特許訴訟に関わる裁判地の要素: In re Cray

Court of Appeals for the Federal Circuit(略してCAFC、アメリカ連邦巡回区控訴裁判所)は、2017年、In In re Cray, Inc., No. 2017-129 (Fed. Cir. Sept. 21, 2017) において、28 U.S.C. § 1400(b)に書かれている裁判地に関わる要素の一つ「習慣的な定着したビジネスの場」(“regular and established place of business”) は、地域内にある被告人の物理的な場所(“a physical place within the district” that is the “place of the defendant” )である必要があると判決した。   裁判所は裁判地の法律に関わる要素である以下の3つの言葉を詳しく解説した:   “Physical Place”(物理的な場所)― 地域内にある被告人がビジネスを行っている物理的で地理的な場所 (“physical, geographical location in the district from which […]

多くの株式公開しているNPEが特許権利行使をやめた

2017年多くの株式公開しているNPEが特許権利行使をやめた。   例えば、Pendrell Corporation は、ContentGuard DRMキャンペーンの失敗を期に、権利行使ではなく他の方法でより安定した収入を得られるビジネスを展開していくと発表。   旧Wi-LAN Inc.は特許ライセンスを重要視するのをやめ、IoT関連事業の買収に力を入れると発表し、その後、社名を Quarterhill Inc.に変更。   Acacia Research Corporationは既存のキャンペーンに関する訴訟は継続して行っているが、新しいキャンペーンは2015年以降行っていない。   その一方、他の多くの株式公開しているNPEは投資企業のFortress Investment Group LLCからの融資契約後、金銭的に苦境にさらされている。その例が、Crossroads Systems, Inc., だ。2013年にFortressによって融資されていた特許がPTABで無効になった際に、破産を宣言。また、Inventergy Global, Inc.は750件以上におよぶ通信関連の特許に関する決定権をFortressに譲渡。Inventergy Global, Inc.が資金難になっていた時に、Fortressが融資をしていた。その後、Fortressは、Inventergyのキャンペーンを継続し、キャンペーンの第二弾を立ち上げ、提携しているVLSI Technology LLC.を通して活動している。   このように、最近の兆候では株式公開をしているNPEが活動を続けていくために、外部の資金に依存し始めていることがわかる。   まとめ作成者:野口剛史 元記事:RPX Blog http://www.rpxcorp.com/2018/01/02/2017-in-review-a-year-of-transition/

自前の特許で負けたNPEが外部から特許を取得し始めた

Uniloc Corporation Pty. Limitedというオーストラリアの通常企業だった組織がNPEとして自社で取得した特許を使って訴訟を起こしていた。しかし、2017年、Unilocは外部から取得した特許の権利行使も始めた。 その中には、HP Enterprise (HPE) から取得した13件の特許も含んでいる。また、年の後半では、IBMから取得した特許で新たなキャンペーンを開始した。   しかし、10月、長年もっとも訴訟対象になっていたUniloc 自前の特許が無効になり、Uniloc は大きな打撃を受けた。   また、USPTOの譲渡記録によると、Unilocの共同創業者Craig EtchegoyenはNokiaから3700件以上の特許を取得したWSOU Investments LLCの経営権の少なくとも一部を持っていることがわかった。 WSOU Investments LLCは訴訟は起こしていないが、通常企業のCienaに14件の特許を譲渡している。   まとめ作成者:野口剛史 元記事:RPX Blog http://www.rpxcorp.com/2018/01/02/2017-in-review-a-year-of-transition/

NPE特許事業部の売却

多くの特許を保有するNPEの中には訴訟を起こすのではなく、事業部門や子会社を売却することで利益を出すところも出てきた。ここで注目すべきNPEはIntellectual Ventures LLC (IV)だ。IVは特許の取得を抑え、特許ポートフォリオによる資産の売却に力を入れてきた。このトレンドは2016年後半から顕著になってきた。IVが売却した特許の中には、新たな特許権者が権利行使をし、訴訟が起きているものもある。   IVからDominion Harbor Enterprises と Monument Patent Holdingsへ:IVの資産売却の恩恵を受けたNPEの一つがDominion Harbor Enterprises, LLCだ。2月、Dominion は900件以上のアメリカ特許(と付属する外国特許等の資産)をIVから取得。そこからヨーロッパで、IP brokerage and consulting firm のParallel North IP ABと組み、収益化を試んでいる。また、Acacia Research Corporation; Finjan Holdings, Inc.; and Xperi Corporationなどの大きなNPEもヨーロッパ、特にドイツで権利行使に力を入れている。また、Dominionの訴訟提携があるMonument Patent Holdings, LLCはIVから取得した特許を使い4つの訴訟をおこした。   IVからEquitable IP Corporationへ:Equitable IP Corporationは、IVから入手した特許ではじめて権利行使を行なったNPEだ。Equitableが起こした18の訴訟の内、4つの訴訟にIVから取得した特許が含まれている。   IV から IP Valuation Partners へ:IP Valuation Partners (IPVal)はIVから取得した特許の権利行使に積極的で、2017年の後半に4つのキャンペーンを開始した。   IV から Leigh […]

NPEにも影響を与えるTC Heartland以降の裁判地の問題

最高裁のTC Heartlandにおける判決は、特許訴訟が行われる裁判所の分布を大きく変えた。一時期、NPEはほぼthe Eastern District of Texasのみで特許訴訟を行なっていた。しかし、TC Heartlandにおける最高裁の判決から、被告側から裁判地の変更の申し立てが相次いだ。   TC Heartland事件 ― TC Heartland LLC v. Kraft Foods Group Brands LLC において、最高裁は、特許訴訟の際には特別な裁判地(venue)に関するルール28 U.S.C. § 1400(b))が適用され、米国内企業の「居住」(resides)している地は、会社の設立地であると限定的な解釈をした。 関連記事:裁判所選びができなくなる?実は特許訴訟には裁判地を限定する特別なルールがあった 「法律の変更」は進行中の訴訟に大きな影響を与える TC Heartland速報:外国被告人が関わる場合の適切な裁判地とは? 最高裁におけるTC Heartlandの判決以降、NPEは裁判地の変更を認めざるおえなかったり、テキサス州における訴訟を取り下げ、別の地で新たに訴訟を起こす必要に迫られた。この判例によって、NEPの訴訟はテキサス州以外の地でTC Heartlandにおける判決に準じた裁判地で行われる可能性が高い。   TC Heartland事件以降、the District of DelawareがNPE訴訟に関して最も人気のある裁判地になった。2番人気は、僅差でthe Eastern District of Texas。The Central and Northern Districts of California と the Northern District of Illinoisも人気で、その管轄には多くの新興企業の本社があるLos Angeles, Silicon […]

IPRの司法審査と反則すれすれの行為

Patent Trial and Appeal Board (PTAB)は、2017年、1787件のAIA reviewに関わる申し立てを受け取る。内訳は、inter partes review (IPR) が1711件、business method reviews が34件、 post-grant reviews が42件。2016年から微増。2014年からのボリュームと同等。(元記事のグラフを参照)   2017年単独で見てみると、Q1ではIPR件数が548件だったが、Q4では344件に減っていた。(元記事のグラフを参照)。現在、最高裁は2つのIPRに係る案件が審査されている:IPRの合憲性を争っているOil States v. Greene’s Energy Services、IPRにおける判決に関わるSAS Institute Inc. v. Matal。このような最高裁によるPTAB司法審査がPTABにおける手続きの将来性に関する不安材料になっている可能性がある。このような現行の訴訟が、Q4での減少原因になっている可能性がある。   参考資料:米国最高裁の判断はいかに?口頭弁論から見える今後の特許無効審判IPRのあり方 [係争中]AIA IPR手続きの正当性が今問われている   Aqua Products事件は、IPR手続きにおける戦略に大きな影響を与える可能性がある。Aqua Products事件では、IPRの際に、補正されたクレームに対しても申立人が特許性を満たさないことを証明する義務があるという結論になった。   参考資料:注目されていたIn Re Aqua Products事件は実務に影響なし?!   この判決を受けて、特許訴訟の被告側は、特許がIPR手続きから生き残ったことを想定して特許訴訟を進めなければいけない。RPXとUSPTOのデータでは、IPR手続きにおいて、9.4%のケースに対してクレームの補正が許された。 Aqua Products の判例の影響で、2018年以降は、この数字が上がってくることが懸念される。   PTABにおける手続きからの免責特権をめぐり、特許を原住民に譲渡し、その特許をIPR手続きの対象にならないようにすることが問題なのか継続して議論されている。この件に関するPTABの判決は2018年の4月に予定されている。   同じように、(州立)大学機関はPTAB手続きの対象にならないというPTABの判決をきっかけに、大学機関と通常企業の間の対立も問題になっている。しかし、その後、地裁で大学が企業を特許訴訟で訴えたことで、修正第11条において州(州立大学も含む)に与えられた免責特権を大学は放棄したとみなされて、企業による大学保有の特許に対するIPR手続きを継続させた。このPTABの判決は、過去の判例とは異なるものなので、CAFCや最高裁に上訴され、さらなる議論が予想される。   まとめ作成者:野口剛史 元記事:RPX Blog http://www.rpxcorp.com/2018/01/02/2017-in-review-a-year-of-transition/

時系列で見たNPE案件の和解金推移

2011年のAIA以降、特許の権利行使は難しくなった。この環境の変化は、RPX社の和解金に関する調査に顕著にあらわれている。(元記事のグラフを参照)。Alice事件後、NPE関連特許訴訟の和解金の平均は$1.5Mとなり、AIA以前の$2.1Mを大きく下回った。また、中間部分 ($500K から$10M)に大きな変化があった。 通常、NPEと和解する場合、多くの企業は低額($500K以下)で和解(早期に和解すると低額になる可能性が高い)し、少数の企業は中間部分 ($500K から$10M)の間で和解するという、少額和解に極端に傾いた構図を示すことが多い。ほとんどのケースは少額で和解するが、例外としてトップ5%の場合、和解金が$10M以上になってしまう場合もある。   このような傾きは、防衛費用の減少によるものだと思われる。AIAとAlice事件以前は、特許の有効性などの判決はSummary judgement(日本語では略式判決)まで待たなくてはならず、高額なDiscoveryを行なった後でしか、有効性に関わる判決はなされなかった。。しかし、今日においては、被告側が、Alice事件を判例として用いて、特許の有効性のなさを理由に、早期に案件を取り下げる試みを行なったり、Post-grant review手続きを行い、PTABが特許の有効性を判断する間、裁判を止めるなどの対策を取ることが多い。   このような取り組みをおこない、特許の有効性を裁判を進める上での境界線にすること(つまり、特許の有効性を判断してから他の点について手続きを進めること)によって、被告側は訴訟対応費用を減らすことができる。このような状況下、訴訟の早い段階で、被告側がNPEと和解することができれば、少額で和解できるチャンスが増えてくる。   このように環境がNEPに厳しい状況になりつつあるが、さまざまなNPE組織が特許の収益化を目指して機会を伺っている。2017年、IP Edge LLCという組織は、関係のある複数のNPE組織を通じで350以上の被告人を既存、または、新しい特許訴訟に加えた。2017年、IP Edge LLCがもっとも活発なNPE組織だった。2番目は、個人発明家Leigh M. Rothschild氏。Rothschild氏は、他のNPE組織から買い上げた特許でも訴訟を起こし、訴訟を多角化した。NPEのトップ5は、Monument Patent Holdings, LLC や IP Valuation Partners LLC、SportBrain Holdings LLC、Hybrid Audio LLCなどに関連している組織が含まれている。Shipping & Transit LLC、Brian Yates (–70%)、 Empire IP LLC (–66%)などは、2016年の活動に比べて、大きくランキングを下げた。(元記事のグラフを参照)。   まとめ作成者:野口剛史 元記事:RPX Blog http://www.rpxcorp.com/2018/01/02/2017-in-review-a-year-of-transition/

2017年NPE訴訟データ

Non-practicing entity (NPE) (別名、パテント・トロール)による訴訟は、2017年も継続して減少。2011年のピークを境に毎年減少傾向。(元記事のグラフを参照)。第4四半期、NPEは521の新たな被告人を訴訟に加え、2017年トータルでみると2000の被告人が訴訟に加えられた。この数字は、去年に比べ27%減少。 通常企業は、第4四半期、344の新たな被告人を訴訟に加え、2017年トータルでみると1540の被告人が訴訟に加えられた。この数字は、去年に比べ32%減少。2004年から被告人数の平均が2250だったが、2017年はそこから大きく減少した。 NPEの活動はAIA直前レベルまで収まってきたが、2000年のはじめに比べると2倍から4倍の活動レベルにある。NPEの活動レベルの低減は、AIAにおけるPost-grant review手続きや2014年のAlice事件、2017年のTC Heartland事件、RPX, Unified Patentsなどによる特許リスクマネージメントサービスの普及が影響していると思われる。上記のような取り組みや判例は、通常企業の特許訴訟の数の減少にも貢献しているかもしれない。 Alice事件 ― ビジネス方法及びコンピュータ・ソフトウエア関連発明の特許適格性 (Patent eligibility)に関わる重要な判例。 関連記事:アメリカ特許庁の特許適格性情報アップデート Alice事件後の特許適格性の傾向がわかるツール TC Heartland事件 ― TC Heartland LLC v. Kraft Foods Group Brands LLC において、最高裁は、特許訴訟の際には特別な裁判地(venue)に関するルール28 U.S.C. § 1400(b))が適用され、米国内企業の「居住」(resides)している地は、会社の設立地であると限定的な解釈をした。 関連記事:裁判所選びができなくなる?実は特許訴訟には裁判地を限定する特別なルールがあった 「法律の変更」は進行中の訴訟に大きな影響を与える TC Heartland速報:外国被告人が関わる場合の適切な裁判地とは?   RPX Corporation − 特許リスク軽減を掲げるサービスを提供する企業。サービスには、特許リスク管理ソリューション、防衛的買収の引受の申出、引受買収(シンジケーション)、特許情報戦略(インテリジェンス)、アドバイザリー・サービスの提供などが含まれる。http://www.rpxcorp.com/ まとめ作成者:野口剛史 元記事:RPX Blog http://www.rpxcorp.com/2018/01/02/2017-in-review-a-year-of-transition/

防衛的特許集約の力

今回は、特許リスクマネージメントを行っているRPX社の記事を幾つかのポイントに分けてまとめてみました。   2017年NPE訴訟データ 時系列で見たNPE案件の和解金推移 IPRの司法審査と反則すれすれのプレー NPEにも影響を与えるTC Heartland以降の裁判地の問題 NPE特許事業部の売却 自前の特許で負けたNPEが外部から特許を取得し始めた 多くの株式公開しているNPEが特許権利行使をやめた   読者のみなさんの中には、RPX社のような防衛的特許集約(Defensive patent aggregation)をコンセプトにした組織を知らない人もいると思ったので、簡単に説明してみます。   RPX Corporationのサービスには、特許リスク管理ソリューション、防衛的買収の引受の申出、引受買収(シンジケーション)、特許情報戦略(インテリジェンス)、アドバイザリー・サービスなどがあります。RPXのような組織の目的は、NPE(パテント・トロールとも呼ばれる)組織から、顧客が訴えられるリスクを軽減することです。   NPEには様々な形が存在しますが、多くは、他社の特許を買い取って、買い取った特許を使って権利行使をします。日本企業にとって、特許の売却等はあまり身近に感じられないと思いますが、長年アメリカ特許取得数第一位のIBMは特許のライセンス・売却も積極的に行っています。また、衰退した企業(Kodak, Nokia, Nortelなど)の特許は、その企業の資産なので、企業が資産売却して特許を現金化したり、借金の担保として受け取った銀行や投資企業が大量に特許を売り出すという例も珍しくはありません。   このような形で市場に出回る特許をNPEが取得する前に、RPXのような特許リスクマネージメントを行っている組織が買い占めます。そうすることで、NPEが問題特許を入手できなくなり、RPXに加入している顧客はその問題特許に関わる訴訟を心配せず事業に集中できるという構図です。これが、防衛的特許集約をコンセプトをモデルにしたビジネスモデルです。   ホームーページを見ると、RPXは、売買の元手となる元金を集めることだけにとどまらず、特許に対する専門知識の共有や、顧客の特許買収の斡旋などのサービスも展開しているようです。また、ホームーページによると、320以上の顧客がいて、$3.5Bの訴訟・和解費用の回避、1400件以上の訴訟の取り下げの実績があるそうです。   また、RPXに似た組織は他にもあり、有名なところではUnified Patentsなどがあります。業界の競合他社が特許をプールするPatent Poolのようなコンセプトもこの防衛的特許集約に似ています。   まとめ作成者:野口剛史 情報元:RPX Corporation homepage http://www.rpxcorp.com/