米国特許商標庁(USPTO)は2020年5月4日、ウェブベースの新しい知的財産(IP)マーケットプレイスプラットフォーム「Patents 4 Partnerships」を発表し、ライセンシング可能なCOVID-19パンデミックに関連する特許および公開特許出願を検索できるプラットフォームの提供を始めました。
Patents 4 Partnershipsプラットフォーム
この新しいプラットフォームは、様々なキーテクノロジーにおけるイノベーションの自主的なライセンス供与と商業化を促進し、貴重な特許情報の普及を支援します。「Patents 4 Partnerships」では、キーワード、発明者名、譲受人、発行日など、使いやすい様々な方法で情報を検索し、並べ替えることができます。特許情報はUSPTOのものですが、ライセンス情報は出願人などの当事者のサイトから提供されています。USPTOは、プラットフォームのメインページに提供されているリンクからコメントを送信するようユーザーに呼びかけており、知的財産権者には、COVID-19の危機に関連すると思われる追加技術の提出を求めています。
解説
特許庁主導のCOVID-19関連特許マーケットプレイスが始まりましたね。以前、COVID-19パンデミックと闘うために、特許と著作権を自由に利用できるようにすることを世界中の組織に呼びかける「Open COVID Pledge」を紹介しましたが、似たような取り組みだと思います。
しかし、今回のPatents 4 Partnershipsはライセンシング可能なCOVID-19パンデミックに関連する特許および公開特許出願を検索できるだけなので、USPTOが率先してライセンスのマッチングや交渉を行うものではなく、ただ「場所」を提供するだけにとどまるようです。また、ライセンスも「無料」ではなく、特許権者それぞれが独自の条件を提示しているので、個別に交渉する必要があります。
現在のところ175件のライセンス可能な特許および公開特許出願が公開されていますが、私が見た限り、政府や大学機関の研究所が所有するものが多いように思えます。
特許ライセンスの場合、株で言う中央証券取引所のような大きなマーケットプレイスが存在しないので、ライセンスしたい特許権者とライセンスを受けたい組織のマッチングがとても非効率です。しかし、COVID-19関連特許に限定されているとは言え、特許庁が主導になって、特許ライセンスのマーケットプレイスを提供し始めたのはいい動きだと思います。
これがきっかけになって、様々な分野で特許ライセンスマーケットプレイスができ、より効率よくライセンス活動ができる環境になることを望みます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: USPTO(元記事を見る)