特許法は各国で異なります。事業を国際化するにあたり、特許の面でも国際化をしていくには戦略が必要です。どの国に出願するかの判断はコストと価値のバランスを考慮して行う必要があります。その際に役立つポイントを幾つか紹介します:
1.発明がすでに公開されているか?
発明がすでに公開されてしまっている場合、多くの国で特許出願ができなくなってしまいます。しかし、特定の国、例えばカナダやアメリカ、は公開から特許出願まで猶予期間を儲けている場合もあるので、そのような場合は、公開後でも1年以内ならば特許出願を行うことができます。しかし、他の国、例えば、ヨーロッパ、日本、中国などではそのような猶予期間はないので、発明が公開されてしまってからでは、特許を出願することはできません。
2.この発明はビジネスのコアか?
保護の範囲と保護を得るためにかかるコストをバランスするアプローチの1つとして、異なる製品や技術に対して個別の出願戦略を用いることです。重要な製品に用いられているコアな発明に対しては、手厚い、幅広い知財での保護を考える必要があります。具体的には、製品を販売している国・地域における特許出願、今後10年15年の間のライセンスや権利行使の可能性や戦略などを考えるといいでしょう。
反対に、コアではない、付属的な発明の場合、よりコンパクトな、簡素化した知財戦略を用いるといいでしょう。
3.ビジネスの拠点はどこか?
特許出願は出願する国ごとに費用や時間がかかるので、戦略的に選ぶ必要があります。出願国を選ぶ際に、自社の既存ビジネスの拠点、将来の拠点、競合他社の既存ビジネスの拠点、将来の拠点、ライセンスの可能性がある国を考えるといいでしょう。また、中国など製品や類似品の生産拠点が決まっている場合、そのような生産拠点での出願も有効です。
4.今後どのようにビジネスが展開していくのか?
将来、収益化が見込める国はどこでしょう?5年後の将来、できれば10年後の将来を見据えて考えてみてください。
会社がスタートアップの場合、初期段階で出願できる国は決して多くないと思います。しかし、会社の特許戦略は、会社が成長するたびに変わっていくものです。特に、会社が急成長していく時期には、少なくとも1年に1回、知財戦略を見直すのがいいでしょう。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Stephen M. Beney and Joanna Ma. Bereskin & Parr LLP
http://www.bereskinparr.com/doc/going-global-some-practical-patent-considerations