2017年12月版:特許庁によるIPR、PRG、CBM統計データ

PTAB設立以来の統計、IPRの申し立てが7311件で全体の92%を占める。   2018年会計年度現在(10/1/17 to 12/31/17)、電気・コンピュータ関連の案件が216件で全体の58%を占めている。   注意:USPTOの会計年度は10月1日から   Institution rateは年々下がっている。以前は87%あったのが2018年会計年度現在は59%まで下がっている。   Institution rate ― PTABが手続き(IPR、PRG、CBM)を開始する確率。IPR等の申し立てを行なっても、必ずしも承認されて手続きが開始されるとは限らない。   Institution前に和解に至るケースは、Institution後に和解になるケースよりも遥かに少ない。PTABで申し立てが承認されるか(Instituteされるか)は、和解に大きな影響を及ぼすと考えられる。     まとめ作成者:野口剛史 情報元:アメリカ特許庁   2017年12月版(最新版):https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Trial_Statistics_2017-12-31.pdf   過去の統計:https://www.uspto.gov/patents-application-process/appealing-patent-decisions/statistics/aia-trial-statistics  

登録費用は据え置き?

米国特許庁では、2018年1月16日から費用が変わった。1月16日意向は、全て新たしい(高い)費用を支払わなければいけないが、登録費用だけは、(新しい費用ができようされている、いないにかかわらず)Notice of Allowanceに書かれている金額を支払えばいい。   関連記事:新しい特許庁費用   The Patent Law Treaties Implementation Act of 2012により改定された35 USC § 151によると、出願人は、Notice of Allowanceに書かれている金額を支払えばよいとなっている。   この点については、特許庁も連邦公報を通して明記している。   つまり、Notice of Allowanceが以前の費用を明記していれば、現在の費用($1000)ではなく、以前の費用を払えばいいので、$40安くなる。また、著者が受け取った1月16日に発行されたNotice of Allowanceには新しい費用ではなく以前の費用が明記されていた。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者: Courtenay C. Brinckerhoff. Foley & Lardner LLP https://www.pharmapatentsblog.com/2018/01/18/how-much-is-that-issue-fee-payment-in-the-window  

TC Heartland速報:日本企業を含む外国被告人が関わる場合の適切な裁判地とは?

最高裁判決TC Heartland事件以降、裁判地(Venue)の問題が注目されている。特に、外国被告人が関わる場合の適切な裁判地(Venue for Foreign Defendants)に関わる問題の対処は地裁ごとに異なるようだ。   関連記事:「法律の変更」は進行中の訴訟に大きな影響を与える 裁判所選びができなくなる?TC Heartland事件で特許訴訟の被告側が有利に?   ここで1つの例を見てみよう。   Sharpは中国企業のHisense Electricとそのアメリカ子会社2社をアメリカ連邦地方裁判所のSouthern District of New Yorkで訴えた。Sharp Corp. v. Hisense Electric, Co., 17-cv-05404 (S.D.N.Y. Dec. 22, 2017)。しかし、裁判所は、判例であるTC Heartland と In re Crayから、会社が設立されたのはNew Yorkではないこと、また、New Yorkには習慣的な定着したビジネスの場(regular and established place of business)がないことを理由にアメリカ子会社2社に対してNew Yorkは適切な裁判地ではないと判断。   次に、親会社で中国企業のHisense Electricの裁判地に関してはTC Heartlandが適用されないことを認めた。海外企業に対する裁判地は、その企業に対する対人管轄権(personal jurisdiction)があればどの裁判管轄区でも適切な裁判地になりえるとした。   しかし、裁判所は、対人管轄権と裁判地に対する分析を避け、Northern District of Georgiaがより都合のいい法廷だと結論づけた。   上記の判断から28 U.S.C. § […]

二次的考察の証拠は対立する自明性の証拠に勝てない?

Court of Appeals for the Federal Circuit(略してCAFC、アメリカ連邦巡回区控訴裁判所) は、2017年、 MERCK SHARP & DOHME CORP. V. HOSPIRA, INCにおいて、先行例との差が習慣的に行われる作業に関する詳細の違いでしかない場合、対象特許は自明であるとした。   先行例に開示されていなくとも、特許の特徴が、当業者(a person with ordinary skill in the art)が習慣的に行っている実験からわかるような作業方法に関する詳細の違いの場合、その方法特許は自明であるとした。   自明性を否定するために特許権者は、商業的な成功(evidence of commercial success )や模倣品の存在(evidence of copying)などの二次的考察の証拠(Evidence of secondary considerations)を提出する場合があるが、それらの証拠は対立する自明性の証拠と比較される。つまり、二次的考察の証拠があるからといって、自動的に自明性を否定できるわけではなく、二次的考察の証拠と自明性の証拠を天秤にかけて、どちらが勝っているか比較される。   今回の訴訟で問題になった対象は、ジェネリック医薬品だ。地裁では対象医薬品は特許を侵害するとしたが、同時に、自明性により特許は無効だと判断し、CAFCでも自明性による特許無効の地裁判決を支持した。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者: Tonya Gray, Crystal Jamison Woods and Qi Zhao. Andrews Kurth Kenyon LLP http://www.cafcblog.com/evidence-secondary-considerations-not-overcome-weight-competing-evidence-obviousness/#page=1

IPR EstoppelがITCによる特許侵害調査に与える影響

米ITC委員会は、2017年、  Certain Hybrid Electric Vehicles And Components Thereof, Inv. No. 337-TA-1042, Notice (Dec. 8, 2017) において、inter partes review (IPR)手続きですでに提示した(また提示すべきであった)特許無効に関する主張は、ITCでは再度主張できないとした。   ITCによる特許侵害調査 − 通常の連邦裁判所における特許訴訟の他に、アメリカに輸入されているものについては、関税法 337 条に基づいて、特許権者は、米国国際貿易委員会(ITC)に特許侵害の提訴(調査の申し立て)ができる。ITCは、地裁との類似点はあるが、調査期間がとても短く、救済措置は排除命令(Exclusion Order)のみと大きく異なる点もあるので、注意が必要。   Inter partes review(略してIPR)— アメリカ特許庁(USPTO)の審判部(Patent Trial and Appeal Board: PTAB)における第三者が申し立てできる特許無効手続の1つ。   IPR Estoppelとは、特許法35 U.S.C. § 315(e)(2)に明記されていて、IPRの最終判決が下った場合、IPRの申立人はIPR手続きにおいてすでに提示した(また提示すべきであった)特許無効に関する主張を再度(ITCも含む)民事訴訟で主張できないというルール。   今回のITC調査は、Paice LLC と Abell Foundation, Inc.がFord Motorに対して行なった。しかし、このITC調査以前に、Fordは対象特許に対してIPRを行なっており、PTABは複数のクレームには特許性がないと判断した。その後、PTABでの判決は上訴され、Court of Appeals for the Federal […]

[係争中]AIA IPR手続きの正当性が今問われている

Leahy-Smith America Invents Act (略してAIA、日本語では米国特許法改正とも呼ばれる)で導入された inter partes review (略してIPR、当事者系レビュー) の合法性が今問われている。   Inter partes review (略してIPR) − アメリカ特許庁(USPTO)の審判部(Patent Trial and Appeal Board: PTAB)における第三者が申し立てできる特許無効手続の1つ   Oil States Energy Services, LLC v. Greene’s Energy Group, LLC, No. 16-712 (U.S. June 12, 2017)において、IPR手続きが特許権者のアメリカ憲法で保証されている2つの権利(1.憲法3条に基づく連邦裁判所で財産権に対して裁かれる権利と、2.陪審裁判を受ける権利)を侵害しているかが問われている。   この問題は米国最高裁で争われている。   最高裁は過去に3回同じようにAIAで導入された特許庁による裁判の合法性を問う請願を認めなかったので、今回、最高裁が請願を認めたのは驚き。   IPR手続きはアメリカの特許訴訟に大きな影響を及ぼすものなので、最高裁がOil States事件に対してどのような判決を下すのかが注目されている。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Frank Angileri. Brooks Kushman P.C. https://www.brookskushman.com/news/client-alerts/aia-inter-partes-review/

バーチャル特許表示を忘れない

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CAFCは、2017年、 Arctic Cat Inc. v. Bombardier Recreational Products Inc. において、特許表示(Patent Marking)の重要性を再提示した。今回問題になったArctic Catの特許は、AIA以前のものなので、このバーチャル特許表示は適用されないが、今日のAIA後の世界ではバーチャル特許表示は重要になってくる。

州レベルの商標で偽造品を取り締まる

  巧妙化してくる偽造品対策の一環として、州レベルの商標を考えてみては?多面的な対策が必要な模倣品対策の一部として、州レベルで取り締まりが行えると、地元の検察や警察の協力を得ることができる。しかし、多くの場合、州レベルでの取り締まりには、州レベルの商標が必要。   インターネットの影響で、偽造品の問題がグローバルスケールで拡大している。近年は、手段も巧妙化し、消費者には見分けがつかないケースも多々ある。   ここ数年国際的な偽造市場は拡大しており、 European Union Intellectual Property Office (EUIPO) のOrganization for Economic Co-operation and Development (OECD )では、2008年から2013年までに80%の成長があったという報告があった。また、2016年の International Criminal Court Governmental (ICC)  レポートによると、2022年までに盗難品や偽造品による被害総額は、$1.9 から $2.81 trillion までにおよぶであろうという予測がなされている。   さらに、ある研究では、オンライン上で、検索アルゴリズムやソーシャルメディアを悪用した偽造品の販売が今後も増えていくことが予想されている。   E-commerce大手アマゾンのようなサイトでも問題があり、過去にアップルがアマゾンの納入業者の1つであるMobile Starを訴えたという事例もある。   このような偽造品の損失は、ブランドを保持する企業の死活問題になりえるので、企業側は、偽造品の問題が大きくなる前に、事前に効率よく自分たちを守る方法を知っておく必要がある。   そこで有効なのが、州レベルの商標だ。州レベルの商標を行使すると、その州の警察の協力を得ることができる。   今日のオンラインにおける模倣品の取り締まりは、多面的に行う必要があり、インターネットの監視、模倣品を販売しているサイトの取り下げ訴訟、資金の流れの断ち切り、AmazonなどのE-commerceサイトとの協力、IPS(インターネットプロバイダー)との協力、税関での取り締まりなど幅広い活動に及ぶ。   そのような多面的な活動の中で、州レベルの商標も重大な役割をになう。多くの州では、模倣品を州レベルの犯罪とする法律があるが、地元の警察が動くにはその州で商標が登録されている必要がある場合が多い。   州レベルで取り締まりが行えると、忙しい連邦検察官ではなく、地元の検察や警察の協力を得ることができる。   このような取り締まりをするために、模倣品が頻繁に行き来する複数の州(多くの場合、ニューヨーク州やカルフォルニア州など)で商標を登録することがおすすめ。   模倣品の取り締まりは「予算」とのバランスなので、優先順位をつけ、模倣品を扱っている大手の業者からターゲットにするべきだが、その場合でも、状況をよく理解して最善の方法(複数の取り締まり手段)を用いて対処することが大切。   最後に、偽造者が(間違って)商標を取ってしまうと、模倣品の取り締まりが難しくなってしまう。司法や行政の協力を得るには模倣品を取り締まれる権利を明確に示さなければいけないので、重要な商標は世界レベルで監視・管理していかなければならない。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Amanda […]

[製薬限定]特許侵害訴訟における薬の認可に関わる書類の証拠価値

Court of Appeals for the Federal Circuit(略してCAFC、アメリカ連邦巡回区控訴裁判所)は、2017年、Amgen Inc. v. Apotex Inc. (Fed. Cir. 2017) において、バイオ後続品の認可に関わる書類は、特許訴訟の際に証拠として使えるが、侵害を決定づけるものではないとした。   バイオ後続品(biosimilar)— 先行しているバイオ医薬品の類似品で、臨床的に先行品と比べて安全性と効果において意味のある差がなく、先行品と互換性があるもの。Food and Drug Administration (略してFDA、 食品医薬品局)の認可が必要。   このAmgen事件では、バイオ後続品を作ったApotexが特許権者Amgenの製造特許を侵害しているかが問題になった。地裁では、Apotexの手法では対象となっているタンパク質の濃度が特許でクレームされている濃度以下だと判断し非侵害となったが、CAFCでは、地裁が薬の認可に関わる書類を適切に考慮したかが問題になった。特に、Biologics Price Competition and Innovation Act (BPCI法)で定められているバイオ後続品の開示情報(通称Patent Dance)が焦点になった。   Patent Dance − BPCI法における短縮されたバイオ後続品の認可に関わる手続きで、先行品メーカーとバイオ後続品メーカーの間で特許に関する情報を交換する一連の枠組み。42 USC Section 262   訴訟前、Patent Danceの際にApotexが開示したバイオ後続品のタンパク質濃度はクレームされている範囲を含むものだった。しかし訴訟時に、ApotexはPatent Dance時とは異なる濃度を主張し、Apotexの専門家は、Patent Danceの際にApotexが開示したバイオ後続品のタンパク質濃度は事実上間違っていたことを指摘した。   CAFCは、Patent Dance時に開示された情報の一部は提出者の容認として認められるべきであり、無視するべきでないとしたが、被告Apotexを縛るものではなく、侵害を決定づけるものではないとした。   また、CAFCは、Patent Dance時に開示した情報は証拠として考慮されるべきだが、このAmgen事件では、Apotexの専門家の証言に信頼性があったので、 その相反する証言の方が証拠としての価値があるとした。   まとめ作成者:野口剛史   元記事著者:Aron Fischer and […]