A, B or C vs. A, B, or C

カンマがあるかないかで訴訟になったケースはいくつかありますが、このメイン州の法律に関する事件の判決結果は特に顕著なものだったので、知財に直接関係ありませんが今回取り上げてみました。

問題になった法律

メイン州の残業に関する法律では、以下の作業を残業の例外にしています。

“the canning, processing, preserving, freezing, drying, marketing, storing, packing for shipment or distribution of” various perishable products.

しかし、最後の”shipment or distribution”のorの前にカンマがないことから、雇用主と従業員ドライバーの間で以下のような解釈の差が生じました。

雇用主に有利な解釈:
(a) canning, (b) processing, (c) preserving, (d) freezing, (e) drying, (f) marketing, (g) storing, (h) packing for shipment, or (i) distribution of those products. (法律を広く解釈し、この解釈では製品の流通に対しても残業は適用されない)

従業員ドライバーに有利な解釈:
(a) canning, (b) processing, (c) preserving, (d) freezing, (e) drying, (f) marketing, (g) storing, or (h) packing for shipment or distribution of those products .(法律を狭く解釈し、この解釈では製品の流通に対しては例外が適用されない)

残業代が出るか出ないかの大きな問題

雇用主にとっても、従業員にとっても残業が発生するかしないかは大きな問題です。最終的にこの問題は訴訟になり、裁判所も曖昧さを認め、その曖昧さの故に、従業員に有利な解釈が適用されました。

しかし、判事は最後の”shipment or distribution”のorの前にカンマがあれば解釈は明らかに雇用主に有利な解釈になっていたということです。

教訓

今回は法律の文言が問題になりましたが、これは契約や特許、知財・法律に関連するすべての文書において起きえる「曖昧さ」の問題です。英語をネーティブレベルで理解していてもこのような問題は起こるので、契約や特許明細書などの文章においては、特に後で自社に不利になるような解釈が生まれそうな表現は避けるべきでしょう。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Eugene Volokh. Contributor, The Volokh Conspiracy(元記事を見る

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