NFTを使った著作権のライセンスとロイヤリティを管理する新しい方法の可能性

NFTの売買が行われる場合、原則リンクしている固有の資産の所有権が譲渡されません。しかし、NFTを作る際に、著作権者がNFTを媒体として著作権のライセンスを行うこともできます。

一般的に、NFTを作る際、作成者は、NFTの条件および NFTの所有権とリンクされている原資産との関係を決めることができます。そのため、もし著作権者がNFTを媒体として著作物のライセンス管理をしたいのであれば、後続のNFT所有者に対して、原著作物の複製、その複製物の頒布、原著作物の公開、原著作物から派生した作品の制作など、原著作物を特定の用途に使用するための限定的な権利を与える条件を設定することができます。

このようなNFTの特性を使えは、著作物の著作権ライセンスの管理をするのも可能で、将来的なNFTの売買があった時に著作権者にロイヤリティが自動的に支払われるような仕組みも作ることができます。

そのため、今まで煩雑だった著作物の著作権ライセンス管理がNFTを使うことによって自動で管理できるようにすることも可能になりました。

このNFTの特徴を用いたサービスを展開している会社もすでにあり、Blockchain Art CollectiveVeztblueboxなどがあります。

また一部のアーティストは、将来リリースする音楽に関する権利をNFTに変え先行販売して、購入者には対象の音楽に関する著作権の一部が譲渡されており、NFT購入者がロイヤリティの一部を受け取れる仕組みになってます。

このようにNFTは著作権の管理や今までになかった形の収益化を可能にするので、NFTを用いた著作権のライセンスとロイヤリティを管理する新しい方法が今後普及してくるのではないでしょうか?

参考文献:Shoes and Music – NFT Part II

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