使い分けが鍵、最終拒絶理由通知対応のポイント

アメリカにおける最終拒絶理由通知 (Final Office Action) は独特で、対応方法は様々ある。どのような対応が適切かは案件ごとに異なり、いままでの審査経緯、審査官、明細書の開示内容、クレーム、出願の重要性、かけられるお金や時間などに応じて変わってくる。

 

このプレゼンでは、主に6つの対応方法が紹介された。

 

  1. 主張のみで対応:審査官のクレームや文献の解釈が間違っていて、説得できそうな場合に有効。

 

  1. クレーム補正で対応:マイナーな補正しか認められないのがほとんど。新しいクレームを追加したり、クレームの文言を変えたりする場合、RCE (Request for continued examination)を申請するのもあり。または、パイロットプログラムのAFCP 2.0をリクエストするのもあり。

 

  1. 証拠を提出する:データや文献を申告書と共に提出。そのままでは認められないのがほとんどなので、RCEを申請するのが効果的。

 

  1. インタビュー:審査官によっては、インタビューで問題が解決する場合もある。

 

  1. 審判請求(appeal):クレームの補正ができなく、審査官も説得できない場合は、審判請求が有効。主要文献(Primary reference)の見解について溝が大きく、審査官と折り合いが付かないときに特に有効。審査官は審判請求を好まないので、戦略的に審判請求を行い審査官のポジションを変えるという使い方もできる。

 

  1. Pre-Appeal brief request審判請求をしないで問題解決するための方法。基準は審査官に有利なものになっているので、1つの大きな問題があり、その問題が審査官のクレームの解釈や文献の解釈にあることがはっきりしている場合、有効。

 

まとめ作成者:野口剛史

 

元情報:ウェビナー「 知っておきたい米国IDS手続きと最終拒絶理由通知対応 」のまとめ。講師:Bill Nixon. Millen, White, Zelano & Branigan, P.C.

http://openlegalcommunity.com/summary_patent_webinar_japan_2

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