Metaが仮想通貨関連の特許団体に加盟:これで仮想通貨関連の特許訴訟は起きなくなる?

以前Facebookとして知られていたMeta社は、技術・暗号会社のコンソーシアムであるCrypto Open Patent Alliance(COPA)に参加することになりました。COPAはいわゆる特許防衛団体(Patent Defense Organizations)なので、特許を多く持っているMetaが加入したことで将来の仮想通貨関連の特許訴訟が軽減されることが期待されています。

COPAとは?

COPAは2021年にできた団体で、暗号通貨技術の採用と発展を奨励し、成長と革新の障害となる特許を取り除くために結成された、同じ考えを持つ人々や企業による非営利のコミュニティです。すでに現時点でMeta社を含む28社が加盟しており、大手仮想通貨企業も名前を連ねています。COPAは、Jack Dorsey(Twitter創設者)の決済会社Block(以前Squareとして知られていた会社)が主導で立ち上げられたようです。

Metaは、COPAに参加することで、「暗号通貨のコア特許」-COPAのゼネラル・マネージャーであるマックス・シルズが広義に定義する「暗号通貨の生成、採掘、保管、送信、決済、整合性、またはセキュリティを可能にする技術」-を行使しないことを誓った20社以上の他の企業に加わることになります。

COPAの加盟企業にはCOPAの集合特許ライブラリと特許を共有することが義務付けられているので、実質、加盟企業間で特許訴訟ができなくなるので、特許訴訟の可能性を減らすことができます。そのように訴訟リクスを軽減することで、ブロックチェーン関連のイノベーションを促進し、「暗号コミュニティが特許攻撃者やトロールから防衛できるようにする」ことが可能とのことです。

また、MetaはこれまでCOPAに参加した中で最大の特許権者だということなので、今後も多くの特許を持った企業が加盟するかもしれませんね。

Diemに関連した特許は別?

Diem(当時はLibra)は、Facebookの創設者ザッカーバーグが立ち上げた暗号通貨プロジェクトです。当時Facebookはトークンを他の企業と管理するためにLibra Associationを設立。しかし、人々はすぐに、この動きに恐れを覚え、非難しました。そして、連邦規制当局もこのプロジェクトに難色を示したため、Libra Associationのメンバーは、グループが発表されてからわずか数カ月で脱退し始めました。そして、Diemを支える協会はSilvergate銀行に約2億ドルでその資産を売却したことが明らかになりました。この売却された資産には知的財産も含まれているようです。

今回、Meta社がCOPAに加盟した際、Diemの特許も含まれるのかとの質問に対し、「Meta社のコア暗号技術の特許がすべてポートフォリオに含まれる」と答えているだけにとどまっているので、Diemの特許もMetaの特許ポートフォリオに含まれているかは不明です。

Meta社はオープン戦略で次の一手を打ってきた

Metaは、メタバースの発展に向けてオープンプラットフォーム戦略をとっています。そのためメタ社の子会社でバーチャルリアリティ・ヘッドセットを製造するMeta Quest (旧Oculus)もいままで独自規格で行ってきたOculus APIを廃止し、OpenXRをフルサポートすることを発表しました。

このようなオープン戦略をとっているので、戦知財もオープンにしていくというのは、その流れに沿ってますね。

多様化する特許防衛団体

今回紹介したCOPAはいわゆる特許防衛団体(Patent Defense Organizations)の1つで、ブロックチェーン技術や仮想通貨関連の特許に特化したものです。元々は、特許訴訟コストが増大して、パテント・トロールが出始め、対策を困っていた2008年頃にトロール対策として始まったものです。

特許防衛団体は、基本特許訴訟を未然に防ぐようなメカニズムを採用していますが、団体ごとにその戦略は様々。例を上げると、以下のような特徴があります。

LOT Networkなど:NPEに譲渡された特許がすでにライセンスされているように、特許ASTRPXなど:権者間で積極的にクロスライセンスを行う、企業グループのライセンスを取得するためのグループバイイングとライセンシング

Unified Patents: NPEが保有する特許に対する先制的なパテントチャレンジ

このように戦略がことなることもあれば、今回のCOPAのように、技術別、例えば、Linux および Linux 関連のシステムおよびアプリケーションに特化したOpen Invention Networkなどもあります。

特許は大切な権利で、企業にとって市場で優位性を確保する重要な「道具」にもなります。なので、特許防衛団体に加入する企業であっても、自分の会社の知財戦略にあったとこに入ることが必要で、そのようなニーズがあることから、特許防衛団体もこのような多様性が出てきているのだと思います。

参考文献:Meta Joins Block’s Crypto Open Patent Alliance as Diem Reportedly Winds Down

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