知財に関わる契約が交わされるときによく問題になるのが、知財保証(IP warranty)と知財免責(IP indemnification)です。一見似たような項目に見えますが、大きな違いがあります。また、両方共、文言の多少の違いが当事者に大きな影響を及ぼしかねないものなので、契約交渉の際には注意が必要です。

知財保証(Intellectual Property Warranties)

知財保証とは、一般的に知財保有者がライセンス・譲渡の対象になっている知財を取引の有効日前までにすべて所有・管理しているということを保証するもので、また、そのような権利は、取引の有効日後に、事業を現在行っている形で行うにあたって十分な権利であることを保証するものです。また、保証によっては、ライセンス・譲渡の対象になっている知財は、第三者の知的財産を侵害していないという保証も含まれる場合があります。では、実際に文言の違いがどのように一方の当事者に有利・不利になるのか見てみましょう。

保証者に有利な文言(Warranty Provider Favorable)

Party A represents and warrants to Party B that to Party A’s knowledge as of the effective date, the intellectual property being transferred or licensed constitutes all the intellectual property owned by Party A with respect to which and to the extent to which, and subject to the conditions under which, Party A has the right to grant or cause to be granted licenses to Party B that are necessary for the conduct of the business of the company as it is conducted as of the closing date (Party A IP), and the Party A IP does not at the time of the transaction violate or infringe any third-party intellectual property rights in the United States.

ポイント:この保証では、以下のような言葉を使って保証を限定的なものにしています(1) knowledge, (2) ownership, and (3) the extent to which Party A has the right to grant the rights.

保証を受ける側に有利な文言(Warranty Receiver Favorable)

Party A represents and warrants to Party B that the Party A IP constitutes all the intellectual property rights necessary for the conduct of the business of the company as it is conducted as of the effective date, and in the usual, regular, and ordinary course of business, and that the company has all intellectual property rights to operate its businesses in the ordinary course of business after the effective date, and the Party A IP will not infringe upon or violate any US or foreign patent or copyright, misappropriate any trade secret, or violate any third party’s intellectual property right.

知財免責(Intellectual Property Indemnifications)

続いて知財免責を見てみましょう。知財免責は、一般的に知財を譲渡(ライセンス)する側が取引に関連する知財が第三者の知財を侵害した場合、譲渡された(ライセンスを受けた)側の免責を行うというものです。では、実際に文言の違いがどのように一方の当事者に有利・不利になるのか見てみましょう。

免責者に有利な文言(Indemnitor Favorable)

Party A shall, for [a certain period of time] following the effective date, indemnify, defend, and hold harmless Party B from and against (a) any and all claims, suits, actions, proceedings, or allegations brought against Party B by a third party that any of the Party A IP is invalid; or (b) any and all Losses arising out of any inaccuracy of the representation or breach of the warranty, in each case set forth in the intellectual property warranty.

ポイント:この保証では、以下のような言葉を使って保証を限定的なものにしています (1) time, (2) ownership (because it refers back to the definition of Party A IP (which is limited), and (3) the warranty language.

免責を受ける側に有利な文言(Indemnitee Favorable)

Party A shall indemnify, defend and hold harmless Party B, its Affiliates, and their respective officers, directors, and employees (collectively, the Party B Indemnified Parties) from and against (a) any and all claims, suits, actions, proceedings, or allegations brought against the Party B Indemnified Parties by a third party that any of the Party A IP is invalid or infringes, misappropriates, or otherwise violates the intellectual property rights of a third party; or (b) any and all Losses arising out of any inaccuracy of the representation or breach of the intellectual property warranty.

IP保証とIP免責が入っているのがベスト

IP免責しか契約にない場合、IP保証も存在するのかが不透明になります。つまり、侵害時に免責することと、受ける知財が事業を行うにあたって十分かという保証は基本別問題になります。保証と免責が「同等」として扱われるのは、免責対象の知財と保証対象の知財が一致する場合のみです。(例:知的財産侵害のみの免責が行われていて、対象になっている知財が取引される知財のすべてを含まない場合、含まれていない知財に関しては、別途保証が必要になってきます。)

 

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Emily R. Lowe and Susan Milyavsky. Morgan Lewis & Bockius LLP (元記事を見る

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