アメリカTPP参加再考?それに伴う知財関連規約への影響

2018年4月、アメリカのトランプ大統領がアメリカのTrans-Pacific Partnership (TPP)参入の再考をしていることが明らかになりました。

去年アメリカが辞退してから、11カ国(Australia, Brunei, Canada, Chile, Japan, Malaysia, Mexico, New Zealand, Peru, Singapore and Vietnam)によって締結された貿易条約は、Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership (CPTPP)と呼ばれています。

TPPには様々な条約が盛り込まれていまうが、中でも知財に関する項目は、一番交渉が行われた項目の一つです。元々は、辞退する前のアメリカが積極的に交渉していて、条件はより発展したアメリカなどの先進国に有利な条件になっていました。

このIP規約は、発展途上国でのジェネリック医薬品の販売を難しくするもので、発展途上国における健康に深刻な問題が起こるのではないかと懸念されていました。しかし、最終的には、アメリカの市場へのより簡単な参入を条件に、原本のまま受け入れられました。

現状のTTPは、アメリカが抜けた状態ですが、CPTTPに明記されている知財に関する項目は、原本のPPTとほぼ同じです。しかし、知財に関する22の項目は、一時停止中となっています。この一時停止は、意図的に、アメリカが再度TPPに参加しやすいように施された措置のようです。

この一時停止されている知財関連条項の一部には、以下のようなことが明記されています:

 

  • Patentable subject matter: The TPP required all member nations to include “new uses of a known product, new methods of using a known product, or new processes of using a known product” within the scope of patentable subject matter. (特許性の定義)

 

  • Unreasonable authority delays and curtailment in patent applications: The TPP would have allowed patent applicants to request adjustment of patent term if (1) a patent takes more than five years to issue from the filing date or (2) patent examination continues beyond three years from the date of filing the request for examination, whichever is longer. Additionally, the TPP proposed that members implement a procedure for accelerated examination. (特許有効期限の延長)

 

  • Protection of undisclosed test or data: The TPP provided that third parties would not be permitted to rely on undisclosed test data submitted in connection with a request for marketing approval for a period of at least five years from the date of such approval. (非公開テストやデータの保護)

 

  • Biologics The TPP set forth a market exclusivity period for biologics of either eight years or five years of exclusivity and “other measures” to deliver a comparable outcome in the market.(製薬等の独占期間)

 

  • Increase of duration of copyright protection: The TPP required that the term of protection for copyright be extended to a term of not less than life of the author plus 70 years for works created by natural persons and to a term of not less than 70 years from the year of first authorized publication for works created by corporations(著作権の延長)

 

  • Request for civil and criminal liability for circumventing Technological Protection Measures (TPMs) and Rights Management Information (RMI)(TPMやRMIの迂回に対する罰)

 

  • Protection of encrypted program carrying satellite and cable signals(プログラムの暗号化保護)

 

  • Legal remedies against internet services providers and provision of safe harbours(ISPに対する処罰)

    これらの知財に関わる項目は、アメリカのTTP参加が実現すれば、一時停止の状態から正式な条項として盛り込まれることでしょう。

 

まとめ作成者:野口剛史

 

元記事著者: Shoko Hino, Kevin M. O’Brien and Kensaku Takase. Baker McKenzie
http://www.internationaltradecomplianceupdate.com/2018/05/02/us-reconsidering-the-tpp-and-impact-on-intellectual-property/#page=1

 

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

契約
野口 剛史

効率重視の知的財産デューデリジェンス

企業の買収時にはデューデリジェンスが欠かせません。デューデリジェンスでは企業の様々な面を評価・査定する必要がありますが、知的財産も重要な要素の一つです。今回は時間との戦いであるデューデリジェンスにおいて知財をどう効率的に調査・分析するべきかについて話していきます。

Read More »
creminal-theft-of-trade-secret
企業機密
野口 剛史

営業秘密と制限条項調査を遠隔で実施するポイント

企業秘密が侵害された、または従業員が雇用後の制限条項に違反した疑いがある場合、企業がまず最初にすべきことの 1 つは、調査です。調査を行うことで、あらゆる主張を裏付ける証拠を特定し、確実に保存することができ、緊急差止命令による救済の必要性を立証する上で非常に重要です。

Read More »
computer-code
その他
野口 剛史

USPTOのOpen dataは十分に活用されていない

USPTOは様々なデータを公開していますが、あまり活用されていないようです。うまく活用すれば便利なものがたくさんありますが、あまり知られていないので、今回は代表的なサービスを3つ紹介します。

Read More »