Court of Appeals for the Federal Circuit(略してCAFC、アメリカ連邦巡回区控訴裁判所)は、2017年、In re: Micron Tech., Inc., において、TC Heartland事件で最高裁が下した裁判地(venue)に関する判決は、既存の法律を変更するものであって、現在進行中の特許訴訟における裁判地の特定にも影響するとした。
TC Heartland事件 − TC Heartland LLC v. Kraft Foods Group Brands LLC において、
米国最高裁は、特許訴訟の際、特別な裁判地(venue)に関するルールが適用され、米国内企業の場合、会社の設立地が「居住」(resides)している地であると限定的な解釈をした。
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通常、連邦民事訴訟規則Rule 12(g)(2)上、裁判地(venue)に問題がある場合、被告側は訴訟が始まるときに、異議を申し立てなければいけない。もし申し立てがない場合、その申し立て権利を放棄(waive)したとみなされ、進行中の特許訴訟では裁判地の変更はできない。
しかし、TC Heartland事件を受け、CAFCは、特許訴訟に関わる裁判地(venue)の法律に変更があったことを認め、現在進行中の特許訴訟でも裁判地を変更できることを示唆した。
今回In re: Micron Tech事件では、具体的にどのようなケースの場合に裁判地の見直しが行われるべきか明確なルールは決められず、 将来の訴訟案件ごとに個別に決められるべきとした。
裁判地によって訴訟は大きく変わるので、現在、TC Heartland事件以前に始まった特許訴訟で被告になっている企業は、すぐに裁判地の変更ができるか訴訟弁護士と相談し、行動する必要がある。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Bijal Vakil, Charles Talbot, and Don Zhe Nan Wang. White & Case LLP