棄却の申し立ての分析に対してクレーム解釈をするのは不適切

CAFCは、Nalco Co. v. Chem-Mod, LLC, Case No. 17-1038 (Fed. Cir., Feb. 27, 2018) (O’Malley, J)において、棄却の申し立ての分析に対してクレーム解釈をおこなうのは不適切だとして、地裁での申し立て段階での棄却を覆しました。

経緯:

Nalco社は、石炭ベースの発電所から出る排煙から水銀を取り除く方法特許を持っています。Nalco社は、その特許をChem-Mod 社に権利行使。同社の“Chem-Mod Solution”が自社の特許を侵害していると主張しました。Chem-Mod社は、同社の方法は特許でクレームされている方法とは違うと主張し、訴訟の棄却を求め、地裁はChem-Mod社に同意。地裁はChem-Mod社の方法は、injecting stepにおいて、いつ薬品が投入されるのか、どのように投入されるのかという部分に対してクレームと違いがあるとしました。

Nalco社は、その後4回申し立て書を補正し、Chem-Mod Solutionに対する詳しい分析等を加えたり、クレーム自体がいつ、どこで、どのようにinjecting stepが行われるべきか何も制限していないと主張。しかし、地裁は、Nalco社の申立書はChem-Mod Solutionがクレームされている“injecting” stepを満たしているかを示していないとし、棄却しつづけ、4回目の補正申立書を棄却したときは、with prejudice(つまりもう同じことでは裁判を起こせない)で棄却しました。それをNalco社は不服に思い、上訴。

CAFCにおいて、Nalco社は、地裁は棄却の申し立ての分析をするために”injecting” という用語に対して暗黙の内に解釈をおこなっていた、つまり、侵害・非侵害の問題は、クレーム解釈に依存していると主張。CAFCはNalco社の主張を受け入れ、地裁におけるChem-Modの反論が典型的なMarkman argumentになっていたことや、問題の真相がNalco社が提案したクレーム解釈を採用するかしないかというところであるという認識から、Markman hearingにおけるクレーム解釈が終わっていない申し立ての時点で、クレーム解釈をするのは不適切と判断。その結果、CAFCは、地裁におけるNalco社の訴訟棄却を却下、地裁に差し戻しました。

ポイント:

特許訴訟において、Markman hearingなどクレームの解釈を行う手続きは重要な部分で、一般的にDiscoveryの後半に行われます。今回の事件では、申し立ての手続きをやっている訴訟の序盤で、暗黙の内にクレーム解釈が行われてしまったことが問題になりました。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Zachary Miller. McDermott Will & Emery

https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=216f9fdd-73cf-429e-9810-04f57e2a1bc6

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

契約
野口 剛史

LOTのメンバーが500社以上に

The License on Transfer Network (LOT)のメンバーは500社を超え、Tech企業のほか、Disney, CenterPoint Energy, Synchrony, Caterpillar, Yamaha や Visaなど様々な業種の企業が加入する巨大グループに成長しました。

Read More »
chess-game-plan-strategy
訴訟
野口 剛史

訴訟が起こる前にできる訴訟対策ベストプラクティス(知財編):訴訟リスクを最小限にするために今できること

ビジネスは少数の例外を除き、高額で先行きが不透明な知財訴訟はできるだけ回避したいものです。訴訟自体を100%回避するのは不可能ですが、予期できる知財問題に対する準備が出来ていれば、リスクを最小限にとどめ、かつ、訴訟で勝つチャンスを高めることができます。今回は社内でできる訴訟が起こる前の訴訟対策手段を2つ紹介します。

Read More »
chess-game-plan-strategy
特許出願
野口 剛史

Pre-Appeal Brief Review Requestをする価値はあるのか?

アメリカの特許出願において、最終拒絶通知が来た場合、以下の3つのオプションがあります。1)審査を継続するためRCEを出願する、2)上訴する(Appeal)、3)放棄する。また、あまり知られてはいませんが第4のオプション、Pre-Appeal Brief Review (PABR)があることをご存知でしょうか?今回は、そのPABRについて、その価値を考えていきます。

Read More »