TC Heartland速報:日本企業を含む外国被告人が関わる場合の適切な裁判地とは?

最高裁判決TC Heartland事件以降、裁判地(Venue)の問題が注目されている。特に、外国被告人が関わる場合の適切な裁判地(Venue for Foreign Defendants)に関わる問題の対処は地裁ごとに異なるようだ。

 

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ここで1つの例を見てみよう。

 

Sharpは中国企業のHisense Electricとそのアメリカ子会社2社をアメリカ連邦地方裁判所のSouthern District of New Yorkで訴えた。Sharp Corp. v. Hisense Electric, Co., 17-cv-05404 (S.D.N.Y. Dec. 22, 2017)。しかし、裁判所は、判例であるTC Heartland と In re Crayから、会社が設立されたのはNew Yorkではないこと、また、New Yorkには習慣的な定着したビジネスの場(regular and established place of business)がないことを理由にアメリカ子会社2社に対してNew Yorkは適切な裁判地ではないと判断。

 

次に、親会社で中国企業のHisense Electricの裁判地に関してはTC Heartlandが適用されないことを認めた。海外企業に対する裁判地は、その企業に対する対人管轄権(personal jurisdiction)があればどの裁判管轄区でも適切な裁判地になりえるとした。

 

しかし、裁判所は、対人管轄権と裁判地に対する分析を避け、Northern District of Georgiaがより都合のいい法廷だと結論づけた。

 

上記の判断から28 U.S.C. § 1406 (for improper venue。不適切な裁判地)を理由に、裁判所はアメリカ子会社2社の裁判地を移動、28 U.S.C. § 1404 (convenience transfer。便宜上の移動)を理由に、親会社の裁判地を移動した。

 

この対処方法は、最近あったDelaware州での対処方法と異なるものだ。Delaware州のケースで、Stark判事は、原告に裁判地が適切でないアメリカ子会社を自主的に訴訟から外すこと(voluntary dismissal)を許し、外国企業である親会社を既存のDelaware州のケースにとどまらせた。

 

このように、地裁ごとに外国被告人が関わる場合の適切な裁判地(Venue for Foreign Defendants)に関わる問題の対処は異なるので注意が必要だ。

 

コメント:元記事には裁判地に関わる他のポイントについても地裁でどのような動きがあったかまとめられています。また、Fried, Frank, Harris, Shriver & Jacobson LLPでは、“Into The Heartland Resource Center”と題してTC Heartland以降の裁判地に関する様々な情報を掲載しています。参考にしてみてください。

 

 

まとめ作成者:野口剛史

 

元記事著者: Scott W. Doyle Jonathan R. DeFosse Robert M. Masters Kevin A. Ryan.Fried, Frank, Harris, Shriver & Jacobson LLP

http://www.friedfrank.com/siteFiles/Publications/01022018IPHeartlandWeeklyUpdate.pdf

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