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アメリカ知財とAI知財に関する記事

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米国政府説明責任局(GAO)の2025年4月最新報告書が明らかにしたUSPTOの特許審査の実態は、「品質よりも量」を重視する組織文化と審査官の深刻な時間的制約が特許品質に悪影響を及ぼしています。特に注目すべきは、個別の法定特許要件遵守率(92~98%)と全体遵守率(84%)の乖離であり、USPTO自身の品質測定システムに根本的な問題があることを示唆しています。GAOが提案した8つの改善提言には、パイロットプログラムの評価体制の確立や審査官の実績評価方法の見直しが含まれており、日本の特許実務家にとっても重要な実務的示唆となります。本稿では、この課題が米国特許実務にどのような影響をもたらすかを分析するとともに、情報開示明細書(IDS)の最適化や効果的な補正戦略など、高品質な特許を効率的に取得するための具体的アプローチを提案し、特許システムの品質向上がイノベーション促進と経済成長に不可欠である理由を解説します。
CAFCがIn re Thomas D. Foster, APC事件で、商標審査において出願日後に発生した証拠も考慮できるという判断を下しました。本件では「US SPACE FORCE」商標出願が米国との「虚偽の関連性」を理由に拒絶され、CAFCは米国宇宙軍が正式に設立された出願日後の事実も審査で考慮できるとし、「審査過程」の終了時期をTTABの再審査請求決定時までと定義しました。この判決は、ランハム法第2条(a)に基づく拒絶理由の立証において時間的制約がないことを確立し、政府機関や公的シンボルに関連する商標出願の戦略に重大な影響を与えています。国際的な商標ポートフォリオを管理する日本の知的財産専門家には、米国における「虚偽の関連性」の判断基準とその時間的範囲を理解することが、より効果的な出願戦略の立案に不可欠です。
米国マサチューセッツ州連邦地方裁判所が2025年4月に下したInsulet v. EOFlow事件の判決は、営業秘密保護法(DTSA)の執行力を示す画期的な事例として注目されています。インスリンパッチポンプ技術に関する営業秘密侵害訴訟において、裁判所は全世界的差止命令と特許出願譲渡命令という強力な救済措置を認め、最終的に約5,940万ドルの損害賠償を命じました。特に重要なのは、営業秘密から派生した特許出願(US 2023/0248902A1)の譲渡が命じられた点で、これは特許実務と営業秘密保護の交錯領域における重要な先例となります。本記事では、この判決が特許弁理士の実務や企業の知財戦略に与える影響を詳細に分析し、元従業員を通じた技術情報流出のリスク対策や、特許と営業秘密を組み合わせた効果的な保護戦略について考察します。
2025年1月、トランプ新政権が発令した連邦政府職員向け「対面式勤務復帰命令」により、USPTOの長年にわたるテレワーク体制が大きな転換点を迎えています。特に注目すべきは、USPTOと特許庁職員労働組合(POPA)間の深刻な労使紛争で、USPTOの管理層が2024年12月に締結されたCBAに基づくテレワーク契約を「違法で執行不能」と主張している点です。本記事では、この政策変更の詳細、82万件以上に達する未審査特許の滞貸、26.1ヶ月の総審査期間長期化予測など、特許審査への実務的影響を分析し、特許実務家がクライアントのために採るべき対応策を解説します。出願戦略の再検討、優先審査制度の戦略的活用、特許審査官とのコミュニケーション最適化など、変化する環境で特許実務家が戦略的アドバイザーとしての役割を強化するための具体的アプローチを提案します。
CAFCは2025年4月29日、PT Medisafe Technologies事件において、色彩商標の一般名称性判断に関するMilwaukeeテストを正式に採用し、業界で一般的に使用されている色彩は商標登録できないとの重要な先例を確立しました。本判決は医療用手袋の濃緑色(Pantone 3285 c)が業界内で一般的であり識別力を持たないとして登録を拒絶したもので、「一般名称(generic name)」の解釈を色彩商標にも拡大適用しました。商標実務者は、非伝統的商標の保護戦略において業界内での色彩の使用状況を慎重に調査し、識別力獲得の証明には専門家による適切な消費者調査など質の高い証拠が不可欠であることを認識すべきであり、本稿ではこの判決の詳細な分析と実務への影響を解説します。
CAFCは2025年4月23日のQualcomm v. Apple判決で、特許無効審判(IPR)における「出願人が認めた先行技術」(AAPA)の使用に関する重要な判断を下しました。本判決は35 U.S.C. § 311(b)の厳格な解釈を支持し、AAPAがIPR請求の「基礎」として使用できないことを明確にしました。特に「in combination」ルールを否定し、IPR請求者が請求書でAAPAを明示的に「基礎」として記載した場合、その請求は法的要件を満たさないと判断。この判決により特許権者には新たな防御選択肢が生まれ、IPR請求者はAAPAの扱いに細心の注意が必要となります。本記事では判決の詳細分析と、当業者の一般的知識の証拠など許容されるAAPAの使用法、さらに特許実務家が今後のIPR戦略立案で考慮すべき重要ポイントを解説します。
特許ファミリー間でのプロセキューション・ディスクレーマー適用に関する重要判決が出されました。2025年3月21日、CAFCはMaquet v. Abiomed事件において、「明確かつ明白な放棄」の厳格な基準を再確認し、地方裁判所の過度に制限的なクレーム解釈を破棄しました。親特許での審査対応が子特許に自動的に影響するわけではなく、クレームの類似性が前提条件であることが明確になりました。本判決は、特許権者の権利範囲を不当に制限しないよう警鐘を鳴らし、審査官の提案への単なる応答や沈黙がディスクレーマーを構成しないことを示しています。特許ポートフォリオ戦略の構築や訴訟での出願経過の利用方法に大きな影響を与える、特許実務家必読の判例です。
CAFCによる2025年のIn re Floyd判決は、デザイン特許と実用特許の間に存在する「優先権のパラドックス」を明らかにしました。本件では、実用特許出願の開示内容がデザイン特許の優先権基礎として不十分でありながら、同時に同じ開示が先行技術として機能するという矛盾が発生。6×5アレイ構成の冷却ブランケットに関する事案を通じて、記載要件(§112(a))と新規性(§102)の判断基準の差異を浮き彫りにし、特許実務家に重要な教訓を提供しています。本記事では、この判決の詳細な分析とともに、実用特許出願時に将来のデザイン特許出願も見据えた戦略的計画の重要性や、デザインバリエーションの事前開示、並行出願戦略など、このパラドックスを回避するための実務的対策を解説します。
2025年4月18日、CAFCが下したRecentive Analytics v. Fox Corp判決は、機械学習特許に関する画期的な先例を確立しました。CAFCは「既存の機械学習手法を新しいデータ環境に単に適用するだけでは特許適格性がない」と明示し、技術自体の改良に焦点を当てることの重要性を強調しました。本記事では、この重要判決の法的分析から、「任意の適切な機械学習技術」という表現が特許性判断に与えた影響、そして機械学習特許の出願戦略における具体的な技術的改良の明確化や実装詳細の重要性まで詳細に解説します。AI関連発明の特許取得を目指す企業や知財専門家にとって、成功確率を高めるための必須知識となる重要な判例解説です。
CAFCは2025年2月10日のKroy IP Holdings v. Groupon判決で、PTABの「証拠の優越」基準による無効判断が地方裁判所の「明確かつ説得力ある証拠」基準における未審理クレームへの禁反言効を生じさせないことを明確にしました。この判決は、PTABと地方裁判所の立証基準相違を活用し、特許権者が戦略的にクレームを分割して段階的に主張できる可能性を広げ、IPRで一部クレームが無効となっても残りのクレームで権利行使できる道を開きました。被疑侵害者はより包括的なIPR請求戦略を求められ、特許権者はポートフォリオ構築や訴訟タイミングの見直しが必要になります。本記事では、立証基準の相違に着目したこの判決の詳細と、特許実務家が再考すべき出願・権利行使戦略への影響を解説します。
2025年4月の米国第11巡回区控訴裁判所判決(Pemco v. Boeing)は、契約上の責任制限条項があっても営業秘密不正流用からの「不当利得返還請求」が可能であることを明示しました。「結果的損害」と「不当利得」は法的に異なる概念であり、責任制限条項で「結果的損害」を除外していても「不当利得」は自動的に除外されない点が重要です。本件では、競合関係にある航空機整備会社間のチーミング契約における秘密保持違反が問題となり、裁判所は契約条項の文言だけでなく当事者の意図や州法の特徴を考慮して判断しました。企業法務・知財実務担当者は協業契約において、営業秘密保護のための契約条項の精緻な起草と、契約条項が機能しなかった場合の救済手段の両方を十分に検討する必要があります。
CAFCが2025年3月4日に下した[Restem v. Jadi Cell判決](https://www.cafc.uscourts.gov/opinions-orders/23-2054.OPINION.3-4-2025_2476259.pdf)は、プロダクトバイプロセスクレームの特許性評価において「プロセス」ではなく「生成物」に焦点を当てるべきという重要原則を再確認しました。本判決は、固有先行性の立証には先行技術プロセスが「必然的に」クレームされた生成物を生じることの具体的証拠が必要であり、単に類似プロセスの開示だけでは不十分であることを明確にしました。さらに、出願過程での対応が後のクレーム解釈に重大な影響を与え得ること、明細書の明示的定義よりも出願履歴での対応が優先される可能性があることも示されています。製法限定物クレームの特許性と侵害の分析アプローチの違いを理解し、審査対応の整合性を確保することは、効果的な特許保護のために不可欠であり、本稿ではこの重要判決から導かれる実務上の教訓と戦略を詳細に解説します。