Open Legal Webinar シリーズ

誰でもわかるPACERとEDISの使い方

特許訴訟とITC調査は自分で調べることができること、知ってましたか?

連邦裁判所で行われている特許訴訟はPACERというツールで、また、USITCによる337条調査は、EDISというツールで調べることができます。今回は、PACERとEDISの使い方について、実際にPACERとEDISを使いながら解説していきます。

  • PACERとEDISとは何か?
  • アカウントを作る
  • ケースを実際に調べる
  • PACER/EDISでできること・できないこと

ウェビナーのまとめ

はじめに

PACEREDISとはどんなものか?

簡単に言うと、訴訟監視ツールです。

PACERは連邦裁判所のため。特許訴訟だと連邦地裁で行われている訴訟やCAFCに上訴されたケースをモニターするために使えます。

EDISITC調査ため。特許侵害調査を行う337条調査のモニターに使えます。

 

使用用途

一番の使用用途は、自社が訴訟に巻き込まれた際の訴訟のモニターリングだと思います。私もこの用途がほとんどです。

次に、競合他社の訴訟を監視して、内部情報を知る。つまり、Competitive intelligenceの情報源に使うということです。公開される情報のみですが、合法的に競合他社の情報を知ることができます。

 

なぜPACERとEDISを使えた方がいいのか?

現地のアメリカ代理人に依頼しなくても裁判で提出された書類等が入手できるので、コストセービングになります。また、オンラインでいつでも調査、資料の入手ができるので、時間も節約でき、自分一人で気軽に使えるツールです。

 

登録方法

PACERとEDISは両方共登録制なので、登録方法を教えます。

これは動画を見たほうが早いと思うので、動画で登録方法を確認してください。(XX分からPACER、XX分からEDISの登録方法を解説しています。)

 

 

 

注意点:PACERは、使用頻度により少額の支払いが発生するので、登録時にクレジットカードの情報を記入する必要があります。(クレジットカードは必須ではないのですが、クレジットカードで登録するのが一番スムーズです。)

料金例: 検索に$0.10、入手する資料のページ数ごとに$0.10ですが、書類のメージが多い場合でも最大で$3.00までしか請求されません。また、四半期で$15を超えなければその期間の支払いは免除されます。

ちなみに、EDISは無料で登録・使用できるので、クレジットカードの情報は必要ありません。

 

余談ですが、今回使ったクレジットカード情報はバーチャルクレジットカードというもので、アメリカの個人銀行口座を持っていれば、XXXというサイトで簡単に作ることができます。一回だけ使用できたり、利用金額に限度を付けたりと便利です。今回は、限度金額$1、一回使用のみで作りました。無料です。

あと、パスワード管理には1password(XXX)というソフトを使っています。1つのマスターパスワードだけ覚えていれば、他のログイン関連情報をすべて管理してくれます。また、パスワードも自動作成してくれるので、大変便利なツールです。年間費がかかります。

 

実際に使用してみる

PACERの使用例はXXから

PACERの場合、まず目的の訴訟を特定する必要があります。検索はPacer Case Searchで行います。

すでに訴訟のCase #を知っていれば、簡単に検索できます。Case #を知らない場合は、まずは当事者の会社名をTitleのところに入れて検索。特許訴訟だけに絞る場合は、Civilにしてその後にPatentを選択。

 

検索して案件がヒットすると以下のようなリストが表示されます。

訴訟が始まった日付や当事者の名前、裁判地で特定の案件を特定します。そのときに表示されているCase #がその訴訟に割り振られた番号です。この番号を知っておくと後で検索したりするときに重宝します。

 

案件が特定できたら、このような画面になります。

次に、実際に提出された書類や判決資料を見たい場合、XXをクリックして、検索。

 

そうすると、このような画面が見えて、後半の方に、Docket listが表示されます。そこで、興味のある書類を探して、番号をクリックすると書類の情報と費用がわかり、クリックするとPDFで書類が見れます。

Docketリストだけでは、重要な書類を見つけるのは難しいのですが、Claim constructionやOrder、Summary judgementなどのキーワード検索をしたり、あとはExhibitsが多いものは大きなMotionの場合が多いので、そのようなエントリーをクリックして、書類の中身を確認するのも効果的だと思います。

書類は見れるのですが、今回登録したアカウントで見れる情報というのは公開版のみで、秘密保持命令されている情報は見れません。

 

EDISによる調査はXXから

こちらでも事前に調査したい案件の詳細は知っていると仮定します。その情報を用いて検索する場合、Investigation numberを知らない場合、Investigation typeを特許侵害調査が含まれる(Section 337)やITC調査を依頼した特許権者の会社名をon behalfに入れて検索。

 

そうすると案件がヒットします。Investigationが複数ある場合、Inv Title等を確認して案件を特定します。特定したら、Inv. Numberをコピーして再度検索すると、リストが該当するInv. Numberのみのエントリーになります。

 

リストは、特定のInvestigationのDocket listで、新しいものから順にリスト化されています。PDFのアイコンをクリックすると、書類が見れます。複数の書類が添付されている場合、クリップのアイコンをクリックすると、一覧が見れ、みたい書類のPDFが閲覧できます。

 

しかし、リストの中にはPDFのアイコンがついてないものがありますが、それは秘密保持命令がかかっているので、書類は見れません。また、見れる書類でも文章が一部削除されているものもあります。

 

PACERとEDISの良いところ・悪いところ

一番の利点は、無料(または低額)で係争中の訴訟が監視できることだと思います。調査したいcase #やInvestigation #を知っていれば、便利で気軽に使えるツールです。

 

その半面、慣れが必要な部分もあり、操作方法が分かりづらかったり、重要書類を見つけるのに時間がかかることもあります。また、秘密保持命令によりほしい情報が見れなかったり、見れる書類でも文章が一部削除されているものもあります。また、訴訟で何か動きがあったときに自動で情報を知らせてくれる自動配信機能などもありません。

 

有料ツールのDocket NavigatorとかLex Machina等は、自動配信機能があったり、その他訴訟案件の分析もでき、多くの訴訟を監視する必要がある場合はこのようなツールを使って効率よく情報収取をするのがいいでしょう。

 

あと、Webinarの最中はサイトがダウンしていましたが、USPTOのPTABもPACERやEDISと似たような機能があります。特許庁でのIPRを代表とするAIA review手続きに関しても各案件の検索や実際に提出された書類や判決文等(公開版のみ)も入手できます。この検索機能は無料で、登録なしで使えます。

 

 

まとめ

今回のウェビナーは、気軽に使える訴訟監視ツールPACERとEDISの使い方を知ることで、自分で知りたい係争中の訴訟案件を検索し、実際に裁判所に提出された書類(公開版のみ)を入手する方法を学んでもらって、今後、そのような必要が出てきたときに、現地の代理人に問い合わせしなくても、簡単にスマートに必要な情報を手に入れられるようにと思いました。

 

質問

質問1:日本からでもメールアドレスとクレジットカードで登録できるのか?

回答:できると思います。クレジットカードもアメリカのものである必要はないと思います。

 

質問2:野口さんの経験上、会社ではどのような使い方が多いのか?

回答:一番よく使う方法は、自社が訴訟に巻き込まれたときに、訴訟をモニターリングすることです。当然、代理人からも連絡があるのですが、自分で気軽にいつでも訴訟の状況を確認できるのが強みだと思います。

 

質問3:日本の弁護士・弁理士はどうやって使ったらいいのか?

回答:自社訴訟のモニターや競合他社の訴訟のモニターが中心になると思います。大量の訴訟をモニターする場合、PACERやEDISではなく、ここで紹介したような有料ツールを使うことをおすすめします。また、Lex Machinaなどは、弁護士を評価するような機能もあるので、弁護士を選ぶときに参考にするのもいいかもしれません。

 

質問4:個別の訴訟案件ではなく、知財関連の重要な判例を知る方法はありますか?

回答:業界や技術分野でも違ってくるので一概には言えませんが、Patently Oとか、Patent Wachdogなどの知財関連で重要な判例を解説しているサイトは多数あります。また、特定分野に特化したブログもあります。自分なりに独自の情報源を確立していくのがいいと思いますが、Open Legal Communityで発行しているニュースレター等も参考にしていただけると嬉しいです。

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