特許訴訟に関わる裁判地の要素: In re Cray

Court of Appeals for the Federal Circuit(略してCAFC、アメリカ連邦巡回区控訴裁判所)は、2017年、In In re Cray, Inc., No. 2017-129 (Fed. Cir. Sept. 21, 2017) において、28 U.S.C. § 1400(b)に書かれている裁判地に関わる要素の一つ「習慣的な定着したビジネスの場」(“regular and established place of business”) は、地域内にある被告人の物理的な場所(“a physical place within the district” that is the “place of the defendant” )である必要があると判決した。

 

裁判所は裁判地の法律に関わる要素である以下の3つの言葉を詳しく解説した:

 

“Physical Place”(物理的な場所)― 地域内にある被告人がビジネスを行っている物理的で地理的な場所 (“physical, geographical location in the district from which the business of the defendant is carried out”)である必要がある。この定義によって、バーチャルな空間や電子コミュニケーションなどはこの条件を満たさないことになる。

 

“Regular” and “Established”(習慣的な定着した)― まず、習慣的な(“regular”)ビジネスの場とは、活動が一定で、均一で、整然としていて、組織的に行われている(“operates in a ‘steady, uniform, orderly, and methodical’ manner.”)ことを言うとした。その反対に、散発的な活動は、一定ではないとして否定。 次に、“Established,”という意味は、安定した、確実な、恒久的にとどまっている(“settled certainly, or fixed permanently.”)ものだとした。例として、半年に一回行われる展示会などで製品を展示しただけでは、定着したビジネスの場(“established” place of business)とはいえないが、5年間継続して存在することは「定着している」(“established.”)とした。また、裁判所は、自宅を自分の意思で変えることができるのであれば、従業員の自宅は習慣的な定着したビジネスの場(a regular and established place of business)ではないことを示唆した。

 

Place “of the Defendant”(被告人の場所)― 最後に地域内にある物理的な場所が被告人が創設したもの、または承認したもの( “establish[ed]” or “ratif[ied]”)でなければいけないとした。このビジネスの場が被告人が創設したもの、または承認したものか判断するのに、裁判所はいくつか考慮する点を示した:

 

(i) 被告人がその場を所有しているのか借りているのか、または、他の形で所有または、管理しているのか(“whether the defendant owns or leases the place, or exercises other attributes of possession or control over the place”)

 

(ii) 被告人がその地域内に住居を構えることを条件として従業員を雇っているのか(“whether the defendant conditioned employment on an employee’s continued residence in the district”)

 

(iii) 被告人が物質をその地域内の場に保有していて、その場から配布または、販売をすることができるようになっているのか(”whether the defendant “stor[es] materials at a place in the district so that they can be distributed or sold from that place”)

 

(iv) 被告人が地域内のビジネスの場を宣伝しているのか(whether the defendant markets or advertises a place of business in the district)

 

(v) 被告人のビジネスモデルが多くの従業員の自宅をビジネスの場として使うモデルなのか(whether the defendant has a business model “whereby many employees’ homes are used by the business as a place of business of the defendant.”)

 

このCray判決は、最高裁判決TC Heartland以降、常に裁判地(Venue)に関して決断を迫られる地裁により実務的なガイドラインを提供した。また、この判決により、いまだに特許訴訟のメッカである the Eastern District of Texas で訴訟を維持することが更に難しくなった。

 

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Scott W. Doyle, Jonathan R. DeFosse, Robert M. Masters and Arvind Iyengar. Fried, Frank, Harris, Shriver & Jacobson LLP

 

http://www.friedfrank.com/siteFiles/Publications/092217IPHeartlandFederalCircuitVacatesRatheonOrder.pdf.pdf

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