AIやビックデータに関わる発明を守るFunctional Claiming

Artificial intelligence (“AI”) や big data (“BD”) に関わる発明が今日の技術革新を推し進めています。このような技術革新がいままでの常識を変えていく中、このような発明はどのように特許で守るべきなのでしょうか?

アメリカにおけるAIやBD関連の発明を特許で守るのは容易なことではありません。例えば、Nautilus, Inc. v. Biosig Instruments Inc. (Sup. Ct. 2014)における最高裁の判決により、特許クレームをindefinitenessの理由により無効にすることが容易になりました。また、AIやBD関連の発明は、Functional Claimingを多様するものが多いですが、Williamson v. Citrix Online (Fed. Cir. 2015) により、そのようなクレームが”means-plus-function”として解釈されやすい傾向にあります。(”means-plus-function”クレームとして解釈されてしまうと、クレームの適用範囲が原則明細書で開示されている実地例にだけ適用されるので、クレームの適用範囲が極端に限定されます。)このような状況から、アメリカにおけるAIやBD関連の発明を特許で守るには、このような落とし穴に気をつけながら戦略的にクレームを作成する必要があります。

AIやBD関連の知財を守るにあたり特許がいつでも適切だということはありませんが、特許でAIやBD関連の発明を守る場合、functional claimingの問題はもちろん、Aliceにおける特許適格性(subject matter eligibility)の問題も考慮する必要があります。

AIやBD関連の研究やビジネスに多くの投資がされる中、AIやBD関連の特許出願の量も世界規模で増加しています。

Functional Claiming:

AIやBD関連の特許を出願する場合、Aliceにおける特許適格性(subject matter eligibility)を満たすようクレームを作成するのは大前提ですが、その上で、クレームで保護される範囲が正確である必要があります。クレームにおける言葉遣いは重要で、特にAIやBD関連の発明は、ある特定のソフトに依存しないで、保護される範囲に柔軟性を持たせるためにFunctional Claimingを多様します。しかし、明細書作成者がFunctional クレームのリスクをちゃんと理解していないと、審査期間や訴訟時において、問題が起こることがあります。

Indefiniteness:

Nautilus, Inc. v. Biosig Instruments Inc. (Sup. Ct. 2014)において、特許クレームはクレームの範囲を当業者に対して合理的な確信をもって知らせるものでなければいけないとしました。(patent claims must inform those skilled in the art about the scope with reasonable certainty)Functional claimingで Indefinitenessと判断されてしまうような危険性がある言葉、例えば、”adapted to,” “operable to,” “configured to,” は、明細書で詳細な説明がなされていない場合は避けるべきでしょう。明細書で、「可能である」”capable of”という書き方で、実際の適用例の詳細が書かれていない場合、クレームがIndefiniteと判断されてしまう可能性があります。

意図していない “Means-Plus-Function” 解釈:

以前までは、”means for” という言葉がクレームで使われていなければ “Means-Plus-Function”と解釈されるケースは少なかったのですが、当業者に対して構造に関する意味が十分であるか(”whether the words of a claim are understood by persons of ordinary skill in the art to have a sufficiently definite meaning as the name for structure”)が鍵になっています。 (Williamson v. Citrix Online (Fed. Cir. 2015)).

判例Williamsonの元では、”Means-Plus-Function” として解釈されてしまうことが容易です。例えば “module for,” “component for,” “logic for,”などの言葉がクレームで使われた場合、意図していなくても、そのクレームが “Means-Plus-Function” として解釈されてしまう危険性があります。そうなってしまうと、クレームの適用範囲が原則明細書で開示されている実地例(と同等のもの)にだけ適用されるので、クレームの適用範囲が極端に限定されます。ソフトウェアの場合、構造はクレームされた機能を実行するアルゴリズムになります。しかし、そのようなアルゴリズムが明細書で開示されていない場合、最悪、クレームがIndefinitenessであると判断されてしまう恐れがあります。特に、よく知られているシンプルな機能がクレームの制限に加えられている場合、注意が必要です。その機能に対するアルゴリズムが明細書で開示されていないと、クレームが”Means-Plus-Function” と解釈された場合、明細書に「構造」(ソフトウェアの場合、アルゴリズムが構造に値する)が存在しないとみなされ、最悪、クレームがIndefinitenessであると判断されてしまう可能性があります。例えシンプルな機能が公知で当業者によく知られたものであっても、アルゴリズムが開示されていない場合、クレームがIndefinitenessであると判断されてしまいます。

Overbreadth:

Functional claimingによりクレームの範囲が必要以上に広く解釈されてしまう危険性もあります。このoverbreadthの問題は、審査期間中の先行例との比較で生じるので、適切なクレーム補正や主張によって、クレームの範囲を適切な範囲に補正することが大切です。また、訴訟においてもOverbreadthは問題で、場合によっては、予想していないものが先行例として用いられ、クレームの無効が主張されてしまう可能性があります。対策としては、より限定された具体的な従属クレームを様々な適用例に合わせて書くことをおすすめします。特に、機能における制限に対しては、従属クレームでそれに対応する構造や具体的な例をクレームするといいでしょう。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Carl A. Kukkonen III, Douglas H. Pearson Ph.D. and Ognian V. Shentov. Jones Day

http://www.jonesday.com/protecting-artificial-intelligence-and-big-data-innovations-through-patents-functional-claiming-04-04-2018/

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