特許法35 U.S.C. § 316(a)(11)において、PTABは、IPR手続きにおける最終判決を、手続き開始から1年以内に発行しなければいけないと明記されています。しかし、それには例外があり、正当な理由があれば最長で6ヶ月延長でき、また315(c)におけるJoinderがあった場合、期限に調整が加えられます。(37 C.F.R. § 42.100(c)も参照)。 以下の関連する3つのIPR手続きを参考にすると、Joinderがあった場合の「期限の調整」が行われた場合、最終判決まで12ヶ月を超える場合があるようです。
IPR2016-00286 (Amerigen Pharms. Ltd. v. Janssen Oncology, Inc.)において、 Amerigen社は前立腺ガンの治療方法に関わる8,822,438特許の有効性をチャレンジしました。 PTABは2016年5月31日にIPR手続きの開始の通知を行い、Argentum社をJoinderとして2016年9月19日に加えました。その後、2017年2月16日に公判が開かれ、最終判決が2018年1月17日に下されました。つまり、このJoinderが行われたIPR手続きは、IPR手続きの開始の通知から最終判決まで実に19ヶ月と17日までかかり、Joinderから最終判決まで15ヶ月29日かかったことになります。それは、通常の12ヶ月という特許法35 U.S.C. § 316(a)(11)に定められている期間を大幅に超える日数です。
続いてIPR2016-01332 (Mylan Pharms. Inc. v. Janssen Oncology, Inc.)において、Mylan社が同じ8,822,438特許の有効性をチャレンジしました。PTABは、Mylan社を上記のAmerigenによるIPR手続きのJoinderとして認めず、別のIPR手続きとして扱い、2017年1月10日にIPR手続きの開始の通知を行い ました。このIPR手続きには、2017年4月12日、数社Joinderとして加わります。その後2017年5月24日に公判が開かれ、最終判決が2018年1月17日に下されました。つまり、このJoinderが行われたIPR手続きは、IPR手続きの開始の通知から最終判決までは12ヶ月と7日かかり、Joinderから最終判決まで9ヶ月5日かかったことになります。
最後に、IPR2016-01582 (Wockhardt Bio AG v. Janssen Oncology, Inc.)において、Wockhardt社が同じ8,822,438特許の有効性をチャレンジしました。PTABは、2017年1月19日にIPR手続きの開始の通知を行い ました。その後2017年5月24日に公判が開かれ、最終判決が2018年1月17日に下されました。つまり、このIPR手続きは、Joinderは行われず、IPR手続きの開始の通知から最終判決までは11ヶ月と29日かかったことになります。
つまり、この関連する3つのIPR手続きにおいて、PTABは2つのJoinderが行われたIPR手続きに関して12ヶ月の期限を超えました。特に、最初のAmerigenによるIPR手続きの際、正当な理由があれば最長で6ヶ月延長できるという合計15ヶ月の期間を超える15ヶ月29日で最終判決に至りましたが、それでも、Joinderがあった場合の「期限の調整」には制限が設けられていないため、例外の適用下、特許法35 U.S.C. § 316(a)(11)を満たしていると考えられます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Bryan D. Beel. Perkins Coie LLP