2018年3月22日、ワシントンDCで行われたPatent Trial and Appeal Board (PTAB) Bar Association Annual Conferenceにおいて、米国特許庁の新長官のIancu氏は、アメリカ特許システムの信頼性について語り、予想ができるシステムの構築が必要だと強調しました。
このスピーチで、Iancu氏は、経済成長、発明、知財における発明の保護の重要性を訴えました。その上で、特許庁の信頼を向上するための方法を幾つか提案。特に、特許の有効性や範囲を明確にすることについて予想ができるシステムの構築に積極的に投資していく意向があることを示しました。
信頼性を向上するために、先行例調査からもっとも関連する情報を得られるようにすることを強調。Iancu氏は、ここ数年、出願審査期間中に重要な先行例文献を特定できず、訴訟になってはじめて、そのような重要先行例文献が問題になったことがあったことを指摘。Iancu氏の見解では、このような出願時と訴訟時の食い違いは、出版物の数の急増とそれらへのアクセス性の問題のために起こったことだということです。
また、Iancu氏は、101による特許適格性(Patent eligibility)の不確定さを問題視。特許庁は裁判所での判決に応じて101に関するガイドライン等を発行して対応してきましたが、そのような受動的なものの他にも、将来を見据えた、特許庁主導の特許適格性に関するルールづくりを積極的に行なっていく提案をしました。
さらに、Iancu氏は、PTABにおける判決の一貫性の必要性を強調。PTABのルールの改定に力を入れていくことを示しました。
「一貫性があり、予想できるプロセスであることで、人々に信頼してもらえるシステムができる」とIancu氏は発言しました。
コメント:アメリカ特許庁は、審査官や判事などの担当者によって、結果が違ってくることで有名でした。いまでもその印象は強いですが、Iancu氏の指揮の下、担当者に関わらずある一定の一貫性があり予想できる審査が行われることを願っています。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Micheline Kelly Johnson. Baker Donelson Bearman Caldwell & Berkowitz PC
http://www.iam-media.com/reports/detail.aspx?g=6a1a73d1-8039-43e5-90df-dbe45d4558a1