次の時代の知財部員の働き方

リモートワークが進み、副業もやりやすくなってきて、ジョブ型の仕事も増えてきたので、今後は同時に複数の会社の知財部員として働くようなことも一般的になるのではないかと思い、その可能性を考えてみました。

知財はリモートワーク向き?

アメリカでは特許事務所に勤務している人はかなりの確率で自宅で働いています。うまく機能しているところが多いらしく、コロナがある程度収まってっもリモートを継続するところが多そうです。また、社内の知財部もリモートと相性のいい業務が多いので、コロナが落ち着いても在宅でできる仕事は継続してリモートで行い、現場で行わないといけないものは出張ベースで対応したり、現場に特化した従業員を置くことで、人材の取得と維持をしやすくするところも多くなってくるのではないでしょうか?

フルタイム以外の働き方も可能になってくる?

リモートでもできる社内の知財業務が業界に浸透して、雇う側の意識も変わってくれば、社内で働く知財部員にも新しい働き方が見えてくると思います。

例えば、リモートで時間を管理しやすくなるので、大手企業の知財部で働いているベテランがスタートアップの知財をその会社のchef IP officerとしても働くみたいな機会が増えていくかもしれません。特に、企業が副業を推奨するようになってくれば、その可能性は今後爆発的に増える可能性があります。

その延長線を考えると、1つの企業でフルタイムとして働くのではなく、同時に複数の企業の「知財部員」として働くような未来も十分考えられるのではないでしょうか?

知財の価値の底上げにはより多くの企業が知財を持たないといけない

モノの価値はその価値を認める人がいて、始めて一定の価値を持ちます。そして、価値を認める人が多ければ多いほど、世の中で一般的なそのモノの「価値」が生まれます。

知財は企業にとって大切な資産ですが、知財部を持てる企業は限られているため、大企業に知財に長けた人材が偏ってしまっているのが日本の現状だと思います。

大企業にとって知財は大切ですが、スタートアップでも中小企業でも知財は大切で、ちゃんと管理・運営ができれば貴重な資産になります。しかし、大企業以外では資金的な面や仕事量の関係から優秀な知財部員をフルタイムで維持することは難しく、人が雇えないため、社内での取り組みが手遅れになってしまうこともあります。

しかし、大企業で働いた経験を持つ知財のベテランにパートタイムで働いてもらえるようにできれば、企業側は仕事量に応じて人経費を抑えつつ社内の知財体制を整えられます。このようにすることで、フルタイムで知財専門家を雇う前から会社に重要な知財の取得や維持ができます。

このように、社内における知財に取り組む人的コストのハードル低くすることで、通常よりも早い段階で会社の知財を正しく運用することができます。このような動きが多くの中小企業で起これば、知財の認知度が上がり、知財の価値の底上げにつながるのではないでしょうか?

働き方は自分で決める時代

このような働き方は、雇われる方も働き方を自分でコントロールできたり、収入の多角化ができ、より安定した生活を行えるようになります。また、今までのキャリアでは、大企業で管理職になることが求められていたかもしれませんが、社内で働いている知財プロフェッショナルのすべてが管理職に適しているというわけではなく、中には将来も実務に携わっていきたいと思う人も多くいることでしょう。

そのような人は、今後パートタイムベースで複数の企業の知財に携わることで、自分のスキルを使って実務を継続することができ、また様々な業種の企業で働くことができるので、さらなるスキルアップをすることができるでしょう。

更に、このように複数の会社で培ったノウハウを一般化して教材を作ったり、独自のコンサルを展開することで、さらなる収入を得ることも十分可能だと思います。

まとめ

企業がより柔軟な雇用体制を認めていく中で、社内で知財に携わっている人の働き方も大きく変わってくることでしょう。ずっと知財をやっていきたいけど、弁理士として事務所で働くのはちょっと違うと思っている人は、「複数の企業の知財部員になる」ことを検討してみてはいかがでしょうか?知財に取り組まないといけないことはわかっていても、費用や仕事量の関係からフルタイムで知財プロフェッショナルを雇えない企業は日本でも結構な数があると思います。そのような企業を複数見つけて契約できれば、生活水準を変えなくても暮らしていけるぐらいの収入は十分得られると思います。また、そこから得られたノウハウを用いて新しいビジネスチャンスも得られるので、個人的にはとても注目している次の時代の知財部員の働き方です。

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2件のフィードバック

  1. いつも参考になる記事を公開いただき、ありがとうございます。
    JPOも知財部員の副業に関するアンケート調査をおこなっていました。フルタイムの知財部員をおけない中小企業ではこのような考えもでてくるのではないかと思う一方、現在の日本において大企業で現役で働くベテラン部員が副業を行うことは容易ではないとも思いました。知財がセンシティブな情報かつ、企業知財部員がスキルを発揮しやすい同業種であるほど情報コンタミ・漏洩が大きな問題になるため、企業側に立てば、複数部員を擁するような大企業において副業を認めるメリットはないと考えられるからです。
    では大企業からスピンアウトしたベテラン知財部員が複数の中小企業を掛け持ちで業務するような形態なら成立するのかといえば、それが独立系の事務所が顧問契約を取ることとどのように差別化できるのか、気になるところです。弁理士がいなければ開業できない事務所と、弁理士資格なしでフリーランスで働く知財部員といった違いになるのでしょうか。

    1. そうですね。
      大企業の知財部員の場合、このような副業をする際は企業の許可が必要なので企業の理解が重要になります。
      しかし、私の知り合いで大手企業に務める傍ら、同業種のスタートアップの知財支援をおこなっている人もいます。競合や顧客・サプライヤーに対する知財サービスを提供するのはコンフリクトの面で難しいと思いますが、技術的に関連性が高くても競合や顧客・サプライヤーではない企業もたくさんあります。まずはそれぞれのバックグラウンドや経験に合わえた可能性を模索することから始めるといいと思います。
      実際に、弁護士や弁理士はコンフリクトの問題を長年対応してきています。彼らがどのようにコンフリクトを回避しつつ、技術や法律に特化した業務をやってこれたかを参考にすれば、自ずとコンフリクトの問題に関する対応の仕方も見えてくるのではないでしょうか?

      あと、おっしゃるとおり大企業で活躍されて定年を迎えた方であれば、その経験を生かして複数の中小企業で活躍することが大いに期待できます。日本は中小企業が多いので、このようなニーズは多いと思います。ただ、市場ができていないだけで、地道な市場開発と仕組みづくりは必要です。
      弁理士とそのような元知財部員の違いは、「価値観」だと思います。一般的な事務所の場合、メインの収入源が特許出願業務であることが多いので、そうすると自然に「何でも出願」というバイアスがかかります。実際はそうでなくても、そのように見られてしまうこともあるでしょう。しかし、元知財部員であれば、社内の目線で社内の価値観の元、会社に必要な知財周りの仕事に取り組めるため、そこでの差別化が大きいと思います。大企業で培った知財のノウハウというのは決して事務所で働く弁理士が真似できるものではありません。そこに共感する複数の中小企業と働くことができれば、立派な第2の人生が歩めるのではないでしょうか?

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