Study on the impact of increasing RCE fees on patent strategy in response to USPTO proposed fee revisions for 2025

RCE手数料の値上げが特許戦略に与える影響: 米国特許庁が提案する大幅な料金改定の考察その1

米国特許商標庁 (USPTO) は、2025年度(2024年10月から予定)の特許関連手数料の大幅な改定を提案しています。この改定案で特に注意すべき点の1つは、継続審査請求 (RCE) の手数料が引き上げられ、その回数ごとに値上げ率が大幅に増えることです。この変更は特許出願人や企業の知的財産戦略に大きな影響を与えると予想されます。そこで本記事では、USPTOが提案するRCEの料金改定の詳細を解説し、特許出願人や企業が取るべき対応策について考察します。

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2025年度USPTO特許料金改定の波紋: 知財プロフェッショナルが知るべき変更点と対策

USPTOが提案した2025年度の特許料金改定は、特許戦略に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に継続出願、Terminal Disclaimer、IDSなどに対する新しい料金体系は、出願のタイミングやボリュームによって大幅な費用増加をもたらします。本記事では、料金改定の詳細を解説し、知的財産専門家や企業が取るべき対策を提案します。出願タイミングの最適化、関連出願の同時提出、審査中の出願の再評価など、戦略的な適応が求められます。USPTOの意図を理解し、自社に合った効果的な特許出願戦略を立てることが、変化する法規制の中で競争力を維持するカギとなるでしょう。…

RCE手数料の意図的な大幅な値上げ

継続審査請求(Request for Continued Examination, RCE)は、USPTOにおける審査プロセスにおいて出願人が最終拒絶(Final Rejection)を受けた後、または許可査定(Notice of Allowance)が出た後、同じ出願案件において、審査の継続を求める手続きです。これにより、出願人は新たなクレーム補正や主張を提示でき、権利化に向けた取り組みを継続することができます。

現行の手数料体系では、RCEの手数料は2段階に設定されています。1回目のRCEは1,360ドル、2回目以降は2,000ドルとなっています。しかし、USPTOの改定案では、RCEの手数料が大幅に引き上げられ、3段階の料金体系が導入されます。改定案における RCE手数料は以下の通りです。

  • 1回目のRCE: 1,500ドル (10%増)
  • 2回目のRCE: 2,500ドル (25%増)
  • 3回目以降のRCE: 3,600ドル (80%増)

特に3回目以降のRCEについては、現行の手数料から80%もの大幅な値上げが提案されており、複数回のRCEを必要とする出願人の負担が大きく増加することが予想されます。

USPTOがRCE手数料の大幅な値上げを提案した背景には、いくつかの理由があります。まず、RCEの濫用的な利用を抑制し、審査プロセスの効率化を図ることが挙げられます。一部の出願人がRCEを繰り返し利用することで、審査官の負担が増大し、審査の遅延につながっているという問題意識があります。USPTOは、RCE手数料の引き上げにより、出願人にRCEの戦略的な活用を促し、審査プロセスの効率化を目指しています。

また、USPTOは料金改定を通じて、特許制度の運用コストを適切に回収することも狙いの一つとしています。RCEの審査には多くの時間と労力が必要とされるため、現行の手数料では十分なコスト回収ができていないという認識があります。手数料の引き上げにより、RCEに係る審査コストを適切に賄い、特許制度の持続可能性を高めることが期待されています。

今回のようなRCE手数料の大幅な値上げは、特許出願人や企業の権利化戦略に直接的な影響を与えます。コスト増大を避けるために、アメリカにおける特許の出願戦略を見直し、新料金体制に適した出願を行う必要があります。次のセクションでは、RCEと他の代替手続きを比較してみます。

RCEと代替手続きの比較

USPTOが提案するRCE手数料の大幅な値上げは、特許出願人や企業の権利化戦略に様々な影響を与えます。ここでは、RCEの代わりとなりえる手続きとの比較を行い、出願戦略で必要な情報を考察してみます。

審判請求 (Appeals) との比較 – RCEよりも安価になるケースも

RCE手数料の値上げにより、一定の条件下では、審判請求 (Appeals) の方がRCEよりも経済的な選択肢となる可能性があります。USPTOの改定案では、審判請求の手数料は5%程度の小幅な増加にとどまっています。したがって、特に3回目以降のRCEを検討する際には、審判請求とのコスト比較が重要になります。

審判請求は、審査官の拒絶査定に不服がある場合に、特許審判部 (Patent Trial and Appeal Board, PTAB) に不服審判を請求する手続きです。審判請求が認められれば、PTABによる審理が行われ、審査官の拒絶が覆される可能性があります。RCEを繰り返すよりも、審判請求を選択することで、コストを抑えつつ、特許査定を得られる可能性があるケースも考えられます。

しかし、審判請求はRECよりも複雑で長期間続く手続きなので、審判請求に関する弁護士費用は通常RCEにおける費用よりも大幅に高いです。そのため、特許庁費用だけでなく、弁護士費用やその手続の違いも含めて総合的に判断する必要があります。

継続出願 (Continuation Application) との比較

RCE手数料の値上げは、継続出願 (Continuation Application) の戦略的活用にも影響を与えます。USPTOの改定案では、親出願の出願日から一定期間 (5年、8年) 経過後に継続出願を行う際の追加手数料が設定されています。このため、継続出願の時期や必要性を見極め、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

継続出願は、親出願の出願日の利益を享受しつつ、新たなクレームを追加したり、審査戦略を見直したりする機会を提供します。RCE手数料の値上げを踏まえ、継続出願とRCEの戦略的な組み合わせを検討することが重要です。状況に応じて、RCEよりも継続出願を選択することで、コスト管理と権利化の最適化を図ることができるでしょう。

特許権利化までの期間と費用への影響

RCE手数料の値上げは、特許権利化までの期間と費用にも影響を及ぼします。RCEを繰り返すことで権利化が長期化すると、トータルの費用負担が増大するリスクがあります。出願人や企業は、審査官とのコミュニケーションを密にし、戦略的な補正や議論を行うことで、RCEの回数を最小限に抑え、早期の権利化を目指すことが求められます。

また、RCEの回数が増えるほど、特許権利化までの期間が長くなる傾向があります。これは、特許権の存続期間が出願日から起算されることを考えると、特許権の実効的な保護期間が短くなることを意味します。RCE手数料の値上げを機に、権利化までの期間を短縮する取り組みが重要になります。

以上、RCEの代替手続きについて、いくつかの観点から考察しました。特許出願人や企業は、USPTOの料金改定を踏まえ、審判請求や継続出願との比較検討を行い、コストと権利化のバランスを取った戦略を立案する必要があります。

料金改定はいつから有効になるのか?

今回提示された料金改定案は、2024年10月1日から始まる2025会計年度に有効になる予定です。ただし、正確な施行日は、パブリックコメント期間中に寄せられた意見や、USPTOが意見を検討し対応するのに要する時間により異なる可能性があります。

しかし、以下で提案する様々な特許戦略を実行するには多くの時間と労力がかかります。そのため、可能であれば、早急に自社に合った対策を行い、いつ新しい料金体制にシフトしても大丈夫という万全な体制を整えておくべきでしょう。

料金改定を踏まえた特許出願戦略

USPTOの料金改定案を踏まえ、特許出願人や企業は効率的な権利化プロセスの構築に注力する必要があります。ここでは、料金改定を踏まえた特許出願戦略について、いくつかの提言を行います。

効率的な権利化プロセスの重要性

RCE手数料の大幅な値上げを受けて、効率的な権利化プロセスの重要性がこれまで以上に高まっています。出願人や企業は、特許出願の準備段階から、戦略的な観点からクレームのドラフティングや明細書の作成に取り組む必要があります。先行技術調査を十分に行い、新規性や進歩性を有する強いクレームを立案することで、拒絶理由通知の可能性を減らし、早期の特許査定を目指すことができます。

また、出願後の審査プロセスにおいても、効率的な権利化を実現するための取り組みが求められます。審査官とのコミュニケーションを重視し、面接等を積極的に活用することで、審査官の懸念事項を的確に理解し、それに対応した補正や議論を行うことができます。これにより、RCEの回数を最小限に抑え、権利化までの期間を短縮できる可能性があります。

クレームの絞り込み

効率的な権利化プロセスを実現するためには、クレームの絞り込みと審査官とのコミュニケーションが重要な鍵となります。出願人や企業は、審査官からのオフィスアクションを受けた際に、クレームの範囲を戦略的に絞り込むことを検討すべきです。必要に応じて、従属クレームを削除したり、独立クレームを限定したりすることで、審査官の懸念事項に対処し、特許査定の可能性を高めることができます。

審判請求や継続出願の戦略的活用

RCE手数料の値上げを受けて、審判請求や継続出願の戦略的活用がより重要になります。特に、3回目以降のRCEを検討する段階では、審判請求や継続出願とのコスト比較を十分に行い、適切な判断を下す必要があります。特に、審査官との協議が進展しない場合、RCEを繰り返すよりも、早期に審判請求を行うことで、権利化に向けた新しい活路が見いだせるかもしれません。

ただし、審判請求の活用には慎重な検討が必要です。審判請求が認められない場合、さらなる時間とコストを要することになります。したがって、審判請求を行う前に、クレームの強さや審査官の拒絶理由の妥当性を十分に評価することが重要です。必要に応じて、審判請求前に追加の補正を行い、クレームの強化を図ることも検討すべきでしょう。

また、継続出願に関しても新しい料金体制が導入される予定で、継続出願においても新たな戦略が求められます。この継続出願の新料金体制による戦略への影響は、以下の関連記事で詳しく解説しています。

Terminal Disclaimerの新費用が継続出願戦略に与える影響: 米国特許庁が提案する大幅な料金改定の考察その2 Image showing a diagram illustrating the impact of the new fee structure for Continuation Applications and Terminal Disclaimers proposed by the USPTO on patent filing strategies.

Terminal Disclaimerの新費用が継続出願戦略に与える影響: 米国特許庁が提案する大幅な料金改定の考察その2

米国特許商標庁が提案する継続出願とTerminal Disclaimerに関する新たな料金体系は、特許出願戦略に大きな影響を与える可能性があります。本記事では、新料金体系の詳細と、それが出願人の戦略に与える影響について詳しく解説します。特に、Terminal Disclaimerの提出タイミングや継続出願の是非、費用対効果を考慮した出願戦略の立案などの重要なポイントに焦点を当てます。また、スタートアップや中小企業など、限られた資金で知財戦略を実行する企業にとっての影響や対策についても考察します。新料金体系に適応し、特許保護の最適化と費用管理のバランスを取ることが、今後の知財戦略の鍵となるでしょう。…

以上、料金改定を踏まえた特許出願戦略について、いくつかの提言を行いました。効率的な権利化プロセスの構築、クレームの絞り込みと審査官とのコミュニケーション、審判請求や継続出願の戦略的活用など、様々な観点から特許出願戦略を最適化することが求められます。次のセクションでは、企業や発明者に向けたさらなる提言を行います。

企業や発明者への提言

USPTOの料金改定案は、個別案件の出願戦略だけでなく、より広い視野の観点における特許戦略の見直しを迫るものです。ここでは、企業や発明者に向けた提言を行い、料金改定を踏まえた特許戦略の最適化について考察します。

特許出願戦略の見直しの必要性

USPTOの料金改定案を受けて、企業や発明者は自社の特許出願戦略を見直す必要があります。まず、自社の特許ポートフォリオを分析し、権利化プロセスの効率性を評価することが重要です。RCEの利用状況や、権利化までの期間と費用を精査し、改善の余地がないか検討すべきです。

また、特許出願の目的や価値を再確認することも必要です。事業戦略や競合対策との整合性を図り、特許出願の優先順位を見直すことが求められます。コストと権利化のバランスを取りつつ、事業に真に価値をもたらす特許の権利化に注力することが重要です。

代理人との協働によるコスト管理

特許出願戦略の見直しには、代理人との緊密な協働が不可欠です。企業の知的財産部門と代理人が、特許出願のゴールや予算について率直に議論し、最適な権利化プロセスを設計することが求められます。代理人の専門知識を活用しつつ、コスト管理の観点から、RCEや審判請求、継続出願の戦略的活用について助言を得ることが重要です。

また、代理人との協働を通じて、クレームドラフティングや明細書作成の質の向上を図ることも重要です。強く、広範なクレームを策定し、拒絶理由通知の可能性を減らすことで、権利化プロセスの効率化とコスト管理を実現することができます。

グローバルな特許ポートフォリオ構築への示唆

USPTOの料金改定は、グローバルな特許ポートフォリオ構築にも示唆を与えます。企業や発明者は、各国の特許制度の動向を注視し、費用対効果の高い権利化戦略を立案する必要があります。USPTOの改定案を契機に、他国の特許庁における料金体系や審査過程を分析し、グローバルな視点から特許出願戦略を最適化することが求められます。

また、グローバルな特許ポートフォリオ構築においては、各国の特許制度の調和化の動向にも注目すべきです。特許制度調和化の進展により、各国の特許制度の共通化が進めば、グローバルな権利化戦略の効率化とコスト削減の可能性が高まります。企業や発明者は、特許制度調和化の動向を踏まえ、長期的な視点から特許戦略を立案することが重要です。

以上、企業や発明者に向けた提言を行いました。USPTOの料金改定を契機に、特許出願戦略の見直し、代理人との協働によるコスト管理、グローバルな特許ポートフォリオ構築への取り組みが求められます。企業や発明者が、これらの提言を踏まえ、特許戦略の最適化を図ることで、知的財産の価値最大化と事業の成長に貢献することができるでしょう。

まとめ

USPTOの料金改定案は、特許出願人や企業に大きな影響を与えるものであり、特許戦略の抜本的な見直しを迫るものです。特に、RCE手数料の大幅な値上げを始めとする一連の改定は、効率的な権利化プロセスの構築、審判請求や継続出願の戦略的活用、代理人との緊密な協働によるコスト管理など、様々な観点からの対応を必要とします。さらに、グローバルな特許ポートフォリオ構築の観点からも、各国の特許制度の動向や調和化の進展を踏まえた長期的な視点が求められます。企業や発明者は、USPTOの料金改定を契機に、自社の特許戦略を抜本的に見直し、知的財産の価値最大化と事業の成長につなげていくことが重要です。

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