Intelはワイヤレス市場から脱退を決め、それに伴い8500にも及ぶワイヤレス関連特許を競売にかけていました。しかし、その情報が公開されてからわずか数週間で、競売は中断され、現在1社との独占交渉を行っています。
今回のIntelの競売は、5Gに関する特許も含む8500にも及ぶ膨大な特許が対象になっていて、2011年のNortelの倒産に伴う特許競売依頼の一大イベントとして注目が集まっていました。
このような大規模な競売では、金銭的に1社ではまかないきれないので、数社が共同でconsortiumを作り、各企業がconsortiumに出資し、consortiumが購入するなどの形態がとられることが多いですが、consortiumには参加する企業との調整や各企業の思惑や資金調達など調整が必要なので、準備が整うのに時間がかかる傾向にあります。
そんな中、わずか数週間で8500もの特許の分析を済ませ、Intelとの独占交渉権を取得できるのはAppleではないか?とIAMは予測しています。
OLCでも記事にしましたが、AppleとQualcommはiPhoneに搭載されるワイヤレスチップで衝突があり、訴訟にまで発展しました。訴訟は和解にいたりましたが、AppleはiPhoneにIntel製のチップを使うなど脱Qualcommの対策を行ってきた経緯があります。
このような背景から、AppleはIntelのワイヤレス関連特許には詳しく、Intelのスマートフォンモデムビジネスに以前から興味を持っていたようなので、この短期間で独占交渉権を取得できるのはAppleではないかという見方が強まっています。
このような大量の特許の一括購入の場合、そのための資金を集めるのが大変ですが、Appleは大量に現金をもっているので、資金面でも何も問題ありません。
Intelは競売が再開される可能性も示唆しましたが、独占交渉権を取得するためにはある程度のお金をすでにIntelに払っているはずなので、その権利を取得した組織が簡単に大量の5G技術を含むワイヤレス特許の取得チャンスを見逃すことはないだろうとIAMは見ています。
まとめ
Intelは自社製の5Gチップを販売する前にワイヤレスチップ市場から撤退することになりましたが、Intelが持っている8500ものワイヤレス技術に関する特許はAppleなどの他の企業にしたら喉から手が出るほどほしいポートフォリオです。まだ特許がどの会社の手に渡るかわかりませんが、今後も注目していきたい動向です。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Richard Lloyd, Jacob Schindler and Joff Wild. IAM (元記事を見る)