SonyによるFujifilmのITC調査において、行政判事であるALJ(Administrative Law Judge)は、特許権者でアメリカにおける国内産業要件を満たさないといけないSonyによる補足の国内産業製品の証拠を却下した。
ITC調査の予定表によると、両者は2017年8月24日までに質問書に書かれている立証責任がある事柄について最初の答弁を行い、2017年10月27日までに補足することになっていた。Sonyは特許権者なので、ITC調査を申し立てる条件の1つである国内産業要件(Domestic industry requirement)を満たす必要があった。しかし、2017年8月24日までに今回問題になったLTO-7 tape drivesという製品を国内産業製品として指定しなかった。そして、2017年10月27日、SonyはそのLTO-7 tape drivesを国内産業製品として追加しようとした。追加が許される理由として、2017年9月28日にニューヨークで争われていたケースの仮差し止めが却下されたこと、また、予定表によると10月27日までに補足できることになっていたという2点をSonyは主張。
しかし、行政判事であるALJはCommission Rule 210.27(f)のもと、LTO-7製品の追加は、補足情報(supplementation)に該当しないとして、LTO-7製品の追加を却下。Commission Rule 210.27(f)には、質問書、書類提出要求 、自白要求への回答が重要な点において不完全、または、正しくなかった場合、以前の回答を迅速に改める責任を負うというもの。( “[a] party is under a duty seasonably to amend a prior response to an interrogatory, request for production, or request for admission if the party learns that the response is in some material respect incomplete or incorrect. . .” )
この判断において、ALJは10月27日の補足情報が以前の不完全、または、正しくなかった回答に対するものなのか十分な説明がなされていなかったと指摘。また、9月28日にあったNew Yorkの案件に対する判決からほぼ一ヶ月後の10月27日にLTO-7製品の追加を行うことは、迅速ではなかったと指摘。また、提出日が、FujifilmとStaff attorneyが事実に関するDiscoveryのリクエストを行える期限の1日前だったことと、対象のLTO-7製品に関する情報と国内産業要件を満たす責任はSonyにのみあるという事実も、ALJの今回の判断に影響を与えた。
教訓:
ITCにおける337条調査手続きはとても早いため、通常、事前に準備ができる申立人(特許権者)の方が有利なのだが、今回は、申立人であるSonyの主張が認められなかった。ここでの教訓は、申立人も調査対象(被告側)も、Discoveryに対して迅速に回答していく必要がある点だ。できることなら、最初の回答期限までに十分な情報を提供し、必要ない補足を後日提出すること避けることが重要。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Jones Day’s ITC Team. Jones Day
http://jonesdayitcblog.com/alj-precludes-reliance-new-domestic-industry-products/