アメリカの税金法改正 “Tax Cuts and Jobs Act of 2017” (the “TCJA”)は知的財産権にも大きな影響を与える。特に、法改正後は、自己創造知財の売買による利益・損失がキャピタルゲインとして扱われない。
法改正後は、特許、発明、(特許になっているなっていないに関わらず)モデル・デザイン、秘密の法則やプロセスなどの売却から発生した利益・損失がその資産を作り出した納税者やその資産を譲渡された納税者に発生した場合、そのような利益・損失はキャピタルゲインとして扱われない。
法改正以前は、このような自己創造知財の売買による利益・損失はキャピタルゲインとして取り扱われていた。
また、トレードやビジネスに使われる資産として扱うことができれば、費用を回収した減価償却や償却(recaptured depreciation or amortization)に対する利益・損失は一般的にキャピタルゲインとして扱えるが、法改正後は、特許、発明、(特許になっているなっていないに関わらず)モデル・デザイン、秘密の法則やプロセスなどはトレードやビジネスに使われる資産として扱えなくなり、 利益や損失はキャピタルゲインとして扱えなくなった。つまり、特許を持っていて、特許を減価償却した場合、費用を回収したあとの利益に対してキャピタルゲインよりもレートの高い通常税として税金を支払う必要がある。
例外として、特許の全ての実態的な権利(”all substantial rights” )を譲渡した場合、キャピタルゲイン扱いになるのだが、その他の上で示した知的財産権(つまり発明、(特許になっているなっていないに関わらず)モデル・デザイン、秘密の法則やプロセス)は、この例外に当てはまらない。
税金法改正後の自己創造知財に関する税金対策:
個人の発明家、または、パートナーシップで構成されているスタートアップ企業の投資家が法改正後にキャピタルゲインの恩恵を受けたい場合、将来的に特許の全ての実態的な権利(”all substantial rights” )を譲渡するべきか、また、その譲渡がビジネスの観点から容認できるものなのかを考える必要がある。
他の税金対策としては、会社の所有権を売るが、資産は売却しないようにする方法。この方法は不可能ではないが、他の点で、税金法上難しい。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Burr & Forman LLP – James M. McCarten