米国における商標登録のタイムライン

商標登録は、米国でブランド、製品、サービスを保護しようとする企業や個人にとって極めて重要なことです。その上で、商標登録手続きに関わるタイムラインを理解することは、期待値を正確なものにし、効果的な計画を立てるために不可欠です。

このガイドでは、最初の出願から最終的な登録まで、米国における商標登録のタイムラインを順を追って説明し、各段階で期待されることについての助言を提供します。

第1段階:商標出願の準備

商標登録の手続きに入る前に、しっかりとした商標出願を準備することが重要です。ここでは、この初期段階で期待されることを説明します:

商標調査: 包括的な商標調査を実施し、希望する商標が登録可能であることを確認します。このステップは、既存の商標との潜在的な競合を特定するのに役立ちます。

商品・サービスの特定: 商標に関連する商品またはサービスを明確に定義します。適切なカテゴリー(クラス)の選択は非常に重要であり、事業活動に合致したものでなければなりません。

出願準備: USPTOのオンライン商標出願(TEAS)を作成する。日本などの海外の出願人の場合、アメリカの弁護士の代理人が必須なので、彼らのサポートを利用しましょう。商標画像や使用見本(該当する場合)を含むすべての必要情報が正確に提供されていることを確認します。

関連記事:特許庁が外国からの商標出願にアメリカ弁護士の代理人を義務づける – Open Legal Community 

出願日: 提出後、出願日が通知されます。これが商標登録の正式な始まりです。

第2段階:審査と公開

出願が提出されると、米国特許商標庁(USPTO)による審査が行われます。この段階で予想されることは以下の通りです:

審査期間(3~4ヶ月):USPTOは、出願が正式な要件に適合しているか、また識別性や既存の商標との抵触の可能性などの実質的な問題を審査します。

オフィスアクション(必要な場合)(3-4ヶ月):審査官が懸念事項や異議申立を発見した場合、その概要を記載したオフィスアクションを受け取ります。オフィスアクションへの応答はプロセスの重要な部分であり、タイムラインを延長する場合があります。

出願公開(問題がない場合)(約5~6ヶ月):異議や抵触がなく審査に合格した場合、出願はUSPTOの官報に掲載され、商標登録の意思が示されます。

異議申立期間(30日間):公告後、30日間の異議申立期間が設けられ、第三者はあなたの商標登録が既存の権利を害すると判断した場合、異議申立を行うことができます。異議申立がなされた場合、手続はより複雑になり、長期化します。

第3段階:登録またはさらなる措置

この段階は、出願が異議申立に直面したか否かによります:

異議申立なし(約6~9ヶ月):異議申立期間中に異議申立がなく、USPTOもそれ以上の懸念を示さなかった場合、商標は登録に進みます。

異議申立あり(変動あり):30日間の異議申立期間中に第三者から異議申立があった場合、手続はより複雑になり、長期化します。異議申立に対しては、出願を擁護するための法的論拠や証拠を提出する必要があります。これには通常、法的手続が必要となり、期間が大幅に延びる可能性があります。異議申立手続を効果的に進めるために、依頼している弁護士に相談し、どのような行動を取るべきか話し合う必要があります。

登録証明書(2~4ヶ月):登録が完了すると、USPTOから登録証が発行されます。この登録証は、商標の独占権を証明する決定的な証拠となります。

第4段階:登録後のメンテナンス

商標登録を取得した後も、商標の継続的な保護を確保するために、継続的な責任と対応が必要となります。

更新(5~6年):登録後5年目から6年目の間に、登録維持のための継続使用または免責不使用(Excusable Nonuse)の宣誓書を提出する必要があります。

更新(9~10年目):9年目から10年目にかけても同様の申告が必要で、この時点で商業使用申告書(Declaration of Use in Commerce)を提出する必要があります。

権利行使(継続):商標を侵害から守るため、継続的に市場を監視してください。不正使用が発見された場合は、権利を行使するために適切な法的措置をとりましょう。

米国における商標登録のタイムラインは、明確な段階からなる構造化されたプロセスであり、それぞれに期待されることや遅延の可能性があります。タイムラインとそれに影響を与え得る要因を理解することは、期待値を管理し、円滑な登録プロセスを確保する上で極めて重要です。

ブランド保護を目指す新興企業であれ、商標ポートフォリオを拡大する既存企業であれ、商標登録は貴重な資産です。正しい手続きを踏んで徹底的な調査を行い、商標権の維持と行使に積極的に取り組むことで、ダイナミックな商業の世界でブランドとその知的財産を保護することができます。

参考記事:Trademark Registration Timeline in the United States: What to Expect

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