アメリカの特許を中国企業に対して権利行使する場合、いくつもの難しい点があります。 KPNがOppo, Vivo とOnePlusをDistrict of Delawareで訴えたケースの書類を見てみると、中国企業に正式に訴状を送る(serve process)のに2年の歳月がかかりました。
中国で正式に訴状を送る(serve process)方法は1つしかありません。the Hague Service Convention’s Article 5 procedureというものです。これは、国内で中心となる権限を持つ組織を通して行うことを意味していて、中国では、Ministry of Justiceになります。中国は、個人や郵送での訴状送付は拒否するため、Ministry of Justiceを経由する以外の方法はありません。
手続きは簡単で、中国語への翻訳、$95の費用、必要用紙への記入などです。また、専門家によると、適切な裁判地の住所を私立探偵などを雇い、正確に記入するといいということです。少しでもミスがあると、手続きを最初からやり直さなければいけないので、ここは時間を取り、正確な情報を入手することが迅速に手続きを行う秘訣のようです。
その後は、待つのですが、この待ち時間が最近、異常に伸びているとのことです。
2015年に中国の法律をテーマにしたブログでは、待ち時間は1ヶ月から5ヶ月とされていました。しかし、その待ち時間は月日が経つにつれ増加し、2017年の時点で、待ち時間は1年になりました。また、最近では、アメリカからのリクエストに対する対応はすべて停止されてしまったというニュースが流れました。
KPNはOppo, Vivo, OnePlusと親会社であるBBK Electronicsを2017年1月に訴えたのですが、2018年4月のステータスレポートで、District of Delawareの判事にOnePlus への訴状通達手続きが1年ほどかかっていて、何も進展がないということを報告しました。その報告には、現在、2年前に行われたthe Hague Service Convention’s Article 5 procedureに対して、中国のMinistry of Justiceは対応しているという報告がありました。
the Hague Service Convention’s Article 5 procedureの問題は、いつまでに手続きを終わらせなければいけいないという期限がない点です。なので、ハーグ条約の加盟国は、いつ手続き終わらせても条約違反いはなりません。
現状では、中国企業に対してアメリカで特許訴訟を起こすのはいいアイデアではありません。アメリカに子会社がある場合、そこをターゲットにできますが、アメリカに子会社がない場合、訴えるには少なくとも2年以上かかる状況です。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Jacob Schindler. IAM
http://www.iam-media.com/Blog/Detail.aspx?g=f7b266eb-085c-475b-b3b3-9b35c931d6a6