおいて、PTABによるpost-grant手続きでは、特許権者に代替クレームの特許性に関する説得義務(the burden of persuasion)を負わせないという判決を下した。これに対応して、PTABでは、クレーム補正の申し立てのガイドラインを作成し、PTABが代替クレームが35 U.S.C. § 316(d)を満たしているかについて、証拠の優越(a preponderance of the evidence)という基準で全ての証拠を考慮して判断するとした。 過去に提示さてた先行例: Unified Patents Inc. v. Berman. PTABは、申立人の無効理由3つ全てが以前、審査官に使われた先行例に依存していて、また、合わせる2つ目の先行例も特許審査期間中に使われた他の先行例と同じように使われているため、このような過去に提示さてた先行例は、PTABでは考慮されない。 Hospira, Inc. v. Genentech, Inc. 申立人は、特許で主張されている優先日を問題視。しかし、PTABは、特許審査期間中に審査官は、優先日に関わるwritten description と enablementの問題をすでに十分考慮していること、また、PTABに申立人が新たな証拠を提出したり、新たな主張を行わなかったとして、優先日に関わる事柄を考慮しなかった。 Cultec, Inc. v. Stormtech, LLC. PTABは、特許審査期間中に申立人の代理人がthird party submissionを使い提出した先行例を、再度Post […]
ITC調査のための弁護士を雇う上でのポイント
ITC調査の弁護のために弁護士を雇う場合、特別な配慮が必要です。通常の地裁における特許訴訟の弁護士とは違うものが求めれれるので、特許侵害におけるITC調査を専門に行っている弁護士を雇うのがベストです。ここでは、ITC調査のための弁護士を雇う上でのポイントを幾つかまとめてみました。 1.スピードが命: ITC調査はとにかく手続きが速く進みます。地裁では数年かかる手続きをITCでは12ヶ月以内に行なってしまいます。手続きが進むスピードが早いということは、それだけ対応するコスト(時間、お金、リソース)がかかることになります。ITCは時間との勝負と言っても過言ではないでしょう。担当弁護士・事務所がこのITCのスピードに対応できる体制が整っていることが重要です。 2.担当ALJをよく知っている: 地裁では陪審員による公判が行えますが、ITC調査では、ALJ(Administrative law judge)と呼ばれる行政法判事によって公判が行われます。地裁における陪審員による公判では、とにかく素人にもわかりやすい説明と主張が求められます。しかし、ALJは特許に関わる仕事を頻繁に行っているので、担当ALJの理解度や性格にあった説明や主張を行う必要があります。 3.証拠法がITCオリジナル: 地裁では連邦証拠法(Federal rule of evidence)が用いられますが、ITCではITC専用に変更が加えられた証拠法が用いられます。また、各ALJごとに独自のルールを設けています。ここでの違いで特に大きな点は、Discoveryの速さと適用範囲の大きさだと思います。日本サイドで、証拠法の違いの詳細を知っている必要はないと思いますが、弁護士を雇う上で、担当弁護士がITC独自のルールに精通しているか事前に確認しておくことが大切なポイントだと思います。 4.ALJはスペシャリスト: 地裁では、陪審員や特許訴訟に慣れていない地裁判事というジェネラリストが事実認証を行なったり、判決を下します。しかし。ITCではALJという特許問題を頻繁に扱うALJが担当するので、この違いを考慮して説明や主張ができる弁護士が必要です。 5.担当ALJは5人の中から選ばれる: 現在ITCには、5人のALJ(Administrative law judge)と呼ばれる行政法判事がいます。特許侵害によるITC調査が行われる場合、この5人の内の1人が担当ALJになります。各ALJは、専任の助手がいます。また、各ALJごとに、独自のルールを設けていて、性格も違うので、自社の担当弁護士が担当ALJの前で弁護した経験があり、担当ALJの性格をよく知っていることは大切なことです。ITC調査を申し立てる際、担当ALJが誰になるのかはわかりませんが、雇う弁護士が複数のALJの前でITC調査を経験していればプラスです。被告側の場合、担当ALJはわかります。 6.Staff attorneyと両力できる弁護士: Staff attorneyとは対立関係になるのではなく、手続きの早い時期から協力関係を築くことが大切です。Staff attorneyによっては、当事者との個別の協議なども積極的に受け入れているので、早期からStaff attorneyとの関係づくりを行うことが重要です。 7.国内産業要件をおろそかにしない人: ITC調査を依頼する申立人(特許権者)は、国内産業要件を満たす必要があります。この国内産業要件の証明は、ALJによっては難しい場合があります。特に申立人の場合、ITC調査の申し立てを行う前に、どのように国内産業要件を証明するか、そのための証拠としてどのようなものが必要かを相談できる弁護士が必要です。 8.ITC特有の手続きを知っている: Discoveryが進む中、公判に向けて様々な書類を提出したり、手続きを行う必要があります。ここで特に注意したいのが、公判前の弁論書(Prehearing brief)です。ALJによっては公判前の弁論書を公判前には読まないという判事もいたり、逆に、綿密に読むという判事もいるので、そこはITCの経験が豊富な担当弁護士と協議することがいいと思います。 これは、2月に行なったウェビナー「 米国特許訴訟戦略のために知っておきたい米ITC調査 」の一部です。本編では、ITCという組織の説明に始まり、地裁での特許訴訟と比較したITC調査の特徴(国内産業要件、救済方法、調査の概要)を説明した後に、最後に日本企業としてITC調査に関わった際の知っておきたいポイントを紹介しています。以下のリンクからウェビナー動画と日本語のまとめが見れるので参考にしてみてください。 まとめ作成者:野口剛史 講師:Aamir Kazi, Ben Thompson. Fish & Richardson法律事務所 http://openlegalcommunity.com/itc_patent_investigation
権利行使に消極的な日本企業(買収で変わる特許活用方針)
日立の子会社Hitachi Kokusai Electricは$2.2 billionで買収され、KKR社の傘下に入るのだが、今回そのHitachi Kokusai Electricがはじめてアメリカで特許訴訟を起こした。 日立の子会社Hitachi Kokusai Electricは、半導体製造機械を製造する会社。今回の買収で、日立からスピンオフし、グローバル投資信託の会社、KKR社の傘下に入ることになった。またこの買収では、Hitachi Kokusai Electricの数多くの特許もKKR社に移った。その買収を期にか、Hitachi Kokusai Electricは、ドイツの競合他社ASM Internationalを相手に、2017年12月にNorthern District of Californiaにおいて特許訴訟を起こした。 これは、2009年、Hitachi Kokusaiが日立グループの傘下に入ってからはじめてのことになる。 対象特許は、半導体の製造に関するもので、合計で7件の特許をHitachi Kokusaiは権利行使。一方、ASMも子会社のIPホールディングカンパニーを通してHitachi Kokusaiによる3つの特許の侵害を主張。ASMのカウンターは、訴訟が始まった日に行われたことから、Hitachi KokusaiもASMもこのような紛争に関しては十分準備していたことがわかる。 このNorthern District of Californiaにおける訴訟とは別に、Hitachi Kokusaiは、ASMを相手に2つ目の訴訟をDistrict of Oregonで起こした。対象特許を見てみると、両訴訟では、Hitachi Kokusaiの事業の要であるthin film process solutions businessに関わる特許の権利行使が行われている。この事業は、今回の買収における重要な資産になっている。 Hitachi Kokusaiは、他にもVideo and Communications Solutionsのビジネスがあり、この2つの事業に対するIPポートフォリオの価値が買収における大きな要素になったと思われる。このASMに対する特許訴訟は、Hitachi Kokusaiの知財の価値を図る上で重要な案件。 Hitachi Kokusai以外にもMaxellも、日立グループを去った後に積極的に特許の権利行使を行っている。 コメント: 「このASMに対する特許訴訟は、Hitachi Kokusaiの知財の価値を図る上で重要な案件。」とSchindler氏は言っています。個人的には、特にHitachi Kokusaiの新しいオーナーであるKKR社は、投資信託の会社なので、特許などの知的財産をメーカーとは違う価値観で見ているのかもしれないと思いました。しかし、同じ特許ポートフォリオを持っている会社でも、経営者が日本メーカーなのか、グローバル投資信託の会社なのかで、こうも特許活用方針が変わるのは非常に興味があります。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Jacob Schindler. IAM http://www.iam-media.com/blog/detail.aspx?g=d1f599f6-cba8-4f86-80a5-e96257e04401
実例から見る特許訴訟で弁護士費用を肩代わりさせるためのポイント
Sophos v. RPostの特許侵害訴訟において、Casper判事がRPostに対してSophosの一部弁護士費用を負担するように命じた。Casper判事は、RPostの訴訟における主張と行動を総合的に見て、RPostの立ち振舞は「例外的な事件」 (exceptional cases)に至るとした。 Attorney fee shifting awards (または単にAttorney feesとも呼ばれることがある) – 米国特許法に明記されている弁護士費用賠償制度 (35 U.S.C. §285.)。米国最高裁は、2014年、Highmark Inc. v. Allcare Health Management Systems, Inc., 134 S. Ct. 1744 (2014) と Octane Fitness, LLC v. ICON Health & Fitness, Inc., 134 S. Ct. 1749 (2014) において、「例外的な事件」 (exceptional cases) に対して、裁判所が敗訴した側に勝訴した側の弁護士費用を負担することを命じることができると判決。 この訴訟は、2013年、SophosがRPostの特許に対し無効と非侵害を求める宣言的判決 (declaratory judgment)を申し立てることで始まった。2017年の末、Casper判事は、略式判決(summary judgment)において、RPostの特許を無効と判断。 略式判決で勝利を収めた後、SophosはRPostに略式判決に至るまでの5ヶ月間の弁護士費用の負担を求める手続きを行う。弁護士費用賠償が認められるには、案件が「例外的な事件」 (exceptional cases) であることを証明する必要がある。 […]
統計で見るTC Heartland事件の影響
特許データ分析を行うLex Machina社が2017年の特許訴訟に関するレポートを発行。その中でも、TC Heartland事件による裁判地の変更の影響が大きく見えた。 2017年の春、最高裁はTC Heartland事件において既存の裁判地のルールに関する解釈を変更(詳しくは関連記事を参照)。この変更により、最も人気があった裁判地E.D. Texasにおける特許訴訟数がTC Heartland事件以前にくらべ50%減。一方、税金などの関係上、米国企業の法人登録が多いDelaware州では、特許訴訟数がTC Heartland事件以前にくらべ70%増。Central California, Northern California また New Jerseyにおける訴訟数も増加。 また、別の視点で見てみると、TC Heartland事件以降、全体の13%にあたる特許訴訟がEast Texasで起こされ(33%からの大幅減)、全体の23%がDelaware州で起こされ (13%からの大幅増)、残りの63%は他の管轄で起こされた (54%から増加)。13%という数字は、大きくEast Texasは重要な裁判地の1つだが、過去のような絶対的な地位にはおらず、他のDelaware, California, Chicagoや他の裁判所における特許訴訟数が上がるにつれて、East Texasが占める割合も減少していくことが今後予想される。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:R. David Donoghue. Holland & Knight LLP https://www.retailpatentlitigation.com/2018/02/lex-machina-2017-patent-litigation-study-patent-reform-at-work/#page=1
ITC調査における100日プログラムが適用されるには?
2013年からUSITC(the U.S. International Trade Commission)は、1つの問題を解決することで全ての争いが解決するのであれば、対象調査を100日で行い早期解決を目指すという100日プログラムを導入している。 2018年2月までで、7件の調査が100日プログラムの対象となり、国内産業要件(domestic industry)、輸入(importation)、特許適格性(patent-eligible subject matter under the Alice decision)、当事者適格(standing)などの問題が取り上げられてきた。 今回、microfluidic systemsに関する特許侵害が懸念されたITC調査依頼が2018年1月11日にあった。その後1月29日に、被告側が100日プログラムでこの調査を解決することをリクエスト。その理由は、問題になっている特許の発明者が被告の元従業員であり、特許の所有権は、申立人ではなく被告側にあるというものであった。つまり、権利行使されている特許の発明者、所有権、当事者適格の問題を解決することで、全ての争いが解決するというロジックである。 しかし、ITCはこの被告側の100日プログラムリクエストを却下。その理由は、明者、所有権、当事者適格の問題は複雑で、そのような問題を100日プログラムで解決するのは難しいというものだった。 ITC調査は2月14日に開始され、通常のスケジュールで進む。 教訓: ITC調査で100日プログラムを申請する場合、1)対象になる問題をできる限り狭く定義し、かつ、2)その問題の解決が全ての争いを解決することを明確に示さなければいけない。そのような説明をした後に、100日プログラムで解決できると主張すると100日プログラムが採用されやすくなるだろう。 まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:McGuireWoods LLP https://www.mcguirewoods.com/Client-Resources/Alerts/2018/2/ITC-Denies-Request-Early-100-Day-Program-Too-Complex.aspx