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ウェビナー「弁理士・弁護士のためのアメリカ特許法 」のまとめ

ウェビナー「弁理士・弁護士のためのアメリカ特許法 」のまとめ 今回のウェビナー「弁理士・弁護士のためのアメリカ特許法講座」は、 日本から見たアメリカ特許法のポイントと実務に特化した内容になっています。特に、日本で特許関連の業務を行っている弁理士や弁護士、社内知財スタッフを対象にした内容になっているので、今後の実務で参考にしていただけたら幸いです。 上記の録画版のウェビナーに加えて、企画から携わり通訳も行った野口の個人的な感想や考察を交えて、今回のウェビナーをまとめてみました。野口は、米国特許弁護士として企業の知的財産部で働いているので、社内の知財スタッフとしての観点からもコメントができます。ウェビナーに加えて、以下の情報も今後の実務で参考にしていただけたら幸いです。 アメリカ特許出願プロセスの全体像 動画でより詳しく アメリカ出願に関わったことのある弁理士や知財スタッフなら権利化までの流れはすでに知っていると思うので、ウェビナーではポイントだけを説明しました。 最初のチャートは、優先権主張がない場合の一般的な出願手続きです。最初の3つのステップは、1.情報を集める、2.明細書を書く、3.出願する、という流れになっています。中央の「EXAMINATION」は、審査手続きのことです。このボックスについては、詳しく別途チャートで説明します。 2番目のチャートは、外国出願に対して優先権主張をした場合の一般的な出願手続きです。最初の3つのステップは、優先権がない最初のチャートと異なるので、赤/オレンジで示されています。具体的には、1.優先権主張をする書類を入手する、2.書類を翻訳する、3.手直し後に出願する、という流れになっています。特に手直しの際に、アメリカの実務やクライアントのアメリカでの出願目的やビジネスゴールに合わせてクレーム等を調整することがあります。そのあとの手続きは、優先権主張がない場合の出願とほぼ同じです。真ん中の「EXAMINATION」は、審査手続きのことです。このボックスについては、詳しく次のチャートで説明します。 3番目のチャートは、上記2つのチャートで省略されていた審査手続きの流れです。審査手続きは、拒絶理由通知 (Non-final response)から始まります。どう拒絶理由通知に対応するかは重要な点で、最終的には出願人が対応方法を決めます。また、審査手続きにおけるインタビューの活用は有効な場合が多いとのことです。拒絶理由通知の対応については、このページの中盤で詳しく話をします。 さて、審査手続きが進むと、審査官が出願された案件に対して最終判断を行います。審査官がクレームされている発明に対して特許性を認めれば、出願人は発行費用 (Issue Fee)等を払って、特許を得ることができます。 しかし、特許性が認められない場合、次にとるアクションについて考える必要があります。具体的には、審判請求(Appeal)や継続審査請求(RCE)などの方法がありますが、この点についてはこのページの後半、最終拒絶理由通知対応 (Final Office Action Response)で詳しく話します。 ここまでがアメリカ特許システムの全体像の説明です。続きまして、審査手続きに深く関わる審査官、出願人(クライアント)、代理人ついて詳しく見ていきましょう。 審査手続きをスムーズにするために知っておきたい審査官に関する7つのポイント 動画でより詳しく ポイント1:審査官の「質」は担当者によって大きく異なる 審査官が出願された特許案件の特許性を判断するので、審査官のことを知ることは大切です。まず知ってほしいことは、アメリカの審査官は技術的なバックグラウンドを持っていますが、弁護士である場合はまれだということです。また、審査官の年齢は比較的若く、離職率も高いという背景から、審査官の「質」は担当者によって大きく異なります。 ポイント2:審査官にはランクがある 審査官にはランクがあり、経験によって、1.(Junior) Examiner、2.Primary Examiner、3.Supervisory Patent Examiner (SPE)の大きく3つから4つのランクに分類されます。 担当審査官がどのランクかによって出願戦略が変わってくることもあります。また、個人的には、できる代理人は審査官のランクや経験によって、インタビューやOA対応のアプローチを若干変えてくるのかなと思いました。 また、ウェビナーQ&Aの際にも答えましたが、担当審査官のランクは拒絶理由通知に書かれています。例えば、US7499040B2が審査中だった際の拒絶理由通知を見てみると、以下のように書かれています。 このように拒絶理由通知には、担当審査官がPrimary Examinerであることや、担当審査官のSupervisory Patent Examiner (SPE)の名前と連絡先が明記されています。 ポイント3:審査官が使える先行例文献が増えている アメリカでは2013年に特許法の大きな改正があり、その影響で適用される先行例文献が増えています。また、近年の技術進歩による先行例も重なり、以前に比べて発明を権利化するのが難しくなってきています。 ポイント4:評価されるタイミングで審査官の対応が変わるかもしれない アメリカ特許庁の半期は3月31日で、年度末は9月31日です。四半期は、3月、6月、9月、12月になります。審査官は、四半期、または、年度末で評価されるので、そのタイミングで許可を出しやすいというトレンドがあります。 ポイント5:審査官は分析できる また統計的なデーターを元に、審査官の分析・評価ができるツールもあります。 Examiner Ninja (無料) PatentAdvisor (有料) (Cost: estimate at $75-350/year/license) 例えば、上記の例の担当審査官であるJimmy H NguyenをExaminer Ninjaで検索すると以下のような結果が表示されました。 個人的な感想としては、担当審査官の特徴が理解できるので、便利なツールだと思います。しかし、個別案件でどのように対応してくるかはまた別の話なので、出願戦略を考える上で、参考程度にするのがいいと思いました。 ポイント6:審査官の苦労を理解する 審査官は、さばいた量によって評価されるポイントシステムで評価されます。限られた時間内に一定以上の案件に最終的な対応しないといけないので、つねに時間のプレッシャーがあります。また、経験を積むことによって、より多くの案件に対応しなければいけないので、審査官の評価は審査の質よりも効率性が重視されているようです。 また審査官は、同じ分野で、似たような技術に関する発明を毎日審査しているので、作業が単調になりやすく、仕事としての面白みに欠ける実務も少なくないとのことです。しかし、そのような審査官としての苦労を理解してくれる出願人・代理人が少なく、審査官として数年働き、その後に特許事務所などに転職するケースが多いそうです。 個人的には、給料や出世を考えると審査官として働くよりは、事務所などのプライベートセクターで働く方がいいので、特許庁でせっかく審査官をトレーニングしても、経験をある程度積んだ審査官は転職してしまう。経験を積んだ審査官が転職してしまうことによって、特許庁では新人を雇って、またトレーニングをしないといけない。このような悪循環が審査官の「質」が担当者によって大きく異なる原因の1つになっている気がします。 ポイント7:権利化のために出願人がやるべき10つのこと 元審査官が書いた「権利化のために出願人がやるべき10つのこと」は、参考にする価値ありとのことです。今回は、1.インタビューを行う、3.質のいい翻訳を提出する、7.アメリカと外国出願の調和を取るという3つの点について詳しく話します。参考: “Think Like an Examiner” – Coby Henry, Esq. (Patent Institute of Training CLE Presentation, 2013) 代理人がクライアントについて知っておくべき2つのポイント 動画でより詳しく 続きまして、高品質のサービスを提供するために代理人がクライアントについて知っておくべき点について説明します。 ポイント1:クライアントのビジネス・技術について 代理人として、クライアントのビジネス上の目的をよく知り、特許出願がどうその目的に貢献できるのかをつねに考え、実務をおこなうのが大前提としてあります。また、発明に関わる技術分野の専門的な知識をもっていることも重要です。さらに、出願に関わる技術がクライアントやクライアントの顧客に対してどのくらいの価値があるのかを事前に知っておくことも大切です。最後に、出願する発明に関しての開示があったか、あった場合、守秘義務契約(Non-disclosure agreement, NDA)が結ばれていたか等の事実確認も早い段階で行う必要があります。 ポイント2:クライアントの予算やその他の課題について 明細書を書くにあたって発明を理解することは大切ですが、続けて使ってもらうには以下のような点についても知っておく必要があります: 1.出願費用はどの部署(知財部か各事業部か)で予算化されて、管理されているのか? 2.どのように仕事が評価されるのか? 3.クライアントは事務所のどのような点を評価しているのか? 4.どのように外部代理人がクライアント(担当知財スタッフ)に貢献できるのか? 5.どのように社内知財スタッフが自社に貢献できるのか? 6.どのように忙しい発明者に発明提案書を書いてもらい、特許明細書の作成に協力してもらうのか? クライアント自身が知らないといけない2つのポイント 動画でより詳しく クライアント(出願人)は仕事を依頼する立場ですが、 出願した案件をより安く、早く権利化するためには、代理人との連携を強化していく必要があります。 ポイント1:代理人との役割分担 仕事を依頼する上で、自社の目的をはっきり代理人に示す、それと同時に、その目的を達成する方法は現地の代理人に任せることをおすすめします。現地の代理人の方が出願人より地元のルールをよく知っているので、手段(How)に関して現地代理人に裁量を与えることによって、 物事が円滑に進むことが多いとのことです。また、役割分担を明確にして、対応方法を代理人に任せることによって信頼が生まれるとのことです。 ポイント2:コミュニケーションのタイミング 外国出願を基準にしたアメリカ出願やOA対応などは明確な期限があるので、期限直前に仕事の依頼が来ると対応コストが高くなり、十分に対応できないリスクも出てきます。通常のコミュニケーションは、時間に余裕があるときに行ってもらうのが最良です。どの事務所でも緊急の対応はしてもらえると思いますが、どのコミュニケーションも「緊急」にならないように気をつけてください。また、代理人からの連絡も同じように期限を守るようにしてもらってください。 翻訳 動画でより詳しく 日本から海外出願をする場合、特許明細書の翻訳は必ず必要なので、翻訳は身近な話題だとおもいますが、アメリカの代理人視点でいくつかポイントを説明していきます。 翻訳の「質」の重要性 翻訳の「質」は特許の「質」に影響を及ぼします。特に、明細書内で使われている用語の的確な翻訳は重要で、過去には、用語の誤訳で権利化できなかった特許案件もあります。翻訳して出願しなければいけない日本企業にとっては、翻訳は重要な課題の1つです。ここに幾つか参考資料へのリンクを貼っておくので参考にしてみてください。参考文献: 翻訳に関する重要な5つのポイント、訴訟で先行例文献の正確な翻訳を提出したことで特許の無効化を回避したケース (Mitsubishi Chemical Corp. v. Barr Laboratories, Inc., 435 Fed.Appx. 927 (Fed. Cir. 2011) ) 上に書かれているような権利化を断念するケースや翻訳が訴訟で争われるケースはまれですが、質のいい翻訳を提出することで、審査官の混乱を防げ、それが担当代理人の時間軽減になり、コストセービングにもつながります。また訴訟の際にも 、記載不備などで特許が無効になるリスクを軽減させることができます。 翻訳の「質」を考える上で大切な5つのポイント 1.翻訳者の言語能力と対象技術に対する理解度 2.クライアント、代理人、翻訳者のあいだのコミュニケーション 3.代理人の翻訳チェック(翻訳元の言語の理解があれば更に良い) 4.翻訳の質を向上するには翻訳費用が高額である必要はなく、質を上げることで、将来の費用を抑えることができる 翻訳は明細書の作成段階から始まっている 1.用語を定義する、2.用語の一貫性を保ちながら規則的に使う、という2点は、翻訳の「質」を高める上で、明細書作成時にできる大切なポイントです。また明細書内で発明が十分に説明されていないと、記載不備等の理由で35 U.S.C.§112の拒絶理由があったり、クレームを補正する必要があるときに、できることが限られてしまうことがあったりします。個人的には、事前にどのような開示をどのくらい詳しくすればいいのか判断するのはむずかしいですが、 明細書内の開示内容に不備があったり、クレームされている発明に対する説明が不十分であったりする場合、拒絶理由通知に対応するのが難しくなるので、 アメリカ出願を見据えて明細書を作成するのが大切なポイントだと思いました。 アメリカの代理人を通して翻訳するメリット ネイティブで特許に慣れ浸しんでいるアメリカ特許弁護士・弁理士に翻訳をチェックしてもらうメリットを一度考えてみてください。ほとんどのアメリカ特許弁護士・弁理士は英語しかしゃべれません。これは一見、翻訳の「質」を考える上で大切な5つのポイントで、代理人の翻訳チェック(翻訳元の言語の理解があれば更に良い)と書いたことと矛盾するように思えますが、ここでのポイントは、1.アメリカ英語のネイティブで 2.特許に慣れ浸しんでいる現地の特許弁護士・弁理士に翻訳をチェックしてもらい、より自然な表現にしてもらうことで、審査官の混乱を避けることです。個人的には、審査官に正確に発明を理解してもらえれば、審査期間の短縮、代理人の費用軽減にもつながるので、現在の翻訳に不満がある場合は、現地の特許弁護士・弁理士に翻訳をチェックしてもらうのもいいかもしれないと思いました。 多言語に翻訳する際のアドバイス 複数の国に出願する際、英語以外の言語にも翻訳する必要がある場合があります。そのような多言語に翻訳する場合は、1つの翻訳会社を使うことによって費用を抑えつつ、質の高い翻訳が得られる場合があるので、検討してみてください。 アメリカの事務所の実態 動画でより詳しく 次にアメリカの特許事務所の種類、規模、経営モデル、費用形態などについて話します。 事務所の種類 個人的には、アメリカでは知的財産関連の業務は、日本のように技術者上がりの弁理士が行う業務というよりは、弁護士が行う業務として認識されていると感じます。 そのため事務所の種類も以下のように分類され、特に日本に比べて総合法律事務所の1つの部門で知財が扱われる形態がアメリカでは多いと思います。ちなみに、今回の講師の事務所 Taylor Englishも総合法律事務所の1つです。 1.特許弁護士・弁理士が単独で経営している個人事務所 (Solo Practitioners) 2.知財専門の事務所 (IP Boutiques/ IP Firms) 3.法律全般を行う総合法律事務所 (General Practice Firms 事務所の規模 規模は、大中小さまざまですが、全体的に事務所の規模は日本の事務所の規模よりも大きいところが多いです。 1.弁護士の数等でランク入りする大手事務所  (100人以上の弁護士・弁理士) 2.中堅事務所         (10から100人程度の弁護士・弁理士) 3.小規模な事務所 (1〜10人程度の弁護士・弁理士) どこから中堅、大手になるかはっきりした区切りはないのですが、個人的な感覚で線引きしてみました。アメリカでは、500人以上の弁護士、1000人以上の弁護士を抱える事務所もあるので、日本に比べるとスケールの違いは顕著だと思います。 事務所の経営モデル 昔から変わらない伝統的な法律事務所経営をする事務所から、新しい経営モデル(new model)で挑戦している事務所まで様々な経営モデルがあります。講師のブラッドによると、新しい経営モデルの事務所とは、「カスタマーサービス、技術・法律に対する能力、提供するサービスの幅とコストなどのバランスを考えて、顧客のニーズに合うように経営モデルを変えている事務所」のことを指します。 しかし個人的には、ウェブサイトなどの限定的な情報だけで、特定の事務所がどのような経営モデルを使っているのかを知るのは難しいと思っています。なので、詳しいことは、事務所の人間と話さないとわからない場合がほとんどですが、新しい経営モデルを推進しているところは、そこが売りの場合が多いので、事務所のウェブサイトで経営モデルを詳しく説明しているところもあります。ちなみに、個人的な見解では、講師の事務所 Taylor Englishは新しい経営モデルの部類に入る事務所だと考えています。 事務所の費用形態 最後に、事務所の費用形態について説明します。費用形態は大きく分けて1.時間制(もっとも一般的な形)と2.定額制(増えてきている)の2つに分かれます。しかし、詳しく見ていくと多彩なバリエーションがあり、クライアントと事務所の間でリスクシェアーをする形態、例えば権利化の際に事務所に報酬を与える代わりに明細書作成時の費用を抑える費用形態だったり、大口クライアントの場合、前年の成果を評価して、今年の費用を決める形態だったりと様々な費用形態が存在します。 代理人の選び方、評価方法 動画でより詳しく 代理人を選ぶ際、評価する際の基準はみなさん独自のものをもっていると思います。今回は、アメリカでの実情を踏まえて3つのポイントを紹介します。 ポイント1:経験 業界での経験とコネクション、技術的なバックグラウンドがあるか?過去に似たような発明に対して明細書を書いたり、OA対応したりしたことがあるか? 業界や技術を学ぶ姿勢を持っているか? 個人的には、このポイントは、次のポイントの仕事の質と重なるのですが、実際に業務を担当する人の経験が重要になってくると考えています。なので、事務所レベルで、「この事務所は自分たちの技術に対して経験があるか?」と見るよりも、「この弁護士・弁理士は自分たちの技術に対して経験があるか?」と見た方がいいと思いました。 ポイント2:仕事の質 講師のブラッドいわく、「高い費用は必ずしも高い質を約束するわけではない」とのことです。また、「どのようなタイプの事務所でも、高い質の仕事を提供できる」と言っていました。 一番大切なことは、誰が実際に業務を行うのか? どのような事務所に仕事を依頼しても、仕事の質は個人レベルの問題です。つまり、その担当者の能力に仕事の質は依存してしまいます。しかし、アメリカでは分業が進んでいるという実情があるので、窓口の代理人が必ずしも実際に業務を担当するわけではありません。特に大手事務所だと、シニア弁護士が窓口になるが、実際の業務はジュニア弁護士によって行われるというケースが多いようです。そのようなケースでも、仕事はシニア弁護士がチェックするので、その仕組自体が「質」に影響をおよぼすとは一概には言えません。しかし、分業が進んでいるアメリカの実情を理解して、このように窓口の弁護士が実際に業務を行うわけではないということを知っておく必要があります。 このポイントを聞いて、個人的には、案件を依頼する際に、誰が担当になるのか事前に連絡してもらうなどの対策を取ったほうがいいのかなと思いました。 ポイント3:カスタマーサービス ポイント2:仕事の質と同様、講師のブラッドいわく、「いいカスタマーサービスを受けるために、高額な費用を支払う必要はない」とのことです。 素早い返答。クライアントとの頻繁な連絡のやり取り。間違った方向に進んでしまう前にクライアントのニーズの確認。このようなカスタマーサービスが徹底されているところだったら、無駄な費用や時間を抑えることができるとのことです。 例えば、随時クライアントとコミュニケーションを取ることによって、ミスを未然に防ぎ、クライアントの目的に沿ったサービスを行う体制が整っている事務所や、大きなミスになる前に小さなミスを早急に連絡してくれる率直な事務所などはカスタマーサービスに優れている事務所だとのことです。 また、担当者といつでも連絡が取れる体制が整っている、請求書を溜めないで定期的に送ってくる等もカスタマーサービスを評価する際に重要なポイントです。 最後に、アメリカでいい代理人を選ぶためには、仕事を依頼するクライアントとして、どのような事務所を求めているか事前に知っておく必要があるとのことでした。 出願手続き実務 動画でより詳しく ここまででアメリカ出願をするにあたって知っておきたいポイントをある程度カバーできたと思います。次にこのセクションでは、出願手続きの流れに沿って、実務に関する説明をしていきます。 具体的には、最初のチャートにかかれている三番目のボックス「Amend and

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ウェビナー「トランプ政権下での移民法の行方 」のまとめ

ウェビナー「トランプ政権下での移民法の行方 」のまとめ F-1学生ビザ (動画4分51秒から) F-1学生ビザ 行く学校がStudent and Exchange Visitor Program (SEVP)認可校であることを以下のサイトから確認( https://www.ice.gov/sevis/schools) 学校にI-20を発行してもらう F-1ビザは、No Dual Intent Protectionに属するビザなので、移民する意思を示してはいけないビザ フルタイム在籍 (*例外:特別な事情) 学校内での就労可(学校事務、教授助手、図書館、コンピューター・ラボ、食堂) 学校外での就労 → OPT, CPT , Hardshipが必要 家族はF2同伴ビザ 家族は就労不可 学生の就労資格 On-Campus Employment Curricular Practical Training (CPT) Optional Practical Training (OPT) 学校内の仕事 International Students’ Officeの承認が必要 一般的な仕事: ・Graduate Assistant ・学校の事務処理、教授助手、図書館、コンピューター・ラボ、 ・食堂など学校経営に携わるような職種 ・一般企業から大学へのリサーチ依頼 Curricular Practical Training (CPT) 大学に9ヶ月以上在籍 就労内容が学位取得のための単位となる 就労内容が大学での授業の一環としてみなされる 就労内容が学位取得のコースワークとして必修である Work/Study Program、Internship、Cooperative Educationなどがある 就労前に学校のDesignated School Official(DSO)許可 注意点:CPTを12ヶ月全部使ったら、OPTを申請できなくなる Optional Practical Training (OPT) ・OPTとは何か? ・Cap Gap Extension ・STEM ーOPT 24ヶ月延長 ・H-1Bへの変更申請 ・その他ビザへの変更申請 Optional Practical Training (OPT) 学位取得プログラムにフルタイムで9ヶ月以上在籍 就労内容が専攻内容と一致していること 同時に複数企業での就職や研修が可能 申請時に就職先が決まってなくても申請可 学期中:週20時間、夏休や冬休中:40時間 最長12ヶ月 学士、修士号、博士号と学位毎に12ヶ月間申請できる CPTをフルタイムで12ヶ月間利用した場合、OPTは申請できなくなるので要注意! OPTの申請と維持 卒業90日前から卒業後60日のグレイスピリオド終了までに移民局へ申請 (Form I-765/$410) 住所変更や雇用主の変更・雇用終了情報 → 10日以内に学校に通知 SEVIS情報のUpdate 雇用を維持すること! 90日以上非雇用→ OPT無効! OPT中の海外旅行 OPT申請中は、卒業に必要な単位取得後は、 海外旅行は危険! OPTが認可されていれば、下記の書類を持参すること 1.雇用主からの雇用レター 2.International OfficeからI-20 への裏書 3.有効なF-1のビザスタンプ 4.EADカード  H-1B cap gap extension H-1B申請中にOPT有効期限失効 → OPT自動延長 → DSOにH-1B申請受領通知書を提示 → DSOはI-20にOPT延長と記載 Cap gap extension中は海外旅行は控えたほうが無難! → 実際のカードはこない 申請中のH-1Bが却下、取消または受理されなかった場合、OPT失効後60日間のグレイスピリオドの間に ・新しい学位プログラムに入学する、 ・その他の滞在資格に変更申請を行う、または、 ・国外にでる準備をする 24 months STEM-OPT extension STEM学位取得者 Science, Technology, Engineering, or Math 雇用主がE-Verify systemに登録のこと 雇用主は雇用終了時はDSOに連絡すること 個人や雇用主の住所変更を学校に連絡すること 雇用主変更・非雇用状態の連絡 この24ヶ月間は60日以上雇用がなければOPTは無効! OPT合計36ヶ月 → 非雇用期間合計150日 移民局へ申請 (Form I-765/$410) I-20 DSO裏書・I-983 研修計画書を提出 現行OPT失効前に延長申請すれば、現カード失効後も180日間は雇用を継続可 STEM 学位の例 ・Actuarial Science ・Agricultural and Horticultural Plant Breeding ・Business Statistics ・Computer Science ・Engineering ・Engineering Technologies ・Environmental Science ・Biological and Biomedical Sciences ・Mathematics and Statistics ・Military Technologies ・Physical Sciences ・Science Technologies ・Medical Scientist ・Urban Forestry 自分の学位がSTEM学位なのか、自分の大学のインターナショナルオフィースに問い合わせてSTEM Codeを確認 (雇用者向けの内容)E-Verify System 移民局とソーシャル・セキュリティー当局・共同オンラインシステム “新規”採用者のソーシャル・セキュリティー 番号照合 雇用主のI-9書類と移民局とソーシャル・セキュリティー 当局の記録と照合し、就労資格を確認 登録費用なし

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ウェビナー「研究者が知っておきたい特許の基礎知識」のまとめ

ウェビナー「研究者が知っておきたい特許の基礎知識」のまとめ 特許の基本 「特許権」という権利 特許権は無形の所有権*です。(*所有権は、一般的に有形の物に対する財産権を指しますが、説明としてのわかりやすさを重視して、無形のものに対しても所有権という用語を使用しています。) 所有権とは他者を排除する権利のことです。 有形所有権の例:不動産や車などの個人的な財産など 無形所有権の例:肖像権、プライバシーの権利など 特許権は無形のモノを所有する権利(所有権)の1つで、財産権なので他者を排除することができます。そして、その権利の適用範囲は後で説明される「クレーム」というものによって決まります。 特許の場合、他者を排除する権利でできることは明確で、他者が発明を1)作る、2)使う、3)売る、4)売ろうとする行為、5)アメリカに輸入する行為から排除することができます。 特許の例: エイズに関する薬の特許: US Patent No. 5,814,639 (新しいページでGoogle Patentのサイトに行きます) エモリー大学所有の特許で、ロイアルティ収入が$500M以上。 特許は契約 特許は発明者と政府の間の契約でもあります。 アメリカの場合、発明者と米国特許庁の契約です。 政府は、発明を一般に開示する対価として、発明者に一定期間(出願から20年間)発明に対する独占権を与えます。 特許が必要な理由 発明を生み出すのに金銭的な動機を与えてくれる(例:エモリー大学が所有するロイアルティ収入が$500M以上ある特許)。 独占権が得られるので、発明を一般に公開する動機を与えてくれる。 特許がなければ、発明を公開するメリットがなく、発明者は発明を秘密にしたままにしてしまう。そうなると、社会で発明の恩恵を受けづらくなるので、社会の発展に対してよくない。 特許の概念は、アメリカの憲法にも明記されていて、とても重要な権利の一つです。 トレードシークレット 特許と対照的な権利で、トレードシークレットという権利があります。 トレードシークレットは、役立つ、価値のある、合理的な機密が保たれた情報に与えられる権利です。トレードシークレットで守れる情報は幅広く、リスト、デザイン、顧客データ−なども含まれます。 トレードシークレットは、情報が秘密である限り保護されます。しかし、機密性の保持には、「合理的な努力がなされている」必要があるため、従業員に秘密契約をするだけでは不十分で、情報を保管している場所にカギやパスワードをかけるなどのある程度の機密を保持するための努力が必要になります。しかし、コカ・コーラがコーラの配合に関するトレードシークレットの機密を守るために行っている24時間の監視や警備員を随時配置するなどの厳重なセキュリティーは必要ではありません。 トレードシークレットと特許の比較 トレードシークレットの特徴 トレードシークレットは幅広いものが保護されます。技術意外にリスト、デザイン、顧客データ−なども含まれます。 トレードシークレットの場合、秘密にしておくだけで認められる権利なので、比較的簡単に権利が成り立ちます。 また、トレードシークレットは、理論上、永久的に権利を維持することができます。 特許の特徴 特許の場合、保護できるものは、「発明」に限られます。更に発明でも、特許にできる発明は、新しく、役に立って、後で説明する非自明性があることが必要です。 特許の有効期限は、出願から20年間。 トレードシークレットが望ましい場合: 特許にするには時間がかかるので、発明の賞味期限が短い場合 特許性がない、医療検査など特許での保護がむずかしい場合 リバーズエンジニアが難しい、時間がかかる、または、高い費用がかかる場合 費用は秘密の保持にかかる費用だけなので、権利を守るためにあまり費用をかけられない場合 権利行使の違い: 特許の場合、「無実」の権利侵害者に対して権利行使ができます。特許の侵害には、侵害者本人が特許の存在を知っている必要はありません。なので、侵害者が特許を知らない「無実」の侵害者でも、賠償金の請求や、侵害行為をやめさせる差し押さえなどができます。 その反対に、トレードシークレットの場合、権利侵害を証明するには、侵害者の「不誠実な意図」を証明する必要があります。これは証明するのがなかなか難しいのですが、侵害者がトレードシークレットを盗んだなどの証拠が必要になります。つまり、他者がリバーズエンジニアや権利者の不注意による開示などの合理的な方法によってトレードシークレットで守られている情報を入手した場合、権利行使ができません。 大学環境下での特許 大学・研究施設は発明を生み出すのにとても優れた場所です。 しかし、発明を商業化するのにふさわしい場所ではありません。 会社の方が投資、新製品や新しいサービスを市場に持っていく、新しい市場を作る、事業を作るのに適しています。 発明を商業化する場合、大学・研究施設から会社に発明を「移転する」役目をはたすのが大学・研究施設のTech Transfer Officeです 大学・研究施設が会社に発明を「移転する」場合、特許のライセンスを行う場合がほとんどですが、ライセンスをする場合、大学・研究施設が発明・特許を所有している必要があります。これは、公的なお金が使われて研究が行われる場合でも同じです。 そのためにも、各大学・研究施設は知的財産に対する方針を持っています。方針は組織で様々ですが、知的財産の所有権、どう知的財産を評価、保護、運営するのか、第三者機関との共同研究に関する取り決め、発明者への報酬などにおよびます。 特許権 アメリカでは一般的に、発明者としての資格を満たすと発明者に特許権が自動的に与えられます。 しかし、以下の条件によって特許権の行き先は変わってきます: 国別の特許法 研究に関わる契約の義務 雇用体系や研究への関わり方(例:教授、ポスドク、学部生、客員研究員、外部協力者として関わった場合、特許権の行き先が変わる場合がある どこで発明が生み出されたか 出資先、大学の施設が使われたかなど 共同特許権者 発明の特許権で問題になることが多いのが、共同特許権者の存在です。アメリカの場合、同じ発明に対して複数の特許権者がいる場合、「各所有者は分割できない平等な一部の特許権を発明全体に対して持っている」ということになります。 この表現はわかりづらいので、具体的に説明します。各共同特許権者は、個人の判断で特許化された発明を作ったり、使ったり、売ったりできる。さらに、そのような行為は、他の共同特許権者の同意無しでおこなえて、利益があっても他の共同特許権者と配分しなくてもいいということです。このような状態になってしまうと、特許の権利がコントロールできず、特許の価値が下がってしまいます。 発明者としての資格 発明を産み出すには3つのステージがあります: 発明の着想 具体化するための活動 発明の具体化 発明の着想 発明者としての資格を満たすためには、発明の着想に貢献しなければいけません。発明の着想には2つのパートがあり、1)最終的に望まれる結果の認識と2)その結果を達成する方法の開発の両方を満たす必要があります。 着想は得るべき結果(曲がる液晶、大容量で軽いバッテリーなど)のみ思いつくだけではなく、その結果が得られる手段を見出す必要があります。 化学物質の場合、着想は、1)構造の特定と2)どう特定の構造を合成するかの両方が必要とされる。 また、発明者としての資格は特許のクレームによって決まります。なので、特許の複数のクレームの発明者になる場合もあるし、たった1つのクレームの発明者になることもあります。 発明の具体化 発明を具体化しただけだと、発明者にはなれませんが、発明を産み出すには、発明の具体化というステージが必要になります。 実際に具体化する:試作品を作る、実験をするなど実際に発明したモノを作ること、 または、 解釈上で具体化する:頭の中で考えて、発明をどうやって作り、使っていくかを説明する特許出願を提出する。 共同発明者 発明は複数の人によって共同で産み出される場合があり、その場合、共同発明者が存在します。 共同発明者になるには、1)物理的に一緒に働く必要はない、2)同じ時に働く必要もない、3)同じ種類、同量の貢献をする必要もない、4)特許に書かれている全てのクレームに貢献する必要もない。 「発明者が誰か?」という問題は後になって起こる可能性がある。その時に発明者としての条件を満たしているという証拠を提出できるようにするために研究活動を記録しておくことが大切です。また、ただ記録するだけではなく、事前に発明に関わっていない同僚や他の研究者に研究活動の記録を確認してもらい、サインと日付を書いてもらうという証拠付をする作業が大切になってくる。 発明者ではない人 求める結果に対するアイデアを提案するだけの人 発明者の指示の元、一般的な試験をした人 論文の著作者と特許の発明者は必ずしも同じわけではない 協力者は必ずしも発明者ではない 共同研究 共同研究は一般的ですが、共同研究は特許などの知的財産の発明者と所有者を曖昧にする要因にもなります。 契約がない場合、共同研究者が、特許の共同発明者、共同特許権者になる可能性が出てきます。そうなると、共同特許権者は他の共同特許権者の合意なしにライセンス等が出来てしまうので、後々に特許権などで問題になる場合があります。 そのような問題を回避するためにも、共同研究は契約の元に行われるべきです。その契約は、最低限以下の点に対して取り決めをしておく必要があります: 1)誰が共同研究から産み出される知的財産を所有するのか 2)誰が知的財産を守るのか 3)発明を開示しないようにする機密義務(発明を特許として守るため) 4)問題が起きた時にどのように解決するか 特許性 Utility特許(デザインや植物特許ではない一般的な特許) 新しく、非自明性があり、役に立つ、製造過程、機械、製造品、または、製造物が特許になります。 特許を取得する一連の流れ 特許性の調査(Patentability Search)はオプションだが、調査をしたほうが特許性を早期に判断できる。 特許出願の明細書の作成、出願等は、弁理士、特許弁護士が代理する。 出願後、18ヶ月で特許出願は公開される。 審査期間中は、拒絶理由通知(Office Action)があるので、出願したら必ずしも特許になるというわけではなく、クレームも変わる可能性がある。 出願から特許の交付まで平均3年かかる。 特許交付後に、定期的に維持費を支払う必要がある。 外国出願 特許は国ごとに認められる権利なので、他の国で特許を得るためにはその国で出願することが必要です。 ほとんどの大学、研究機関では、最初に仮出願をして、12ヶ月以内に本出願をアメリカやその他の国に行う(12ヶ月ラインの上2つ)、または、特許協力条約(PCT)出願を行う(12ヶ月ラインの一番下)。 PCT出願の場合、PCT出願から30ヶ月・31ヶ月目の間に審査官による特許調査をしてもらい、その後、権利化したい国に出願をする。 PCT出願の場合、特許調査を考慮してから各国に出願できるので、各国に出願する時に生じる弁護士費用、翻訳費用や手間などが発生する前に特許性の判断ができる。そのため、複数の国に出願予定の発明は、PCT出願をすることで、費用発生を遅らせることができ、その結果、効率的に国際的な出願、権利化ができる。 外国出願許可証 アメリカで産み出された発明は、外国出願許可証なしで、外国に出願することはできません。また、アメリカで産み出された発明に関するデータ自体を外国に送ることはできません。 アメリカで出願した場合、外国出願許可証は数ヶ月から6ヶ月以内に送られてくる。もし6ヶ月以内に外国出願許可証が送られてこなかった場合、外国出願許可証は自動的に与えられたとみなされます。 何らかの事情で、アメリカで産み出された発明を外国(日本など)で最初に出願する場合、アメリカの特許庁に外国出願許可証を発行してもらうよう申し込みができる。 外国出願許可証なしで外国出願をした場合、アメリカの特許が無効になるという重い罰が与えられてしまうので注意が必要です。 新規性 特許が成立するためは発明に新規性ある必要があります。 新規性とは、発明が新しいものかという比較的シンプルなもの。 上の例のように、クレーム1で書かれている条件が、AとBから成り立つ装置となっていて、先行技術がAとBから成り立つ装置を開示していたら、クレーム1で書かれている内容に新規性がないということになります。 しかし、クレーム2にはAとBとCから成り立つ装置となっているので、追加の構成要件Cは先行技術に開示されていないので、クレーム2には新規性があるということになります。 最後に、クレーム3はAから成り立つ装置となっていますが、 先行技術でAに関する開示があるので、クレーム1と同様、クレーム3には新規性がないということになります。 先行技術(重要) ここは研究者、発明者として重要なところなので、十分気をつけて下さい。 特許の出願日の前に一般に公開されているものは、たとえ発明者自身が作ったり、書いたりしたものでも、先行技術になってしまいます。 先行技術の例: ジャーナル等での発表 プレゼンテーション 販売 販売のための申し出 使用 研究者、研究所のウェブサイトでの発表 セミナー等での発表の概要 公的資金が提供されたプロジェクト 論文 特許 重要なことは、特許を出願する前に、発明を一般に公開しないこと。発明者自身が一般に公開した情報が原因で、特許の権利を失ってしまうことが大変多いので、注意が必要です。 非自明性 非自明性は、新規性に似ていますが、新規性のように1つの先行技術例によって全ての構成要件が開示されているのではなく、複数の文献を組み合わせるによって発明に特許性があるのか判断するものです。これは、日本の特許法の進歩性の要件に相当します。 非自明性の主張は、技術的な主張でもありながら法律的な解釈も含むグレーゾーンになってくるので、 拒絶理由通知に対応する際に非自明性を主張しなければならない場合、担当弁理士、特許弁護士とよく相談して対応する必要があります。 先行技術ではAを開示している文献とBを開示している文献があるとします。 先行技術はAとBを合わせるという記述はないのですが、審査官はクレーム1のようにAとBを含む装置はAを開示している先行技術文献とBを開示している先行技術文献から自明であるという拒絶理由通知を出してくる場合があります。 クレーム2の場合は、構成要件Cの開示は先行技術にはなく、AとBとCを合わせるという開示も先行技術にはないのですが、技術分野によっては、クレーム1と同様にAを開示している先行技術文献とBを開示している先行技術文献からクレーム2は自明であるという拒絶理由通知を出してくる場合があります。 クレーム3は、Aを含む装置となっているので、非自明性の前に、新規性を満たしてないクレームになります。 非自明性の判断基準 特許の審査中に、審査官が特定のクレームは非自明ではないと拒絶理由を出した場合、以下のような4つの要因によって、非自明性を判断しています。 同業者のレベル。特許法において、当業者(a person skilled in the art、a person having ordinary skill in the art)とは、発明が属する技術分野の通常の知識を有する架空の人物を言います。例えば、Ph.D.を持っている人なのか、学位をもっている人なのかで非自明性が異なってくる。 先行技術例の内容と範囲。先行技術例が何を開示しているのか、組み合わせを提案しているのか、その逆なのか。 クレームされた発明と先行技術例の違い。技術分野の違い、適用環境の違い、プロセスの違いなど。 二次的考察 商業的な成功、他者の適応(論文の引用) 長年に渡る解決されてない必要性 他者の失敗 予期してない結果(他の研究者の否定的なコメント) 最初の3つは担当弁理士・特許弁護士が拒絶理由通知の対応の際に、主張する法律的な点ですが、最後の4つ目は、特に発明者が貢献できる点です。発明に関して、二次的考察に該当するような事例があったら、早い段階で担当弁理士・特許弁護士に知らせて下さい。 利害関係の衝突 利害関係の衝突は、経済的、個人的、専門家としての見返りが大学や研究機関に対する責務を果たすときに対立してしまうときに起こります。 例えば、利害関係の衝突は、研究者が関わった大学所有の知財を会社にライセンスするときに、その研究者が1)ライセンス先の会社に投資していたり、2)会社の取締役として働いていたり、3)会社の顧問になっていたりすると起こります。 利害関係の衝突は自分の利益と大学や研究機関に対する責務が対立するときに起こるので、新しいプロジェクトや研究に関わる際には、事前に対立が起こりそうかチェックするといいでしょう。 利害関係の衝突が起こるのは仕方ないのですが、大学・研究機関にある利害関係の衝突を管理する専門の部署に事前に問い合わせて対策を行うのが有効です。 研究者が大学・研究機関で自分が発明したものを元に会社を始める場合、以下の項目を考慮した経営計画が必要です: 研究者の時間(大学での教育の時間をどうするのか) 研究者の生徒への影響(卒業を遅らせていないか、会社のための研究をやらせていないか) 資源をどう使っていくか(試薬、設備) 大学・研究機関への開示義務(発明などを大学・研究機関に開示する義務) 論文発表などへの期待(大学・研究機関が期待している研究発表) 利害関係の衝突自体は問題ではなく、それをどう管理していくかが重要になります。もし利害関係の衝突が起こりそう、または、起こっている場合、迅速に大学・研究機関にある利害関係の衝突を管理する専門の部署に事前に問い合わせて対策を行いましょう。 質問の時間に話された話題 ラボノートブックについて 検査が特許になりづらい理由 海外の研究機関とのコラボレーションと特許出願の関係 アメリカ出願にかかる費用(出願費用、弁護士費用 )とPCT出願費用 大学の知的財産ポリシーの有効性と研究者との契約の有無について 既存の特許に似た発明をした場合、どれだけ違えば特許になるのか アメリカの特許と国際的な特許の違い。(注意:PCT出願や外国出願は国際出願と呼ばれることもありますが、最終的な特許は国ごとに権利が認められるものなので、国際特許というものはありません。) 大学で特許出願をするための費用はどこから出るのか

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誰でもわかるPACERとEDISの使い方

Open Legal Webinar シリーズ 誰でもわかるPACERとEDISの使い方 2018年5月開催​ https://youtu.be/cU7UHeZvSm0 特許訴訟とITC調査は自分で調べることができること、知ってましたか? 連邦裁判所で行われている特許訴訟はPACERというツールで、また、USITCによる337条調査は、EDISというツールで調べることができます。今回は、PACERとEDISの使い方について、実際にPACERとEDISを使いながら解説していきます。 PACERとEDISとは何か? アカウントを作る ケースを実際に調べる PACER/EDISでできること・できないこと 詳しいまとめを読む ウェビナーのまとめ はじめに PACERとEDISとはどんなものか? 簡単に言うと、訴訟監視ツールです。 PACERは連邦裁判所のため。特許訴訟だと連邦地裁で行われている訴訟やCAFCに上訴されたケースをモニターするために使えます。 EDISはITC調査ため。特許侵害調査を行う337条調査のモニターに使えます。   使用用途 一番の使用用途は、自社が訴訟に巻き込まれた際の訴訟のモニターリングだと思います。私もこの用途がほとんどです。 次に、競合他社の訴訟を監視して、内部情報を知る。つまり、Competitive intelligenceの情報源に使うということです。公開される情報のみですが、合法的に競合他社の情報を知ることができます。   なぜPACERとEDISを使えた方がいいのか? 現地のアメリカ代理人に依頼しなくても裁判で提出された書類等が入手できるので、コストセービングになります。また、オンラインでいつでも調査、資料の入手ができるので、時間も節約でき、自分一人で気軽に使えるツールです。   登録方法 PACERとEDISは両方共登録制なので、登録方法を教えます。 これは動画を見たほうが早いと思うので、動画で登録方法を確認してください。(XX分からPACER、XX分からEDISの登録方法を解説しています。)       注意点:PACERは、使用頻度により少額の支払いが発生するので、登録時にクレジットカードの情報を記入する必要があります。(クレジットカードは必須ではないのですが、クレジットカードで登録するのが一番スムーズです。) 料金例: 検索に$0.10、入手する資料のページ数ごとに$0.10ですが、書類のメージが多い場合でも最大で$3.00までしか請求されません。また、四半期で$15を超えなければその期間の支払いは免除されます。 ちなみに、EDISは無料で登録・使用できるので、クレジットカードの情報は必要ありません。   余談ですが、今回使ったクレジットカード情報はバーチャルクレジットカードというもので、アメリカの個人銀行口座を持っていれば、XXXというサイトで簡単に作ることができます。一回だけ使用できたり、利用金額に限度を付けたりと便利です。今回は、限度金額$1、一回使用のみで作りました。無料です。 あと、パスワード管理には1password(XXX)というソフトを使っています。1つのマスターパスワードだけ覚えていれば、他のログイン関連情報をすべて管理してくれます。また、パスワードも自動作成してくれるので、大変便利なツールです。年間費がかかります。   実際に使用してみる PACERの使用例はXXから PACERの場合、まず目的の訴訟を特定する必要があります。検索はPacer Case Searchで行います。 すでに訴訟のCase #を知っていれば、簡単に検索できます。Case #を知らない場合は、まずは当事者の会社名をTitleのところに入れて検索。特許訴訟だけに絞る場合は、Civilにしてその後にPatentを選択。   検索して案件がヒットすると以下のようなリストが表示されます。 訴訟が始まった日付や当事者の名前、裁判地で特定の案件を特定します。そのときに表示されているCase #がその訴訟に割り振られた番号です。この番号を知っておくと後で検索したりするときに重宝します。   案件が特定できたら、このような画面になります。 次に、実際に提出された書類や判決資料を見たい場合、XXをクリックして、検索。   そうすると、このような画面が見えて、後半の方に、Docket listが表示されます。そこで、興味のある書類を探して、番号をクリックすると書類の情報と費用がわかり、クリックするとPDFで書類が見れます。 Docketリストだけでは、重要な書類を見つけるのは難しいのですが、Claim constructionやOrder、Summary judgementなどのキーワード検索をしたり、あとはExhibitsが多いものは大きなMotionの場合が多いので、そのようなエントリーをクリックして、書類の中身を確認するのも効果的だと思います。 書類は見れるのですが、今回登録したアカウントで見れる情報というのは公開版のみで、秘密保持命令されている情報は見れません。   EDISによる調査はXXから こちらでも事前に調査したい案件の詳細は知っていると仮定します。その情報を用いて検索する場合、Investigation numberを知らない場合、Investigation typeを特許侵害調査が含まれる(Section 337)やITC調査を依頼した特許権者の会社名をon behalfに入れて検索。   そうすると案件がヒットします。Investigationが複数ある場合、Inv Title等を確認して案件を特定します。特定したら、Inv. Numberをコピーして再度検索すると、リストが該当するInv. Numberのみのエントリーになります。   リストは、特定のInvestigationのDocket listで、新しいものから順にリスト化されています。PDFのアイコンをクリックすると、書類が見れます。複数の書類が添付されている場合、クリップのアイコンをクリックすると、一覧が見れ、みたい書類のPDFが閲覧できます。   しかし、リストの中にはPDFのアイコンがついてないものがありますが、それは秘密保持命令がかかっているので、書類は見れません。また、見れる書類でも文章が一部削除されているものもあります。   PACERとEDISの良いところ・悪いところ 一番の利点は、無料(または低額)で係争中の訴訟が監視できることだと思います。調査したいcase #やInvestigation #を知っていれば、便利で気軽に使えるツールです。   その半面、慣れが必要な部分もあり、操作方法が分かりづらかったり、重要書類を見つけるのに時間がかかることもあります。また、秘密保持命令によりほしい情報が見れなかったり、見れる書類でも文章が一部削除されているものもあります。また、訴訟で何か動きがあったときに自動で情報を知らせてくれる自動配信機能などもありません。   有料ツールのDocket NavigatorとかLex Machina等は、自動配信機能があったり、その他訴訟案件の分析もでき、多くの訴訟を監視する必要がある場合はこのようなツールを使って効率よく情報収取をするのがいいでしょう。   あと、Webinarの最中はサイトがダウンしていましたが、USPTOのPTABもPACERやEDISと似たような機能があります。特許庁でのIPRを代表とするAIA review手続きに関しても各案件の検索や実際に提出された書類や判決文等(公開版のみ)も入手できます。この検索機能は無料で、登録なしで使えます。     まとめ 今回のウェビナーは、気軽に使える訴訟監視ツールPACERとEDISの使い方を知ることで、自分で知りたい係争中の訴訟案件を検索し、実際に裁判所に提出された書類(公開版のみ)を入手する方法を学んでもらって、今後、そのような必要が出てきたときに、現地の代理人に問い合わせしなくても、簡単にスマートに必要な情報を手に入れられるようにと思いました。   質問 質問1:日本からでもメールアドレスとクレジットカードで登録できるのか? 回答:できると思います。クレジットカードもアメリカのものである必要はないと思います。   質問2:野口さんの経験上、会社ではどのような使い方が多いのか? 回答:一番よく使う方法は、自社が訴訟に巻き込まれたときに、訴訟をモニターリングすることです。当然、代理人からも連絡があるのですが、自分で気軽にいつでも訴訟の状況を確認できるのが強みだと思います。   質問3:日本の弁護士・弁理士はどうやって使ったらいいのか? 回答:自社訴訟のモニターや競合他社の訴訟のモニターが中心になると思います。大量の訴訟をモニターする場合、PACERやEDISではなく、ここで紹介したような有料ツールを使うことをおすすめします。また、Lex Machinaなどは、弁護士を評価するような機能もあるので、弁護士を選ぶときに参考にするのもいいかもしれません。   質問4:個別の訴訟案件ではなく、知財関連の重要な判例を知る方法はありますか? 回答:業界や技術分野でも違ってくるので一概には言えませんが、Patently Oとか、Patent Wachdogなどの知財関連で重要な判例を解説しているサイトは多数あります。また、特定分野に特化したブログもあります。自分なりに独自の情報源を確立していくのがいいと思いますが、Open Legal Communityで発行しているニュースレター等も参考にしていただけると嬉しいです。

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