COVID-19の終息に向けたオープンCOVID誓約

科学者と弁護士の国際的なグループで構成されるOpen COVID Coalitionは、COVID-19パンデミックと闘うために、特許と著作権を自由に利用できるようにすることを世界中の組織に呼びかける「Open COVID Pledge」を発表しました。

オープンCOVID連合の運営委員会には、スタンフォード大学法科大学院のマーク・レムリー氏やクリエイティブ・コモンズのダイアン・ピーターズ氏などの法曹界の著名人が名を連ねています。

オープンCOVID誓約の下では、COVID-19パンデミックを終わらせたい、あるいは病気の影響を最小限に抑えるために知的財産を利用したいと考える人々に、その特許と著作権を無償で提供することになっています。この誓約は、特許や著作権を利用できるようにする条件を詳細に記載したライセンスによって実施されます。

2つのステップ

Open COVID 連合は、Open COVID 誓約を希望する組織のために、2つのステップを設定しました。第一に、COVID連合は、この誓約を公にすることを企業や研究機関などの組織に求めています。これは、組織のウェブサイトにその旨を明記した公開声明を掲載することで行うことができます。また、組織は公式のプレスリリースを発行することもできます。

第二に、組織はライセンスに署名して誓約を実施する必要があります。組織は、Open COVID Pledgeウェブサイトで公開されているOpen COVIDライセンスを採用するか、同じ目的を達成する独自のライセンスを作成することができます。Open COVIDライセンスの主な規定は以下の通りです。

The Pledgor grants to every person and entity that wishes to accept it, a non-exclusive, royalty-free, worldwide, fully paid-up license (without the right to sublicense) to make, have made, use, sell, import, reproduce, adapt, translate, distribute, perform, display, modify, create derivative works of and otherwise exploit all patent, copyright and other intellectual and industrial property rights (other than trademarks and trade secrets) in products, services, compositions of matter, machines, articles of manufacture, processes, and works of authorship that we have the right to license under these terms (the “Licensed IP”), for the sole purpose of ending the “COVID-19 Pandemic” (as defined by the World Health Organization, “WHO”) and minimizing the impact of the disease, including without limitation the diagnosis, prevention, containment, and treatment of the COVID-19 Pandemic.

Open COVID Pledge

Open COVID Pledgeのウェブサイトによると、Intel Corporation、Fabricatorz Foundation、Unified PatentsがOpen COVID Pledgeを行っているとのことです。また、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学などの大学も、COVID-19と戦うために自分たちの知的財産を使わせることに同意してますが、Open COVID Pledgeとは違う独自の方法を採用しているようです。

Open COVID Pledgeについての詳細は、Open COVIDのウェブサイトでご覧いただけます。

解説

今回のような世界規模のパンダミックを一日でも早く終わらせるために、知財という参入障壁を取り払って、侵害リスクを悩まず自由な環境下で研究や開発ができる環境を整えるのが今回のOpen COVID Pledgeの前提にあると思います。

今回のような非常時に、COVID関連の特許権利行使をするのは企業イメージにも関わるので、権利行使を行う企業は少ないと思いますが、医療機器メーカーとしては、需要に供給が追いつかないので新規参集は歓迎したいという反面、コロナの問題が一段落したら、新規参入してきた企業も競合他社として相手にしないといけない可能性もあるので、正直複雑な心境だと思います。

短期的に見た場合、非常時なので、知財侵害リスクを心配しないで世界中の研究者や開発者が共に協力できる環境は素晴らしいと思います。個人的には、Open COVID Pledgeのような動きは歓迎しています。

しかし、コロナの問題が一段落した時に、医療に関する知財への考え方がどう変わっていくのかが気になっています。製薬企業にとって、新薬を開発する際の特許は膨大な研究・開発資金を回収するための重要なツールであり、医療機器メーカーにとっても特許は同じように重要です。しかし、今回のOpen COVID Pledgeなどの動きで、平時の製薬・医療器具業界で特許を軽視されるようなことにはなってほしくはありません。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Darren Franklin. Sheppard Mullin Richter & Hampton LLP  (元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

特許出願
野口 剛史

PTABが「Consisting Essentially of」の使用を理由に審査官の拒絶を覆す

先行技術や発明の特徴である組み合わせによっては”consisting essentially of”を使うことで、権利化できることがあります。効果的に”consisting essentially of”を使うには発明の特徴を明確に示したり、追加で実験データ等を提出しないといけない場合がありますが、今回の判例を参考にして、どのような場合に”consisting essentially of”を活用すべきかを学んでみてください。

Read More »
rejected-trash
再審査
野口 剛史

CBMレビュー対象特許の条件

PTAB は、Xerox Corp. v. Bytemark, Inc.において、Covered Business Method (“CBM”) レビューに対象特許の条件を明確にしました。クレーム文言に金融関連であるような明確な文言か、金融関連であるようなことを示唆するような文言が含まれていることが必要で、特許クレームが金融活動と偶発的(incidental)に関連している、または、付属するもの(complimentary)だけでは足りません。

Read More »