自社の知的財産を見直そう:IP Auditのすすめ

米国第5巡回控訴裁判所 (U.S. Fifth Circuit Court of Appeals)は、2017年、Motion Medical Technologies LLC, et al. v. Thermotek Inc. v. TRI 3 Enterprises, LLC, において、連邦法である著作権法と特許法に関わる案件に、州法である横領による不正競争を用いることはできないという判決を下した。

 

テキサス州には、大規模な費用をかけて開発した商品に対し、他社がその商品を横領して競争した場合、たとえ利用した情報が著作権や特許で守られていなくても、不正競争として訴えることができるという州法がある。この州法の歴史は長く、特許法が制定される前から存在していた。

 

しかし、この判決で、第5巡回控訴裁判所は、 著作権法と特許法は、 横領による不正競争に取って代わるものであるので、著作権法と特許法に関わる案件に、 横領による不正競争を用いることはできないという判決を下した。この判例により、テキサス州では、州法が保護していた特許や著作権、企業秘密で守れない企業情報や手法など「その他」の財産に対する保護がなくなってしまった。

 

このような州法は、著作権法や特許法などでは守りきれない資産を守る隙間を埋める役割を担っていた 。著作権法や特許法などでは守りきれない「その他」の資産のいい例が、ビジネス方法に関する発明だ。ビジネス方法に関する発明はアメリカでは特許として権利化することは難しく、また例え権利化できたとしても、無効になる確率が高い。このような発明は、テキサス州の州法で守られる可能性があったが、今回の判例で、テキサス州の州法では保護されない可能性が高い。また、著作権もデータを編集、加工したものについては保護が及ばない。

 

このように「その他」の財産に対する保護がなくなった今、既存の特許権、著作権や企業秘密で守られる資産を最大化する必要がある。

 

そのためには、「その他」の財産になりそうな資産を持っているのか、IP Auditをやって知る必要がある:

  • 自社独自のソフトウェアが作業効率を上げたり、サービスの向上に貢献したりしているか?
  • 長い年月をかけて集計した企業秘密で守れないデータ群はあるか?
  • 他社と差別化するためのユニークなビジネス方法はあるか?

 

もしこのような資産を持っていて、テキサス州でビジネスをやっているのであれば、IP Auditをして、自社の知的財産を見直すべきである。

 

 

まとめ作成者:野口剛史

 

元記事著者:DJ Healey. Fish & Richardson

https://www.fr.com/fish-litigation/ip-audit-fifth-circuit-safety-net/

OLCの米国知財ニュースレター

最新まとめ記事を
毎週メールボックスにお届け

登録すると、週1回、最新まとめ記事の概要とお知らせを受け取ることができます。

コメントする

追加記事

supreme-court
訴訟
野口 剛史

トランプ大統領がKavanaugh氏を最高裁判事として指名

2018年7月9日、トランプ大統領は新しい最高裁判事としてBrett Kavanaughを指名しました。この指名は、7月31日に引退するKennedy最高裁判事の後任者を選ぶものです。Kavanaugh氏は、引退するKennedy最高裁判事と比較して、保守よりなので今後の最高裁の判決がより保守的になることが懸念されています。

Read More »