知財オンラインサロンの可能性

遅くなってしまいましたが、知財系 もっと Advent Calendar 2020の企画として投稿します。

私は、Takumi Legal Community(TLC)という日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインサロンを運営しています。まだ始めて7ヶ月ほどのコミュニティですが、知財に特化した会員制コミュニティという特性とその可能性について話してみたいと思います。

何をしている集まりなのか?

TLCは会員制サイトなので、会員以外の人には活動の全体像が見えにくいと思います。そこで、実際に「中の活動」を紹介しつつ、具体的にどのようなことをやっているのかを紹介します。

メインのコミュニケーションはFacebookのPrivate Group機能を使っています。今日現在でメンバーは68名。内訳は、USメンバーは15人で、日本メンバーは51人(残りの2つのアカウントはデモ用のアカウント)。USメンバーは(私以外)事務所勤務の現地代理人で、日本メンバーの知財部員と事務所勤務の比率は50:50ぐらいです。

具体的には、私がアメリカ知財ブログで上げている記事を先行公開したり、他のメンバーもブログや情報配信している人もいるので、その人達も投稿してくれます。

あと、毎週Office Hourといって、週替りで入会しているUSメンバーに1対1で知財の質問ができちゃうイベントや、メンバーが主導して企画したワークショップも開催しています。

ちなみに、上の写真で紹介しているワークショップは、アメリカにおけるOA対応のワークショップで、2日間分けて行い、その間に宿題が出るという、ガチの会でした。このアイデアも、実際の案件をベースにした宿題も、企画から準備、当日の運営まで全てを有志メンバーで構成された実行委員会が行いました。

あと、コミュニティ内でとても活発に活動しているのが、英語部という部活動で、毎月定期的にUSメンバーを英語の先生として迎えて、知財のトピックを話しながら、英語のスキルをアップする活動を行っています。

会費を払う価値はあるのか?

今回紹介した活動以外にもいろいろとやっているのですが、これらの活動はすべて毎月会費を払っているメンバーさんしか参加することができません。

現在、第3期のメンバーを募集中で、その会費が月2500円。

そこで、わざわざ会費を払って入会する価値があるのかを考えてみたいと思います。

グーグル先生によると、アメリカの特許弁護士の時間レートは2015年の時点で少なくとも$300とのこと。また、都市部になると、$400~700+ということです。(今使っているアメリカ代理人のレートはみなさん知っていると思うので)これが正しいかはとりあえずおいておいて、時間レートが$300の場合、TLCのOffice Hourで15分現地代理人に個別に質問した場合の価値を考えた場合、以下のようになります。

たった15分という時間ですが、ちゃんとチャージされると$75にもなってしまいます。それを月2500円で、ちかも最大で月4回(か5回)もできちゃいます。

あとは、英語部の英会話教室は今月2回のペースでやっているので、参加すれば、十分月会費の元が取れる計算になります。

本当の価値は自身のやたい事をカタチにできる場所

このように、知財に特化した英語スキルを身に着けたり、気軽にアメリカ知財について質問したい人にとっては、会費以上の恩恵が受けられるようになっているのですが、TLCの本当の価値は、メンバー主導のプロジェクト運営だと思っています。

TLCでは、メンバーがアイデアを企画して、他のメンバーを巻き込み、そこから実際にプロジェクトを行っていくことを推奨しています。

上で紹介したOA対応ワークショップも、企画を現実にしたい有志が集まって実行委員会を形成し、みんなで話し合って、テーマやフォーマット、宿題などを決め、講師であるUSメンバーと交渉して作り上げていきました。今TLCで最も活発に活動している英語部は、運営者である私がほぼ関与しない状態で日々の活動がなされています。

このように実際にうまく回っている活動もあれは、上記のように企画段階で止まっているプロジェクトもあります。TLCの活動は全てボランティアで義務でもなければ金銭的な見返りもありません。事実「やってみたい」という自発的な行動のみで成り立っているので、新しくメンバーになる人にも活躍する場が十分あります。

例えば、やりたい企画をするために外部の講師を呼んで来ないといけないならば、TLCで「お礼」を支払うこともできます。毎月集めている会費はこのようにTLC内の活動を充実するために使うこともできるので、TLCという仕組みを使って、自分が学びたいことを、自分が教わりたい人に、自分の学びたい形で教わるということもできちゃいます。

あと、知財関係で新しい活動をしたいという人にもTLCがスポンサーとなって、毎月一定の金額を支給したり、必要なツールやノウハウ、人材を提供することも徐々にはじめました。

ここでしかできない体験をしよう

Takumi Legal Community(TLC)は、知財のことを話しながら英語スキルをアップさせたい人、

アメリカ知財について気軽に現地代理人に質問したい人にとって、価値のあるコミュニティだと思います。しかし、それ以上に自分のやりたい事をカタチにできる場であることが、知財オンラインサロンであるTLCの可能性であり、新の価値だと思っています。

セミナーやウェビナーに参加するのもいいですが、もっとアメリカの実務に関して知りたいことをUSメンバーに提案して、自分が本当に学びたいことを学んでみませんか?外部の先生を呼ぶ場合でも、ちゃんと対価を払って、講師の先生に快く教えてもらいませんか?

また、お金がかかってしまうプロジェクトでも、会費で集めたお金を使うことができます。いままでアイデアはあるけど、行動できなかったのなら、TLCに入って、それを実現してみませんか?

TLCというコミュニティは、無限大の可能性を秘めています。自分のやりたいことをカタチにしたいのであれば、ぜひコミュニティに参加してみてください。

申し込み、問い合わせは、https://takumilegal.com/ から。

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

訴訟
野口 剛史

特許の見なし通知の正しいやり方

今回は、自社の製品に特許が発行された場合に取ることのできる、最も簡単で実用的な手段の一つである「見なし通知」について話します。特に、特許侵害における損害賠償に関わるもので、インターネットを用いたバーチャルマーキングもできるようになったので、いままでよりも手間がだいぶかからなくなりました。

Read More »
特許出願
野口 剛史

特許審査履歴解説:文献の解釈の相違から審判まで行って許可になった案件(IBM)

2022年7月5日に発行されたIBMの特許です。今回は審判があり、とても長い解説になっています。審判は高額で時間もかかる手続きなので敬遠している企業も多いと思います。しかし、今回のように、1)拒絶があってもクレーム補正を行わず、2)リファレンス文献の解釈が出願人と審査官の間で大きく異るような場合は、最終拒絶後の審判は正しい判断だったのかもしれません。

Read More »