特許関連業務の外注に対する倫理的な問題点

今日、コスト削減の一貫として、特許関連業務の(海外)外注がより一般的になる中、外注を依頼する弁護士の倫理的な問題が浮き彫りになってきています。先行例調査、特許明細書作成、図の作成、権利化までの手続き等を外注する場合にどのような倫理的な問題があるのかを簡単に紹介します。

外注自体に対しては何も倫理的な問題はありませんが、弁護士が法的資格を要する助言を行うことについて最終的な責任を負うことを認識する必要があります。また、弁護士としての適正能力義務(duty of competence:助言を行う事柄について助言を行うだけの適正能力があること)と倫理的な責任は外注することで逃れることはできません。

クライアントの承諾

特許関連業務の場合、情報が公開情報でない限り、何らかのクライアントが持っている機密情報を外部に伝える必要があります。この点は、特に先行例調査、特許明細書作成、図の作成などに関わってきます。このような場合、クライアントの承諾からの了承がない限り(または、弁護するにあたり共有が必要とみなされる場合、または、法律・規則により共有が許されている場合はOK)、代理人はクライアントを弁護することに関する情報を他者と共有することはできません。

また、例外である「弁護するにあたり共有が必要とみなされる場合」であっても、弁護士事務所以外の外部者との共有は監視と管理の乏しさから認められていません。それ故に、特許関連業務で外注を行う場合、外注を許可するクライアントからの書面による承諾を得ることを強くおすすめします。

クライアントへの守秘義務

また、弁護士は、クライアントを弁護するにあたって得る情報の意図しない、または、許可されていない開示や不法アクセスを防ぐために、合理的な努力をする(make reasonable efforts)必要があります。この責任を実行するのは、全ての関係者がすぐ近くにいる場合でも難しいですが、外注先が海外の企業で必要な情報保護に関する設備がなかったり、関係する従業員の守秘義務への意識が低い場合、この義務を満たすことが非常に難しくなります。

外注先がクライアントの機密情報を開示してしまうというリスクは大いに考えられるので、外注先との書面による守秘義務契約はとても重要です。また、不正開示のリスクを最小化する責任を満足するために、担当弁護士は、外注先が同じまたは似ている案件でクライアントの競合他社へも同様のサービスを提供していることがないよう、外注先に確認する必要があります。

許可されていない法的助言に対する監督義務

USPTO Professional Rules of Conductによると、パートナーやパートナーに似た権限を持っている代理人には、資格を持っていない人が行なった作業も代理人の専門家としての責任を全うするだけに値するものであることを保証できるように合理的な努力をすることが求められています。弁護士ではない組織に外注した場合、その組織は資格を持っていない人として扱われ、特許出願に携わる仕事をする場合、特許庁に対する業務を行うことになります。

このような場合、パートナーやパートナーに似た権限を持っている代理人は、このような資格を持っていない人の行動に対し、もし倫理的なではない行動を知っていて、当時に対処していれば問題の回避や軽減ができたのに行動を怠った場合、責任を持ちます。透明性とコミュニケーションは外注する弁護士にとって必要不可欠です。外注に対する適切な監視と管理が許可されていない法的助言を未然に防ぐために必要だと思われます。

教訓:

外注、特に海外への外注が特許関連業務でも一般化する中、知財弁護士は外注に伴う倫理的な責任を考える必要があります。外注先という第三者機関にクライアントの機密情報を共有する場合、事前にクライアント説明し了解を得たり、外注先も守秘義務が徹底されているところと契約したり、契約後も外注先との信頼関係を築くなど、弁護士としての倫理的な責任を全うするためには様々な面を考慮する必要があります。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:D. Jeremy Harrison. Vorys Sater Seymour and Pease LLP

https://www.vorys.com/publications-2184.html

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