米国最高裁は、2017 年、Life Technologies Corp. et al. v. Promega Corp. et al.において、複 数の部品からなる発明の1つの構成部品を海外に供給した場合、その供給元は特許法 271 条(f)(1)による特許侵害の責任を負わないという判決を下した。
特許法 271 条(f)(1) (35 U.S.C. §271 (f)(1)) — 特許権の域外適用(extra territorial application)に関する条文。アメリカから特許発明の構成部品の要部(a substantial portion of the components)を提供した場合、特許侵害を問われる場合 がある。
事実背景:Life Technologies は対象特許に関わる医療検査用品の1つを除きすべての構 成部品をイギリスで製造していた。そして、残りの1つをアメリカで製造し、イギリス に出荷。その後、イギリスで他の構成部品と組み合わせ、医療検査セットを作ってい た。
このような事実背景の中、特許法 271 条(f)(1) において特許侵害を問われる「特許発明 の構成部品の要部」(a substantial portion of the components)の提供がアメリカからお こなわれたかが問題になった。特に、構成部品の要部(a substantial portion of the components)が「量」(quantity)に関わることがらなのか、「質」や重要度 (quality)に関わることがらなのかが焦点となった。
最高裁は、特許法 271 条(f)(1)の条文の文脈、特に特許発明の構成部品の要部(a substantial portion of the components)の文脈に注目し、構成部品の要部とは「質」や重 要度(quality)に関わることがらではなく、「量」(quantity)に関わることがらだと 解釈した。
次に、条文が「量」を示していると解釈した場合、法律上の問題として、「1つ」の構 成部品が構成部品の要部(a substantial portion of the components)を満たすかをという 問題がある。その問題の答えとして、最高裁は、条文では“components”と複数形が 使われていることを理由に、複数ではない「1つ」の構成部品では、特許法 271 条 (f)(1)による特許侵害を満たさないとした。
まとめ作成者:野口剛史 元記事著者:Donald L. Zuhn, Jr. Ph.D. McDonnell Boehnen Hulbert & Berghoff LLP
http://www.patentdocs.org/2017/02/life-technologies-corp-v-promega-corp-2017.html