クレーム解釈が必要な場合、12(b)6棄却申し立ては受理されない

Pressure Specialist, Inc. v. Next Gen Mfg., Inc., No. 17 C 6582, Slip Op. (N.D. Ill. Jan. 24, 2018) (St. Eve, J.)において、St. Eve 判事は、被告人の12(b)6棄却申し立て (Fed. R. Civ. P. 12(b)(6) motion to dismiss )を却下しました。

問題の棄却申し立てでは、原告の特許クレームにおけるペイントボールガンのガス制御が注目されました。被告人は、クレームで必須のガイドスリーブが被告のガス制御装置に含まれていることを、原告が申立書で主張しておらず、また、今後訴訟が進んでも主張できないとし、ガス制御に関わる特許クレームを訴訟から取り下げるよう裁判所に申し出ました。

しかし、裁判所は、クレーム解釈が必要な事柄でRule 12 motionを判断するのは適切ではないという判例にそって、被告人の申し立てを却下しました。

コメント:

この12(b)6棄却申し立ては、訴訟が起きてすぐにファイルされたものです。この記事を見ると、クレーム解釈が必要な理由で12(b)6棄却申し立てをするのはやめた方がいいでしょう。クレーム解釈が必要な場合、原告がクレームを取り下げるか、クレーム解釈をするMarkman hearing まで待って、summary judgementで非侵害が明確なクレームを今後の手続きから除外するという対応が必要になってくると思います。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:R David Donoghue. Holland & Knight LLP

Claims That Require Construction are Not Amenable to a Motion to Dismiss

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