数を求めないウェビナー

またウェビナー関連で申し訳ないです。知財のウェビナーを見ていると数を求めているだけのところが多い印象があったので、今回はあえて数を求めない方が「知財」関係者にはいいのでは?という逆張りの考え方を紹介します。

ウェビナー関連ビジネスアイデア

最近の知財ウェビナーの普及に伴い、いろんなアイデアを提案しています。過去にはこんな提案をさせてもらいました。参考になったら幸いです。

知財ウェビナーの目的と「数」以外をKPIにする理由

そもそも「知財」の市場は限られています。一般的なビジネス市場よりも圧倒的に小さいし、弁理士という資格で守られている市場でもあるので、全般的に保守的な人が多いです。このような市場の中で、知財ウェビナーの目的が「一般向け」に知財を知ってもらいたいみたいな啓蒙活動であれば、「数」を追求するべきです。会社の経営層やエンジニア、スタートアップ向けの情報配信の手段の1つとしてウェビナーを開催するなら、数をKPI(key performance indicator)にするのは全く問題ありません。それが正しいKPIだと思います。

しかし、知財ウェビナーが同業者向けの専門的な内容になると、数を増やすのは極端に難しくなります。例えば、「進歩性の判断」などの実務家には重要な話題でも、技術によっても異なるので、深掘りすればするほど参加対象者が減ってきてしまいます。しかし、実務者にとって有益な情報と言うのは深掘りされた情報なので、「基本」レベルの知財の専門書やブログ記事などでわかる情報をウェビナーでしゃべっても大きな反響は期待できません。

つまり、知財関係者向けのウェビナーであれば、そもそも「数」を重要な指標として捉えることに無理が生じてきます。

ワークショップスタイルのウェビナー

そこで、今回TLCのコミュニティ内でやったウェビナーを紹介します。知財戦略について外部の講師を呼んで行ったウェビナーなのですが、参加人数は15人程度で、体験重視の形式にしました。

実際のスケジュールはこんな感じです:

  1. 注意事項の説明(5分)
  2. 講演(25分)
  3. ワークショップ(25分)
  4. まとめ・発表(5分)
  5. ネットワーキング(20分。任意)

一般的なウェビナーだと講演が50分から1時間ぐらいだと思いますが、今回はあえて、それを大胆に削って半分以下にして、その代わり、参加者が実際に学んだことを実践するために「考える」時間としてワークショップの時間を設けました。

ワークショップは簡単で、「講演で学んだことをふまえて、あなたの会社の知財戦略をどうしますか?」というお題を与えて、ZoomのBreakout rooms機能を使って少人数(3人一組)のグループを作って、そこで規定の時間の間話させるだけです。話しているだけだと何なので、「初めの1歩」を共有できるGoogle Sheetに書いてもらって、まとめ・発表の時間に参加者全体で共有しました。

ワークショップの時間帯は、講師と運営は別々のBreakout roomを巡回して必要に応じて質疑応答をします。

このようにウェビナーに参加する人を本当にトピックに関心のある人に限ることで数をあえて抑えて、より体験重視なプログラムを組むことにより、ウェビナーの付加価値を上げることができました。

実際の反響を見ても、参加者も考え・発表する時間がもてたことで満足感が上がり、講師にもちゃんと伝えたかったことが伝わったかがわかるので、とても好評でした。

ウェビナーに参加してもらうには目立たないとダメ

コロナ禍で知財ウェビナーが増えてきたので、今は知財関係者の時間の奪い合いが起きています。ウェビナーの選択幅がかなり充実してきたので、今までの当たり障りのないウェビナーだと参加数を集めるのも大変です。また、登録はしてもらったものの、実際に参加してもらえなかったということもよくあります。

そこで、あえて参加者を限定し体験重視なプログラムを組むことで、ユニークなコンテンツを作ることができ、参加者にも講師にも喜ばれる次のレベルのウェビナーが開催できます。

もちろん、このワークショップスタイルのウェビナーは以前紹介した有料化アイデアとの相性もいいし、ウェビナー後の期間限定チャットグループも実装可能です。

まとめ

ウェビナーを情報の伝達のツールとして使うだけではもったいないです。リモートワークの影響でウェビナーが普及したことはいいことですが、それと同時に時間を取り合う競争も起きてきました。そんな中注目を浴びるのは、マス向けのコンテンツを提供するのではなく、尖ったユニークな体験が得られるウェビナーだと思っています。

今回紹介したワークショップベースのウェビナーは知財関連のトピックとも相性がいいと思うので、ぜひ試してみてください。

TLCの紹介

ちなみに、このアイデアのベースになっている話題は、OLCを更に進化させた全く新しいコミュニティ型のプラットフォームTakumi Legal Communityで最初に取り上げました。

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