米国出願時のIDS対応で、日本企業を悩ませる翻訳の問題は、原則、出願人任せになるが、翻訳は1)クレームされた発明に関連性の高い「重要な」文献を優先し、2)出願自体が重要な場合、IDSとして提出される文献の翻訳を積極的に行うことが望ましい。
アメリカで出願する場合、出願人は、審査期間中に特許性に関わる重要な情報(Material)を提供する義務がある。37 CFR 1.56(a)
このIDS義務を満たさないと最悪の場合、不正行為とみなされ、特許の権利行使ができなくなる可能性があるが、2011年のTherasense事件で不正行為とみなされる基準が高くなり、特許の権利行使ができなくなるリスクはTherasense事件以前より低くなった。
しかし、アメリカ独特のIDSに対応していくのは重要で、無駄なコストや時間が発生しないよう、対象情報、提出のタイミングや必要書類、書式など手続きを十分理解しておくことが必要。
特にIDS対応時に、日本企業を悩ませる翻訳問題は、基本、出願人の裁量に任されているので、対処が難しいが、講師のHenter弁護士は以下のような方針で翻訳する優先順位を決めるといいと提案した:
- クレームされた発明に関連性の高い文献、審査官がクレームを拒絶するために使うと思われる文献は重要な文献として扱って、翻訳する。
- 出願自体が重要な場合、IDSとして提出される文献の翻訳をする。
まとめ作成者:野口剛史
元情報:ウェビナー「 知っておきたい米国IDS手続きと最終拒絶理由通知対応 」のまとめ。講師:Csaba Henter. Millen, White, Zelano & Branigan, P.C.
http://openlegalcommunity.com/summary_patent_webinar_japan_2