コロナで就職活動も大きく変わりました。会社や事務所で行われていた説明会はなくなり、同業者の勉強会やイベントもオンラインにシフトしました。オンライン化することで便利になった面もありますが、知財業界に知り合いがいない学生や知財に入ってきた新米が「新しいコネ」を作るには非常に難しい環境になっています。そこで、どうやってコロナ禍で学生・新米がコネを作るべきかを考えてみました。
オンライン化がもたらしたもの
知財も含め、ほぼすべての業界でオンライン化が進み、去年まで常識だったことが大きく変わりつつあります。ツイッターなどのSNSで発言する弁理士や知財関係者が増え、YouTube動画を用いてとてもクオリティーの高い知財情報を提供するところも増え、都心・地方などの地理的な制限を超えて「出会える」環境ができつつあることはとても素晴らしいです。
しかし、バーチャルの「仕事場」を見たとき、仲のいい(strong ties)同僚や関係者との関係は強まるものの、頻繁に連絡をとらない(weak ties)同僚や関係者との関係は疎外されていく傾向にあるとの研究結果が出ています。
つまり、すでに知財の業界に長年いて、知り合いが多く、既存のネットワークを使ってコミュニケーションを取れる人はコロナ禍でより活躍するようになりますが、逆に、知財に興味があるけどコネのない学生や、新卒で知財業界に入った人のような業界での経験がない(または浅い)人にとっては、コロナは就職や今後のキャリア設計に大きな影響を与えています。
似たような現象は他でもあり、コロナで友達ができない大学生の生活がニュースでも取り上げられています。それと同じように、就職やキャリアにおいても、新しい環境で「コネ」を作るには、コロナ禍では全く新しいアプローチが必要になるのです。
イベントに参加するだけでは足りない
コロナでイベントがオンラインにシフトしたので、オンラインで開催されているイベントに参加すればいいのでは?と思うひともいるかもしれませんが、私はそれだけでは足りないと考えています。
例えば、知財関連のウェビナーに参加する場合、知識は付きますが、ウェビナーは知識の共有だけで終わってしまうことがほとんどでネットワーキングの時間がありません。コロナ前の現地で行われるリアルセミナーの場合、隣に座った人と話したり、セミナー後の雑談の時間に話ができたり、その後の飲み会に参加したりしてセミナーで話されたこととは関係なしに参加者や講師と繋がれる機会がありました。
しかし、ほとんどの知財系ウェビナーでは、知識の共有をしておしまい。質問やコメントを受け付けていることもありますが、ウェビナーで話されている話題に限定されてしまっています。また、学生や新米の場合は、常連の知財ベテランが難しい質問をしている中、自分たちが質問やコメントをするのはおこがましいと感じるひとも多いのでは?
学生・新米だからこそ実行委員として関わるべき
そこで提案したいのが、興味のあるイベントの主催者にコンタクトを取って、段取りの段階から実行委員としてイベントに関わることです。
こうやって話すと、学生や新米はまだ何も知識がない知財系のイベントの実行委員として関わるのは「おこがましい」と思うかもしれません。でも、そこは大きな間違えです。ほとんどの場合で、イベントの主催者さんは学生さんでも新米さんでも実行委員として関わってくれるのは大歓迎です。
そもそもイベントをやるとき主催者さんはだいたい講師をすでに決めているので、知財の専門的な部分は講師の方が担当してくれます。そのため、主催者側はイベントの段取りや、日時の設定、宣伝、ウェビナーコンテンツへにフィードバックなど、事務系の仕事が多いのが現状です。実際に、コミュニティ内で様々なイベントをしている私からすると、主催者としての仕事の9割が講師とのコミュニケーション、日程の調整、告知関連です。
これなら、学生・新米でも十分活躍できる領域です。そして、実行委員として関わり、主催者側の労力を軽減してもらえる活躍をするなら、主催者からも講師からも感謝される存在になることができます。そうすれば、ちゃんと名前を覚えてくれて、次に何かあったときに声をかけてもらえやすくなります。
知財のイベントを主催する人、また、講師を務めるような人は、知財業界も長く、ネットワークも広い人がほとんどなので、知財に興味のある学生や新米の弁理士・知財関係者にとって、とても頼りになる存在です。そういう長(おさ)的な人は、新人に対するサポートも手厚くする傾向にあるので、今回紹介したようにイベントの実行委員になって、個人的に主催者や講師に自分を知ってもらうのは、とてもメリットがあります。
この手法はコロナ前でも使えましたが、コロナ禍にある今は、学生や新米のキャリア形成戦略においてとても重要になってくることでしょう。
コロナの影響でオンラインにシフトすることで、より自発的に行動する人が有利になるような世界になってきています。知財の経験がない(または浅い)学生や新米は、オンライン上で専門的な発言はできなくても、今回のように自発的にサポートに回ることで、「目立つ」ことができます。
そこから生まれた講師や主催者との関係をきっかけに様々な人とコネを作り、キャリアを形成していくことが、今後知財業界で生き延びていくための必須スキルになることでしょう。
TLCの紹介
ちなみに、このアイデアのベースになっている話題は、OLCを更に進化させた全く新しいコミュニティ型のプラットフォームTakumi Legal Communityで最初に取り上げました。
TLCはアメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる今までにない新しい会員制コミュニティです。
現在第二期メンバー募集中です。詳細は以下の特設サイトに書かれているので、よかったら一度見てみて下さい。