米国最高裁は他の国で起きた利益損失の賠償を認めるのか?

2018年4月16日、WesternGeco LLC v. Ion Geophysical Corp.において、アメリカ最高裁が口頭弁論を行う予定です。この案件では、アメリカにおける侵害が原因で他の国で起きた利益損失の賠償が得られるかが争われています。最高裁は、CAFCが$93 millionにもおよぶ利益損失を認めなかったことが正しかったのかを再審議します。

Finnegan partner Jacob Schroederによると、最高裁は1952 Patent Actから特許侵害による賠償金に関して何も言及していないとのことです。なので、この案件を最高裁が審議すること自体が大きな注目を集めています。この他国で起きた利益損失の賠償は、特許権者への救済という点では大切なのですが、治他国で起きた利益損失の賠償を認めると外法権の問題が出てきます。もし最高裁が他国で起きた利益損失の賠償を認めれば、アメリカの特許権の価値は高まり、より特許権者はアメリカの特許権に頼るようになるでしょう。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Jacob A. Schroeder. Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner LLP

https://www.finnegan.com/en/firm/news/high-court-could-open-door-to-worldwide-patent-damages.html

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

Samsung
特許出願
野口 剛史

特許審査履歴解説: RCEまで平行線をたどるもののすべてのクレームをキャンセルし新規提案をすることで権利化できた案件 (Samsung)

2023年1月17日に発行されたSamsungの特許の出願履歴から考察しました。今回は補正し続けたクレームをキャンセルし、RCEまで主張していた特徴をすべて白紙に戻し、それまでは注目していなかった部分をクレームに用いたことで特許を得た案件です。

Read More »
important-page
再審査
野口 剛史

PGR estoppelの範囲は「書かれている通り」

PGRはほとんど活用されていないですが、PGRでもIPRでも訴訟と平行して行われている場合、Estoppelの問題を考慮しないといけません。今回は、PGRにおけるEstoppelについて始めて言及した判決を紹介します。

Read More »
dollar-sign
再審査
野口 剛史

Secondary considerationsとNexusの問題

クレームが自明である(obvious)という判断に反論するために、特許権者はsecondary considerationsの証拠を提示することがあります。しかし、証拠によっては自明性を解消するために提出された証拠とクレームに十分なNexus(関連)が必要になってきます。今回はFox Factory, Inc. v. SRAM, LLCという判例で、そのNexusの基準が一部明確化されたので解説していきます。

Read More »