2018年3月7日、CAFCは、Oracle America, Inc. v. Google LLC, No. 2017-1118, 2017-1202において、陪審員の決定とは真逆の、GoogleによるOracleの著作権で保護されたJava API packagesの使用は、fair useではないという結論に至りました。また、CAFCは、案件を差し戻し、この結論の元、地裁に損害賠償に関する審議を行うよう命じました。(Oracleは以前、賠償金は$9 billionに及ぶと主張。)
経緯:
2015年にCAFCが法律上OracleのJava API Packagesは著作権で保護されると判決を下した後、案件は地裁に差し戻され、Googleの使用はfair useの範囲かが争われました。地裁で審議が行われた結果、陪審員はGoogleの使用はfair useだと結論づけました。その決定にOracleは異議を唱え、CAFCに上訴。
CAFCは、faire useは法律の問題なのでde novo基準で再審議するとしました。その基準において、証拠や陪審員の推測を考慮し、fair useの要素をde novoに当てはめていった結果、CAFCは、Googleによる特定のコードのコピーと使用は法律上、正しくないという結論に至りました。特に、fair useの4つの要素の内、1つ目と4つ目である:使用の目的と性格(the purpose and character of the use)と潜在的な著作物の市場への影響(the effect on the potential market for the copyrighted work)に注目。
1つ目の要素に関して、CAFCは、Googleの使用が非常に商業的で斬新さに欠ける( “highly commercial and non-transformative”)とし、1つ目の要素はfair useには不利な要素であるとしました。CAFCは特に「斬新さ」(transformativeness)の分析に多くの時間を使い、問題の使用が進展させる目的や違う性格を持たせるために、新しい表現や、意味、メッセージなどで既存のものを変化させた新しいものを追加させるものなのか?( “adds something new, with a further purpose or different character, altering the first with new expression, meaning or message”)が詳しく分析されました。CAFCは、Googleが量的にOracleのコードの多くの部分をコピーしたことを受け、Googleの「斬新さ」の主張を却下し、さらに、Googleのコンピューターではなくスマートフォンに使ったことが「新しい」という主張も受け入れませんでした。
CAFCのこのFair useに不利な1つ目の要素の分析が、4つ目の要素、潜在的な著作物の市場への影響(the effect on the potential market for the copyrighted work)、の分析にも影響を与えます。問題になっているOracleのコードをGoogleが使用していたときには、すでにOracleがスマートフォンマーケットに進出していた事実、また、当時の状況を見て、スマートフォンがOracleのコードの市場になることは予想が付くので、このような事実と推測を考慮すると、4つ目の要素は、Oracleに有利な結果のなることは明らかだとしました。
このように2つの要素の分析を行なった結果、残りの2つの要素 (the nature of the copyrighted work and the amount and substantiality of the portion used)を考慮しても、その結果が、結論を変えるまでに至らないとし、CAFCはGoogleのOracleの著作物であるコードの使用はOracleの著作権を侵害していて、faire useは適用されないとしました。このケースは、今後、地裁に差し戻され、賠償金について審議が行われます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Paul J. Reilly and Julie Albert. Baker Botts LLP
http://www.bakerbotts.com/ideas/publications/2018/april/not-fair-use