明細書作成がコモディティ化(汎用化)しつつある。その中で、特許ポートフォリオ管理には、作成予算と明細書の質のバランスをとる必要がある。著者は、多数の特許弁護士と弁理士を抱え、クライアントのために出願業務を行っている。その中で、よりよいサービうを提供するために大切にしていることが以下3つの点である:1.明確な期待を設定する(clearly set expectations)、2.規模の力で効率を上げる(leverage efficiencies of scale)、3.チームで明細書を作成する(employ a team approach)。
1.明確な期待を設定する(clearly set expectations):まずはコミュニケーションから始まる。仕事を始める前に、クライアントと彼らの観点から見た質の高い仕事と特許出願の目的を話し、そのクライアントの期待を正確に担当特許弁護士または弁理士に伝える必要がある。このときに重要なのが、担当者が明細書作成の計画を立てる時に、他のチームメンバーによるレビューや補正などの協力を考慮し、その時間と費用を予算に盛り込むことだ。
2.規模の力で効率を上げる(leverage efficiencies of scale):担当者に一環して特定の技術分野の仕事を割り当てることによって、担当者の技術への理解を深める。同じように、一定の品質を保って効率的に明細書を作成できるコアチームを維持することも大切。このようなチームを作るには、仕事の内容だけにとどまらず、担当者の生活の質、仕事量、チームメンバーに魅力的な環境を作ることなどが大切になってくる。クライアントの発明提案の数や頻度はコントロールできないが、クライアントが発明する速さや、クライアントがどのように事務所に仕事を分配しているかなどを知ることによって、明細書作成チームの効率を最大化させることができる。
3.チームで明細書を作成する(employ a team approach):チームと言っても、明細書作成の担当者が重要になってくる。チームアプローチとは、明細書を作成する中で、似た技術を担当しているチームメンバーが関わることだ。明細書作成、権利化、訴訟の観点から特許庁だけでなく、PTABや地裁での審査・検証にも耐えられるだけの明細書を作るためにアイデアを提供してくれるチームメンバーは特に重宝する。チームの良い点は、同じ技術に対して違う視点を持っていること、蓄積された知識の共有ができること、仲間意識が向上されるなどがある。このようないいチームが、予算と期限を満たす高い品質の明細書を作成することに貢献している。
このような仕組み以外にも、チームメンバーのやる気を向上させて、チームメンバーの能力を最大化することが大切だ。仕事に見合った給料というのは大事だが、それだけではない。優秀なチームメンバーは、担当技術に高い関心があったり、一定の発明者と働くことを好んだり、大きな目標に貢献していることを実感したり、他のチームメンバーと働くことを好んだり、チーム内で経験を共有することを楽しんでいる人が多い。
よいチームを作るには、チームリーダーを注意深く見る。チームリーダーがどのようにチームを作り、管理していくのか、その人のアプローチを知っておくことが重要。また、発明者のフィードバックからチームメンバーがやる気を持って案件に取り組んでいるのかがわかる。逆に、過度の離職、仕事の質のばらつきなどは、大きな問題。仕事の質に対するフィードバックやチームメンバーの経験の共有などは、潜在的な問題の対処を助け、チームマネージャーがチームを洗練するのに貢献する。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Shannon McCue. Baker & Hostetler LLP